- 2020-4-17
- 自動車関連
東池袋で高齢者が運転する車に母子2人が巻き添えになり、大津市では交通事故の車が園児の列に突っ込み園児2人が亡くなるなど、悲惨な交通事故が相次いでいます。
交通死亡事故を減らす取り組みは世界的なテーマになっており、日本とヨーロッパでは2020年初頭から自動ブレーキの搭載が義務化。
相次ぐ悲惨な交通死亡事故を受けて、国民の安全意識は高まっており、自動ブレーキが搭載された自動車の売れ行きが伸びることは間違いなさそうです。
自動ブレーキ関連銘柄に注目していきましょう!
目次
1.自動ブレーキ関連銘柄とは?
大きなニュースになる交通死亡事故が相次ぐ中、自動ブレーキに大きな注目が集まっています。
1-1.自動ブレーキとは?
自動ブレーキとは、自動車が前方にある障害物を感知して、被害を軽減するために自動制動・自動制御する機能の総称です。「衝突被害軽減ブレーキ」などとも呼ばれます。
自動ブレーキは、警報とブレーキ制御という2段階で衝突被害を軽減する仕組みとなっています。
自動車に搭載されているセンサーによって周辺の情報を取得し、前方の車の停車を検知すると警報を鳴らし、ドライバーがブレーキを踏まなかった場合は、自動でブレーキ制御を行います。
自動ブレーキ関連銘柄は主に2つ
今回注目する自動ブレーキ関連銘柄は、自動ブレーキに必要となるセンサーやブレーキを手掛けている銘柄と、自動ブレーキシステムを手掛けている銘柄の2つに分かれます。
マーケットにおいては、自動ブレーキのセンサーに使われるミリ波レーダーなどを手掛けている自動車部品メーカーが、自動ブレーキ関連銘柄として物色されやすい傾向があります。
一方、スバルの「アイサイト」やトヨタの「セーフティセンス」、ホンダの「ホンダセンシング」といった自動ブレーキシステムを手掛けている銘柄は自動車メーカーが中心になります。
1-2.相次ぐ交通死亡事故でも自動ブレーキに注目が集まる
警察庁が2020年1月6日に発表した交通事故死者数統計によると、2019年の交通事故死者数は前年比-317人の3,215人となり過去最少を記録しました。
ただ、65歳以上の高齢者が占める割合は55.4%となっており、社会における高齢ドライバー対策は急務となっています。
高齢者が起こした交通事故としては、2019年4月19日に東池袋で起きた、高齢者が運転する車が暴走して母子2人が死亡する事件は未だに多くの人の記憶に残っていることかと思われます。
2019年には高齢ドライバーによる事故が相次いだこともり、政府は2019年6月に自動ブレーキの搭載義務化や基準作りについて年内に結論を出すとしていました。
そして2019年12月17日、国土交通省は、国産の新型乗用車を対象に2021年11月から自動ブレーキの搭載を義務付けると発表。
自動ブレーキが自動車に標準搭載されることが正式に決まりました。
なお既存の車種については2025年12月以降に販売する車に適用され、輸入車の新型車は2024年6月以降、輸入車の既存車種は2026年6月以降に適用されるとのことです。
国交省によると、自動ブレーキを搭載することによって追突事故は5割減ると試算されており、さらなる交通死亡事故の減少に繋がることが期待されます。
- 自動ブレーキはセンサーによって障害物を感知して自動停止する運転システム
- 自動ブレーキは交通死亡事故の減少に大きく寄与することから、日本とEUでは自動ブレーキの搭載が義務化された
2.自動ブレーキ関連銘柄で上昇した銘柄とその理由
自動ブレーキ関連銘柄のこの1年の動向を見ていきましょう。
2-1.赤外線センサーで世界トップシェア!【6929】日本セラミック
赤外線・超音波センサーを手掛ける【6929】日本セラミックは、自動ブレーキ関連銘柄としても注目されています。
同社は、赤外線・超音波センサーで世界シェア7割を誇る赤外線のトップ企業として知られており、IoTや自動運転などでも注目が集まる銘柄です。
同社の株価は、2018年6月終わりには2,887円を付けていましたが、米中貿易摩擦による相場下落の余波を受けて、2018年12月には2,118円まで下落。
今年に入ってからは値を戻しており、2019年5月には3,195円まで反発し、6月現在は2,850円前後で推移しています。
年間トータルでは横ばいとなっています。
同社が今年に入ってから反発しているのは、決算が好調だったことが最たる要因だと考えられます。
2-2.ミリ波レーダーの特許数トップ!【6902】デンソー
