- 2019-11-18
- 環境問題
地球温暖化や海洋プラスチック汚染が世界的な環境問題として叫ばれている中で、植物由来のバイオマスプラスチックに大きな注目が集まっています。
日本でも脱プラスチックの一環として、2020年7月からレジ袋の有料化が義務化されますが、バイオマスプラスチックは有料化の対象外となることが発表されました。
バイオマスプラスチック関連銘柄に注目していきましょう!
目次
1.バイオマスプラスチック関連銘柄とは?
地球温暖化対策が世界的な課題となる中で、バイオマスプラスチックに大きな注目が集まっています。
1-1.バイオマスプラスチックとは?
バイオマスプラスチックとは、再生可能な植物由来の物質を原料に生産されるプラスチックのことです。
一般的なプラスチックは石油などの化石資源から生産されていますが、石油資源には限りがあり長期的には枯渇することが懸念されています。
しかしバイオマスプラスチックは、地球上のどこでも生産可能な植物などの有機資源から作れるため、持続的に生産し続けることが可能です。
またバイオマスプラスチックの原料となる植物は、光合成によって二酸化炭素を減らす効果もあるため、地球温暖化対策に大きく寄与すると期待されます。
なお「バイオマスプラスチック」とは、植物から生産されるプラスチック全般を指します。
バイオマスプラスチックの中には、自然界で自然分解される生分解性プラスチックもありますが、自然界で分解されない非分解性プラスチックも含まれている点には注意しておきましょう。
非分解性のバイオマスプラスチックは、あくまで原料が植物であるというだけで、通常のプラスチック同様に自然界で分解されることはありません。
このため現在、世界的に問題となっている海洋プラスチック汚染問題に対して、バイオマスプラスチックが有効かどうかは一概には言えないようです。
バイオマスプラスチックは、地球温暖化対策として注目されているプラスチックであると抑えておきましょう。
マーケットにおいてバイオマスプラスチック関連銘柄は、バイオマスプラスチックを研究開発している繊維メーカーと化学メーカーが中心になっています。
1-2.バイオマスプラスチックはレジ袋有料化の対象外に
地球温暖化や海洋プラスチック汚染などの環境問題を受けて、脱プラスチックや環境に優しい生分解性プラスチックの普及は世界的な流れとなっています。
ただ日本のプラスチックごみ対策は世界的に遅れていると言われており、早期の対策が求められています。
日本が進めるプラスチックごみ対策として注目が集まるのは、レジ袋の有料化です。
2019年11月1日には経済産業省と環境省が、スーパーやコンビニで使われるプラスチック製レジ袋の有料化を義務付ける制度変更案を公表しました。
その中で海洋汚染には繋がらないバイオマスプラスチックを使ったレジ袋については有料化の対象外とする特例措置を盛り込んだことを発表。
また日本でのバイオマスプラスチックの定義は「バイオマス配合率が25%以上のプラスチック」となっていますが、有料化対象外の基準となる配合率は引き上げていく方針であるとのことです。
レジ袋の有料化は2020年7月からと予定されており、レジ袋有料化に伴って、日本でも本格的にバイオマスプラスチックが普及していくことが期待されます。
- バイオマスプラスチックとは植物由来のプラスチックで、地球温暖化対策として期待される
- 2020年7月から始まるレジ袋有料化では、バイオマスプラスチックは有料の対象外となることが発表された
2.バイオマスプラスチック関連銘柄が上昇する理由と過去に上がった銘柄
バイオマスプラスチック関連銘柄は、繊維・化学セクターの銘柄が中心となっています。
両セクターを代表する銘柄の2019年の価格動向を見ていきましょう。
2-1.繊維メーカー大手!【3401】帝人
炭素繊維世界2位の大手繊維メーカー【3401】帝人は、バイオマスプラスチック関連銘柄としても注目の銘柄です。
同社は、非晶性バイオプラスチック「PLANEXT」を開発していることで知られています。
「PLANEXT」は環境負荷の小さなバイオプラスチックで、自動車や電機製品などさまざまな用途に使われることが期待されています。
同社の株価は2019年1月初めには1,718円を付けていました。
しばらくは横ばいで推移していましたが、9月に大きく上昇し、10月には2,211円の高値を付けました。
年初からは最大+28%の上昇となっています。
ただ繊維メーカー全体で見ると、帝人以外の銘柄はやや苦しい値動きが目立ちます。
2-2.化学メーカー大手!【3407】旭化成
