- 2017-8-17
- 製品機器
2017年に入り、国内メーカーが有機ELテレビを相次いで発売しています。
そもそも有機ELと液晶はどのような違いがあるか、また、今後採用されるであろう製品や、どれくらい市場拡大を見込んでいるのか。
アイフォンにも採用される見通しで今話題となっている次世代ディスプレイ有機ELの歴史から市場展望までを解説していきます。
目次
1.コレが次世代ディスプレイ有機ELだ!
有機ELディスプレイが本格的な普及期に入ったことで、2017年の市場規模は3兆円にまで膨れ上がるとの観測があります。
1-1.実は50年以上も前から研究されていた技術
1950年代以降から研究が進み、1987年には現在の有機ELの基礎となっている薄膜積層型デバイスが報告されました。
それから世界中の研究者らによって有機ELの研究が活発になり、1997年にはパイオニアが世界初となる有機ELディスプレイ搭載のカーステレオを発表。
その後はフルカラー化も成功し、携帯電話や音楽プレイヤーなどの小型機器で、有機ELはゆっくりと普及してきました。
このように有機ELの歴史は意外と長く、2000年代すでに液晶に変わる有機ELテレビが来るだろうと囁かれていたほどです。
2017年の有機EL市場は3兆円規模になるとの見込みですが、これは2014年の7,678億円と比べると、この3年間ですでに4倍にも拡大しています。
2030年には市場規模5兆円を大きく上回るほど、いま注目すべき期待のテーマとなっていることがお分かり頂けるでしょう。
1-2.有機ELは何が凄いの?発光原理と特徴
そもそも有機ELとは、有機エレクトロ・ルミネッセンスの略で、特定の有機物に電圧を与えると発光する現象を指します。
有機ELディスプレイなどはこの光を利用しており、これが「次世代ディスプレイ」と言われる所以は、液晶と比較したとき圧倒的に優れている点が多いことにあるのです。
- 高画質
- 低消費電力
- 応答速度が速い
- 薄くて軽量
- 折り曲げられる
有機ELに使われる有機物はナノメートルの極小世界で、液晶では必須のバックライトも不要となることで薄型・軽量化が実現できます。
照明の応答速度が速いことから、残像が無くより鮮明で高画質、且つLEDと仕組みが似ていることから分かるようにバッテリーの持ちが良い。
将来は大画面のスマホを折りたたんで持ち歩くことができるようになるかもしれません。
これほどの凄みがあれば、世の中の液晶が全て有機ELディスプレイに切り替わる時代もそう遠くはないでしょう。
- ・1987年には有機ELの基礎となった薄膜積層型デバイスが誕生している
- ・有機ELは液晶と比較したとき圧倒的に優れている点が多い
2.業績飛躍!いよいよ有機ELブームの到来か
今後の動向に目が離せない有機EL関連は息の長いテーマになるのでしょうか。
アイフォンのディスプレイに採用される見通しのほか、韓国メーカーに続いて有機ELテレビへ参入する動きが強まっています。
2-1.アイフォンへの採用で変わるスマートフォン市場
アップルの参入によって、遂にディスプレイの世代交代が加速する可能性が浮上してきました。
年末頃に登場するであろう新型アイフォンに搭載予定の有機ELディスプレイは、サムスンへ既にパネルを発注済みという報道を見る限り、ほぼ確実であることがわかります。
世界のIT業界を牽引するアップルですから、どの企業もマネをしたがり、スマートフォンのディスプレイにおける世界水準が変わる可能性が強い。
国内の有機EL市場拡大につれ、有機EL製造装置や有機EL部材・部品などの周辺環境も盛り上がりを見せることが予想されます。
このように関連銘柄が増えることで投資チャンスも広がるでしょう。
▼10週年を迎えるアイフォンの新モデルには目が離せません。
【アップル(iPhone)関連銘柄に注目!10週年記念で新モデル発売か?】
同時にアップル関連銘柄も押さえておくことをオススメします。
2-2.大型ディスプレイの量産成功で液晶を上回るか
これまで50インチ以上の大型有機ELディスプレイは量産化技術の開発に難航していましたが、2017年に入ってから国内メーカーが相次いで発売しています。
