- 2018-12-28
- 国策
2018年11月23日、パリで行われた博覧会国際事務局総会にて、2025年の大阪万博開催が決定されました。
政府試算では経済効果約2兆円とされ、東京五輪に次ぐ景気浮揚策と言われています。
開催地の大阪には、日本国内のみならず海外から多くの観光客が訪れることが予想されます。
こうした経済効果の恩恵を享受する企業は、今後株式市場で注目度が高まっていくことが期待出来るでしょう。
今回はこれら企業を「大阪万博」関連銘柄として、株価動向やその背景について分かり易くご紹介したいと思います。
目次
1.「大阪万博」関連銘柄に期待
「大阪万博」関連銘柄とは、2025年大阪万博開催によって恩恵を受ける企業を指します。
1-1.「大阪万博」関連銘柄とは?
2025年の開催が決定した大阪。
誘致委員会のHPによれば、経済波及効果が約2兆円と大きな景気浮揚効果が期待されるイベントです。
また、想定来場者数は約2,800万人とされています。
大阪府の2016年における延べ宿泊者数が約3,100万人ですから、それに近い人数が半年間にわたる開催期間(2025年5月3日~11月3日の185日間)に一気に押し寄せることとなります。
この結果、観光関連のビジネスにとっては大きな恩恵が期待出来るでしょう。
また、大阪万博の開催場所は夢洲(ゆめしま)と記載があります。
夢洲は、埋め立てによって生まれた人口島です。
大阪中心部からは車で30分程度の場所にあり、現在は鉄道による駅はありません。
しかし万博開催が決定したことによって、関連施設の建設やアクセス改善のための交通網の整備が進むことが見込まれています。
これに伴う公共投資や民間企業による投資も積極化するでしょう。つまり、万博開催決定を契機として様々な恩恵が期待出来るのです。
ここでは、それらを享受する企業を「大阪万博」関連銘柄としてご紹介していきたいと思います。
1-2.なぜ「大阪万博」関連銘柄は株価が上昇するのか?
「大阪万博」関連銘柄が株式市場で注目されている理由は、その経済効果です。
経済効果を享受する企業には2種類に大別出来ます。
1つは、万博開催までに発生する様々な投資の恩恵を享受する企業です。
もう1つが、万博開催中に恩恵を享受する企業です。
万博開催までに恩恵を受ける企業
代表例は、建設業でしょう。
万博を開催するにあたり、様々な建設投資が発生することが予想されます。
既に報道されている案件として、大阪メトロが夢洲に地下1階地上55階建ての複合タワービルを計画しているようです。
施設内にはホテルやオフィス、商業施設などが入る予定であり、こうした動きはこれからも続くことが予想されます。
また、先程ご紹介したように、現在夢洲には駅がありません。
万博開催に向けて大阪メトロの延伸が報じられており、これに伴う工事需要も盛り上がることが期待されるでしょう。
万博開催中に恩恵を受ける企業
開催中に恩恵を受ける企業の代表例は、小売・サービス業です。
万博開催期間には国内外から多くの観光客が大阪を訪れます。
大阪周辺の宿泊施設や商業施設にとっては、売上を拡大する大きなチャンスと言えるでしょう。
これら2種類の企業群には、期待感から株式市場で注目度が高まることが想定されるでしょう。
- 「大阪万博」関連銘柄とは、大阪万博開催によって恩恵を享受する企業のことを指す
- 大阪万博開催によって恩恵を享受する企業には2種類ある
2.「大阪万博」関連銘柄の推移
過去に上昇した関連銘柄と、その上昇理由を見ていきましょう。
2-1.建設投資期待から株価が上昇
【1802】大林組は大阪万博開催の恩恵が期待される代表的な銘柄の1つです。
大林組はスーパーゼネコンの一角であり、既に全国規模で様々な案件を手掛けています。
一方で、大阪発祥のゼネコンとして関西エリアで強いブランド力を有しており、「地の利」を活かして受注を獲得することもできるでしょうl.