化学メーカー大手の【3407】旭化成も、バイオマスプラスチック関連銘柄として期待です。
同社は植物由来のバイオマスを原料とした生分解性プラスチック冷飲料専用コップ「グリーンプロマックス」を開発したことで知られています。
同社の株価は2019年1月初めには1,100円を付けていました。
横ばいが続いてから8月には901.6円にまで下落。その後は戻しており、11月には1,295円まで反発しました。
年初からの上昇率は最大+17%となっています。
ただ旭化成以外の化学メーカーの株価は苦戦しており、横ばいや下落が目立ちます。
バイオマスプラスチック関連銘柄として期待される繊維・化学セクターの銘柄は全体的に苦戦しており、バイオマスプラスチックはマーケットで注目テーマになっているとは言い難い状況です。
- バイオマスプラスチック関連銘柄として期待される繊維・化学セクターは全体的に苦しい値動きに
- 2019年時点では、バイオマスプラスチックは注目テーマ株になっているとは言えない
3.バイオマスプラスチック関連銘柄リスト
銘柄 | 備考 |
【3101】東洋紡 | バイオマス由来の包装用フィルム「バイオプラーナ 二軸延伸ナイロンフィルム(ONY)」 |
【3103】ユニチカ | バイオマスプラスチック「テラマック」 |
【3401】帝人 | 非晶性バイオプラスチック「PLANEXT」 |
【3402】東レ | ポリ乳酸樹脂「エコディア」 |
【3405】クラレ | バイオマスプラスチックを使った素材「PLANTIC」 |
【3407】旭化成 | バイオマス生分解性プラスチック冷飲料専用コップ「グリーンプロマックス」 |
【4021】日産化学 | バイオプラスチック用結晶核剤「エコプロモート」 |
【4118】カネカ | 生分解性プラスチック「カネカ生分解性ポリマーPHBH」 |
【4183】三井化学 | バイオマスプラスチック原料「エコニコール」 |
【4188】三菱ケミカル | 生分解性バイオマスプラスチック「BioPBS」 |
【4202】ダイセル | 非可食性バイオマスプラスチック「セルブレンEC」 |
4.オススメのバイオマスプラスチック関連銘柄3選!
2020年7月から始まるレジ袋有料化を受けて上昇が期待されるおすすめのバイオマスプラスチック関連銘柄を抑えておきましょう。
4-1.【3103】ユニチカ
市場 | 東証一部 |
注目ポイント | フィルム・樹脂などの非繊維に強い繊維メーカー。繊維部門は撤退 |
ユニチカは、バイオマスプラスチック「テラマック」の拡大に力を入れています。
同社は、繊維部門から撤退し、不適切検査が発覚したこともあり株価は低迷しています。
ただ、不適切検査が発覚した2019年8月に株価は底を打ち、その後は反転しつつあります。
バイオマスプラスチック関連銘柄の低位株としておすすめです。
4-2.【3402】東レ
市場 | 東証一部 |
注目ポイント | 合成繊維メーカー大手。炭素繊維で世界首位 |
繊維メーカー大手の東レは、ポリ乳酸樹脂「エコディア」を手掛けていることで知られています。
ポリ乳酸(PLA)は代表的なバイオマスプラスチックであり、容器包装や農業資材を始め、日常のさまざまな場面で使われています。
同社は典型的なディフェンシブ銘柄であり、長期的な安定運用におすすめの銘柄です。
4-3.【4188】三菱ケミカル
市場 | 東証一部 |
注目ポイント | 化学メーカー最大手。エチレン生産に強み |
三菱ケミカルホールディングスは、生分解性バイオマスプラスチック「BioPBS」を手掛けていることで知られています。
化学メーカー最大手の大型株であるためリスクも小さく、配当利回りが4%を超える高配当ディフェンシブ銘柄です。
バイオマスプラスチック関連銘柄であることを抜きにしても、長期の資産運用におすすめの銘柄となっています。
5.まとめ
バイオマスプラスチック関連銘柄は、現在注目テーマ株として大きく買われているとは言えません。
ただ2020年7月のレジ袋有料化において、バイオマスプラスチックは有料化の対象外となることが発表されたことから、日本で爆発的に普及する可能性が出てきました。
とはいっても、バイオマスプラスチック関連銘柄は、ディフェンシブ銘柄が多い繊維・化学セクターの銘柄が中心です。
このためいくらバイオマスプラスチックに注目が集まったとしても、短期的に大きな値上がりとなることは少ないと思われます。
長期投資におすすめのテーマ株として、バイオマスプラスチック関連銘柄に注目しておきましょう!
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