有機ELディスプレイを採用するモデルは高級志向のため、拡大する市場規模の割に出荷数はまだ多いとは言えない状況です。
また、液晶テレビの相場と比較すると有機ELテレビは2倍ほどの価格差があり、簡単には手が届きません。
しかし、いま中国や韓国メーカーは数千億円規模の投資で巨大工場の稼働に向けて動いていることから、2020年には液晶の出荷数量を上回るとの観測。
これらに追随する企業も増えてくることが予想できるため、ディスプレイ製造に絡む参入によって低価格化が進むことは必須でしょう。
関連企業はより安価な材料と製造方法の開発で競争は激化するとみています。
- スマートフォンのディスプレイが有機ELに移行していく可能性が強い
- 2020年には有機ELテレビの出荷数が液晶テレビを上回る観測
3.厳選!有機EL関連銘柄の大本命3選
有機ELディスプレイの需要拡大で押し寄せる大きな波をうまく乗りこなすであろう、必ずチェックしておくべき期待の3銘柄を厳選致しました。
3-1.【7717】ブイ・テクノロジー
市場 | 東証一部 |
業種 | 精密機器 |
単位 | 100株 |
比較される銘柄 | フェローテク、アルバック、トプコン |
注目ポイント | 液晶・有機ディスプレイなどの製造・検査装置が主力 |
有機ELの開発用途向け製造装置を主力とするメーカーで、ボラティリティが高く、値がさ株ながら個人投資家の人気は根強い。
有機ELをディスプレイの量産に欠かせない露光装置は、同社製品が世界トップシェアを誇っている。
3-2.【6258】平田機工
市場 | 東証一部 |
業種 | 機械 |
単位 | 100株 |
比較される銘柄 | ローツェ、マルマエ、ワイエイシイ |
注目ポイント | 有機ELパネル事業の子会社「KOYA」を吸収合併 |
有機ELを関連事業の子会社を設立した同社は有機ELをの生産に欠かせない装置を扱っており、九州大学との研究・研究開発にも力を入れている。
また、アイフォン関連の恩恵を受ける公算が大きく、国内ディスプレイメーカーの注力姿勢を背景に、さらなる需要拡大が期待できる。
3-3.【4112】保土谷化学工業
市場 | 東証一部 |
業種 | 化学 |
単位 | 100株 |
比較される銘柄 | 宇部興、ゼオン、昭電工 |
注目ポイント | 発光体を手掛ける韓国子会社が増産投資を受けている |
韓国の子会社を通して有機ELを材料の研究開発を行う同社へは、サムスンやLG電子の巨額増産投資を背景に先行き期待が高まっている。
電子材料を主力とし、現在は赤字ながらも今後大きな飛躍が見込まれる。
4.その他の関連銘柄一覧
製造装置や材料で日本勢は商機を見出しており、短期資金が向かいやすい環境になったことから、こちらもチェックしておくべき銘柄群となります。
4-1.有機ELディスプレイ関連銘柄
有機ELディスプレイは曲面や柔らかい面にも表示できるため、今後スマートフォン以外の幅広い用途が期待されています。
銘柄 | 注目ポイント |
★【6753】シャープ | 有機EL事業へ資金をシフトし、有機ELディスプレイの開発を加速させている。 |
★【6758】ソニー | 有機ELディスプレイを専業とするJOLEDを発足。将来的にはソニーやパナソニックと経営統合し量産体制を整える。 |
【4902】コニカミノルタ | 樹脂基板フレキシブル有機EL照明パネルを手掛ける。 |
【6740】ジャパンディスプレイ |
ソニーやパナソニックと共に有機ELディスプレイを専業とするJOLEDを発足し、将来的に複数と経営統合し量産体制を整える。薄膜トランジスタ技術に強み。 |
【6752】パナソニック | ソニーやジャパンディスプレイと共に有機ELディスプレイを専業とするJOLEDを発足し、将来的に複数と経営統合し量産体制を整える。 |
【6773】パイオニア | 製造コストが低い塗布型有機ELに照明の調光・調色型パネルを開発。 |
【6986】双葉電子工業 | 積層膜を2枚の電極で挟んだ有機EL素子を並べた構造の有機ELディスプレイを製造している。 |