また、大阪万博に伴う工事は先程ご紹介したような巨大な施設建設が想定されています。
そうした大型案件を手掛けられるにはスーパーゼネコンのノウハウが必要であり、そういった観点でも同社が受注を獲得する可能性が高いです。
大阪開催が決定した翌営業日の同社の株価は、4%と1日の値動きにしては大きく変動しました。
その後株式市場全体の影響で株価水準は下落していますが、大阪万博に絡む案件の受注が顕在化するのは再来年頃が予想されます。
2025年に向けた今後の恩恵を踏まえれば、今後改めて注目度が高まることが見込まれるでしょう。
2-2.コンセッション事業拡大期待から株価上昇
2つ目にご紹介したいのが、【9713】ロイヤルホテルです。
同社は関西を地盤に「リーガロイヤルホテル」を展開しているホテル運営企業です。
大阪には「リーガロイヤルホテル(大阪)」を展開しており、地元からの高い認知度を誇っており、昭和7年に大阪にて創業以降関西地方のみならず、東京にもホテルを構えています。
また同社が2015年11月に発表した中期経営計画では、2018年度までの3年間において大阪のホテル底地を取得して再開発計画を推進する旨が記載されています。
2025年の大阪万博開催までに新規ホテルの開業が間に合えば、開催期間中に増加するであろう宿泊客を取り込むことが期待されます。
万博を契機として観光客がリピーターとなり、その後の大阪への観光客数が増加することも見込まれるということです。
こうした期待感から、開催決定翌営業日の同社の株価は、大林組同様約4%と大幅に上昇しました。
こちらも株式市場の動向により今は開催決定前の水準にまで下落していますが、開催時の恩恵を踏まえれば今後再び注目度が高まる可能性があるでしょう。
- 万博開催に伴う建設需要の恩恵を享受する企業は注目されている
- 万博開催中に恩恵を享受するサービス系企業は注目されている
3.「大阪万博」関連銘柄
銘柄 | 備考 |
【1944】きんでん | 関西地盤の電気工事会社。関西電力向けの配線工事や情報通信工事などを手掛ける。大阪エリアでの工事実績豊富。 |
【8242】エイチ・ツー・オー リテイリング | 関西地盤の小売業。阪急百貨店・阪神百貨店を主体に食品スーパーなどを展開。大阪中心部に大型店舗を有しており、万博の恩恵期待高い。 |
【1980】ダイダン | 大阪地盤の空調工事会社。再生医療など新規分野にも取り組む。万博に伴う建設需要の恩恵享受する可能性あり。 |
【1853】森組 | 大阪地盤の地場ゼネコン。土木工事中心に幅広く展開。大阪万博開催によって建設需要の恩恵を享受する可能性がある。 |
【1833】奥村組 | 関西地盤の準大手ゼネコン。土木工事から建築工事まで幅広い工事実績を有する。大阪万博開催によって恩恵を享受する可能性あり。 |
【1949】住友電設 | 住友電気工業グループの大阪地盤の電気工事会社。国内のみならず海外でも実績があり、幅広く展開。 |
【8244】近鉄百貨店 | 近鉄グループの百貨店事業を担う。大阪エリアに「あべのハルカス」を有しており、観光客の集客力高い。 |
【8173】上新電機 | 大阪地盤の家電量販店。関西エリアに店舗をドミナント展開しており、大阪万博開催によって売上高が慎重する可能性がある。 |
【1852】淺沼組 | 関西地盤の地場ゼネコン。大阪エリアでの工事実績豊富であり、受注面で万博の恩恵を享受する可能性あり。 |
【3194】キリン堂HD | 大阪地盤のドラッグストア。関西エリアを中心に店舗網を拡大しており、インバウンド需要を取り込む可能性あり。 |
4.おすすめ「大阪万博」関連銘柄
では、最後に注目すべき「大阪万博」関連銘柄を紹介します。
4-1.【2730】エディオン
市場 | 東証一部 |
業種 | 小売業 |
単位 | 100株 |
比較される銘柄 | ビックカメラ、ヤマダ電機、コジマ |
企業概要 | 中国地方から関西地方で家電量販店を展開しています。 |
大阪エリア内にも店舗を有しており、万博に伴う観光客増加によって売上が伸長する可能性がある。
4-2.【1850】南海辰村建設
市場 | 東証一部 |
業種 | 建設業 |
単位 | 100株 |
比較される銘柄 | 五洋建設、森組、不動テトラ |
企業概要 | 南海電鉄グループの地場中堅ゼネコンで、建築工事が主体の会社です。 |
関西地盤であり、大阪万博に伴う建設需要の恩恵を享受することが期待出来る。
- 大阪地盤の企業は注目度が高まりやすい
- 特に建設・小売り・サービス関連業界には注目が集まりやすい
5.まとめ
2025年に開催が予定されている大阪万博。
既に大型の建設案件などが報じられており、今後の経済効果に期待が集まっています。
2020年に東京五輪が開催された後、景気面では後退を予想する意見もありますが、大阪エリアでは万博によって経済的な盛り上がりが持続するかも知れません。
今から7年後と少し長期的な話題と思われるでしょう。
しかしながら、「大阪万博」関連銘柄には徐々にプラス影響が顕在化してきます。
株式市場では将来を織り込んでいくためあっという間に株価が上昇してしまう可能性もあります。
中長期的な目線で「大阪万博」関連銘柄に投資することで、大きなリターンを獲得出来るかも知れません。
注目度も高いイベントですので、関連銘柄の投資を検討してみてはいかがでしょうか。
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