大手自動車部品メーカーの【6902】デンソーは、自動ブレーキ用センサーとして使われることが期待されるミリ波レーダーで国内特許数トップを誇る、自動ブレーキ関連銘柄の最右翼候補です。
同社の株価は、2018年6月終わりには5,412円を付けており、2018年9月には6,036円まで上昇したものの、その後は世界株安の影響で下げており、2019年6月現在は4,400円前後で推移しています。
自動ブレーキ関連銘柄は、この1年でほとんどの銘柄が横ばいもしくは下落となっています。
2019年2月12日に、国連の欧州経済委員会で、日本とヨーロッパを中心とする40ヶ国で自動ブレーキの導入義務付けが発表されても、株価はほとんど反応しませんでした。
自動ブレーキ関連銘柄は、投資家の注目を集める強いテーマ株にはなっていないようです。
- 自動ブレーキ関連銘柄は、この1年でほとんどの銘柄が横ばい・下落となっている
- 自動ブレーキ関連銘柄は、投資家の注目を集めるテーマ株になっているとは言えない
3.自動ブレーキ関連銘柄リスト
銘柄 | 備考 |
【3105】日清紡HD | 自動車用ブレーキ摩擦材世界トップシェア |
【6503】三菱電機 | 車載用レーダー特許数国内3位 |
【6902】デンソー | ミリ波レーダー国内特許数1位、プリウス向けミリ波レーダーを開発 |
【6929】日本セラミック | 赤外線・超音波センサーで世界トップシェア |
【7238】曙ブレーキ工業 | 自動車用ブレーキ大手、2019年に事業再生ADR申請 |
【7201】日産自動車 | 自動ブレーキシステム「エマージェンシーブレーキ」 |
【7203】トヨタ自動車 | 自動ブレーキシステム「トヨタセーフティセンス」 |
【7261】マツダ | 自動ブレーキシステム「アドバンスト・スマート・シティ・ブレーキ・サポート(SCBS)」 |
【7267】ホンダ | 自動ブレーキシステム「ホンダセンシング」 |
【7270】SUBARU | 自動ブレーキシステム「アイサイト」 |
4.オススメの自動ブレーキ関連銘柄3選!
4-1.【7203】トヨタ自動車
市場 | 東証一部 |
企業概要 | 世界的自動車メーカー、東証時価総額1位の日本のトップ企業 |
トヨタ自動車は、自動ブレーキシステム「トヨタセーフティセンス」を開発しており、現行のトヨタ車に搭載されています。
高齢者のブレーキとアクセルの踏み間違えによる交通事故はプリウスで多発していると言われており、交通事故に社会的注目が集まる中、トヨタの対応には注目が集まります。
4-2.【6902】デンソー
市場 | 東証一部 |
企業概要 | トヨタ系列の自動車部品メーカー、自動車部品世界シェア1位。 |
デンソーは、ミリ波レーダーの国内特許数トップで、プリウス向けミリ波レーダーを開発していることでも知られています。
2017年10月には、ミリ波レーダーで国内2位の特許を持つ富士通テンを子会社化しており、自動ブレーキ関連銘柄としては必ず抑えておかなければいけない銘柄です。
4-2.【7238】曙ブレーキ工業
市場 | 東証一部 |
企業概要 | ブレーキ専業メーカー、国内外で高いシェアを誇る。米国での事業不振から私的整理へ。 |
曙ブレーキ工業は、ブレーキ専業メーカーとして世界的に高いシェアを誇っていましたが、アメリカでの事業失敗によって、2019年1月30日に事業再生ADRを申請しました。
上場廃止にはなっていませんが、株価は100円割れ寸前にまで暴落しています。リスクは高いものの、ボロ株から暴騰する可能性がゼロだとは言えません。
5.まとめ
相次ぐ交通死亡事故を受けて、自動ブレーキは社会的にも注目されるテーマになっていますが、マーケットでは自動ブレーキ関連銘柄は注目されるテーマになっているとは言えません。
ただ、世界的な自動ブレーキ搭載義務化の流れから、日本でも2020年初頭から全ての新車に自動ブレーキの搭載が義務付けられます。
また自動ブレーキ技術は、そのまま自動運転技術に応用することも可能であるため、自動ブレーキ関連銘柄は自動運転関連として物色買いされることも考えられます。
自動ブレーキ関連銘柄は投資家から注目されるテーマになってはいませんが、自動運転は投資家から最も注目されているテーマ株の一つであるため、今後に期待です。
自動ブレーキに関するニュースにはアンテナを張っておき、関連銘柄の動向は要チェックしておきましょう!
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