【6986】キヤノン | 有機EL量産装置のトッキを買収。納入実績は世界をリードしている。 |
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4-2.有機EL製造装置関連銘柄
有機EL製造装置には洗浄・オーブン装置や露光装置、塗布装置、そのほか様々な装置が有機ELの製造過程で使われています。
銘柄 | 注目ポイント |
★【6298】ワイエイシイホールディングス | 有機ELのプラズマドライエッチング装置は業界でダントツのシェアを誇る。 |
★【6728】アルバック | 真空技術に強い有機EL製造装置メーカーで、業界の設備投資特需を取り込む期待が大きい。 |
【6266】タツモ |
有機ELにに対応する薄膜塗布プロセス技術を持ち、委託事業「有機ELに照明の高効率・高品質化に係る基板技術開発」を受けている。 |
【6594】日本電産 | 有機EL搬送用ロボットを手掛ける。 |
【6641】日新電機 | 有機ELディスプレイの製造過程で必要となるイオン注入装置は世界トップシェアを誇る。 |
【6721】ウインテスト | 有機ELの検査装置を手掛ける。 |
【8035】東京エレクトロン | セイコーエプソンとの共同でインクジェット描画装置を開発し、有機EL製造装置の量産化も進める。 |
【8036】日立ハイテクノロジーズ | トッキ(現キャノントッキ)に資本参加し、有機ELの有機・金属の蒸着から封止プロセスにおける製造装置を展開する。 |
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4-3.有機EL部材・部品関連銘柄
有機ELを作るうえで欠かせない部品を提供しており、現状では海外メーカーへの供給が優先的ですが、今後は国内企業からの需要も増える見込みです。
銘柄 | 注目ポイント |
★【5020】JXTGホールディングス | 有機ハイドライドや有機EL照明など、有機物を使用した開発をいくつも行う。 |
★【5216】倉元製作所 | 主力の液晶事業を強みに有機EL用ITO膜などを展開する。 |
【4005】住友化学 | ポリマー型有機ELを中核技術に優位性を発揮し、スマートフォン需要を順調に取り込んでいる。 |
【4042】東ソー | 有機EL材に関する研究を行っており、受注実績も好調。 |
【4183】三井化学 | 技術力が高いことから有機EL材がスマートフォンにされている。 |
【4188】三菱ケミカルホールディングス | 製造コストが安い有機EL用の塗布型好材料に強い。 |
【4205】日本ゼオン | 有機ELを照明に使われるゼオノアフィルムを手掛ける。 |
【4208】宇部興産 | サムスンと合併しており、画面の折り曲げを可能とするフィルム基板に強い。 |
【4364】マナック | ファンケミカル分野に強い同社は有機ELをの電子材料などを手掛ける。 |
【4960】ケミプロ化成 | 電子材料メーカーとして有機ELに絡む特許を多数出願しており、技術開発力は高い評価を得ている。 |
【5019】出光興産 | 韓国トサン社と有機ELを材料関連で特許の相互活用と製造協力を締結し、様々な部材を一括供給する実力を備える。 |
【7912】大日本印刷 | 有機ELディスプレイの製造に使用する蒸着マスクを手掛けており、2020年までに60億円の設備投資を実施していく見通し。 |
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5.まとめ
有機ELテレビ元年と言わる2017年。
市場拡大へはこれから本番を迎えようとしています。
もうすぐ発表されるであろう新型アイフォンの期待と共に、有機ELディスプレイへの関心は増々高まっていくと予想され、精巧な技術を持つ日本企業が大きく飛躍していく可能性は高い。
今後、幅広い製品への搭載が爆発的に広まっていくことでしょう。
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