- 2018-12-5
- テクノロジー
日本は超高齢社会と言われています。
65歳以上の人口が全体の20%を超えてきており、今後益々上昇することが見込まれています。
そして、これに伴い要介護認定者の数も年々増加している一方で、介護する側の人材不足も深刻な状況です。
こうした課題に対し、活躍が期待されているのが「介護ロボット」
今後も介護ニーズが増加することを踏まえれば、介護ロボットに関連する企業は大きなビジネスチャンスが待っていると言えます。
また、社会的課題を解決するという面でもその役割は重要でしょう。
今回は「介護ロボット」に関連する企業について、株価動向やその背景について分かり易くご紹介したいと思います。
目次
1.「介護ロボット」関連銘柄に期待
「介護ロボット」関連銘柄とは、健康意識の向上によって恩恵を受ける企業を指します。
1-1.「介護ロボット」関連銘柄とは?
日本における65歳以上の高齢者人口は、2016年時点で3,461万人となっており、総人口に占める割合は27.3%と割合は年々高まっています。
これに伴い、高齢者の要介護者認定者数は年々増加しているのが現状です。
厚生労働省の調査によると、2014年度の第1号被保険者(65歳以上)の要介護度別認定者数は5,918千人となっています。
一方で、介護関連の労働者の不足が問題視されています。
介護職員数は増加トレンドではあるものの、介護ニーズに対し供給体制が追い付いていない状況と言えます。
こうした状況に対し解決策として期待されているのが介護ロボットです。
介護職員を補助するロボットや、介護サービス自体を自己完結するようなロボットが今後見込まれています。
介護ロボットへの需要は、介護ニーズの拡大に伴い一層増していくと言えるでしょう。
ここでは「介護ロボット」の需要拡大によって恩恵を享受する企業を「介護ロボット」関連銘柄としてご紹介していきたいと思います。
1-2.なぜ「介護ロボット」関連銘柄は株価が上昇するのか?
「介護ロボット」関連銘柄が株式市場で注目されている理由は、需要増加による市場拡大期待です。
介護労働者の現状を調べると、介護ロボットの拡大は不可避であることがわかります。
厚生労働省の資料によると、介護労働者の就業形態は非正規社員に大きく依存しています。
また、訪問介護員においては60歳以上が約3割を占めており、中長期的な労働力確保が課題となっています。
賃金上昇などの待遇改善や雇用体系の変化などの課題が山積しており、実現に向けては時間を要することが想定されます。
そうした状況を踏まえると、介護ロボットの存在は不可欠でしょう。
今後益々その必要性が高まってくることが予想されます。
つまり、「介護ロボット」関連企業にとっては大きなビジネス機会が待っていることを意味しています。
現状の事業規模としては小さくても、将来の拡大を織り込み株式市場からの「介護ロボット」関連銘柄への期待感は高まっていると言えるでしょう。
- 「介護ロボット」関連銘柄とは、介護需要の拡大によって恩恵を享受する企業を指します。
- 中長期的な介護ロボットへの需要拡大を背景に株式市場への期待が高まっている
2.「介護ロボット」関連銘柄の推移
過去に上昇した関連銘柄と、その上昇理由を見ていきましょう。
2-1.【6796】クラリオン需要増加期待から68%上昇
【6796】クラリオンは介護ロボット需要拡大期待によって上昇した銘柄の1つです。
同社は日立製作所の連結子会社で、カーオーディオやカーナビゲーション等の音響・通信機器を中心に展開している企業です。
2014年にセントケア・ホールディングスと異業種連携による介護ロボット合弁会社を設立したことが話題となりました。
両社が設立した「ケアボット株式会社」は、クラリオンの持つカーエレクトロニクス技術とセントケアの介護に関する知見を融合した製品作りを目指しているようです。
独自のノウハウを持ち寄ることで価格面や機能面で差別化が期待されている取組みと言えるでしょう。
また、同社は「服薬支援ロボ」を活用した実証実験にも参画しており、今後益々介護ロボット事業への取組みが積極化することが期待できるでしょう。
同社の株価は過去半年間で68%程度上昇しており、その期待値の高さがうかがえます。
今後の介護ロボット市場拡大を踏まえれば、今後も高い注目度を維持すると考えられます。
2-2. 【3444】菊池製作所需要増加期待から20%株価上昇
2つ目にご紹介したいのが、【3444】菊池製作所です。
同社は、試作製品や金型の設計・製造を手掛けている会社です。
一方で、医療・介護用ロボットの企画・開発も行っており、同社の製品で有名なのが「マッスルスーツ」
介護だけでなく、物流の現場においても活用が見込まれている製品です。
「マッスルスーツ」は、介護などの現場で腰痛を訴える人が多いことを受けて、腰痛防止のために開発された製品です。
また、同社のHPを見ると、高齢者の「ふるえ」をおさえるロボットを2種類掲載しています。
本態性振戦をおさえる「肘装着ロボット」と本態性振戦をおさえる「セミオーダーの手首装具」です。
後者はアマゾンで試験販売を開始したことがHPには記載されており、販売動向が気になるところです。
同社の株価は、過去半年間で20%以上と大きく上昇しています。
同社にとってロボット関連の事業の利益構成比は小さいものの、今後の成長期待が上昇の一因となっている可能性があります。
クラリオン同様、介護ロボットへの需要拡大を踏まえれば引き続き株式市場では注目される銘柄と言えるでしょう。
- 介護ロボットの需要拡大に伴い、関連企業は注目されやすい
- 実績が小さくても、今後の期待値から株価が上昇する可能性がある
3.「介護ロボット」関連銘柄
銘柄 | 備考 |
【6796】クラリオン | カーオーディオやカーナビゲーション等の音響・通信機器を中心。北米や中国など海外にも展開。 |
【3444】菊池製作所 | 試作製品や金型設計・製造を行う。マッスルスーツなどの介護や物流分野に対しロボットによってソリューションを提供。 |
【9749】富士ソフト | 自動車関連、通信・社会インフラのFAなど組込系などを展開。教育関連にも注力。高齢者福祉施設で活躍中の「PALRO」を発売予定。 |
【3939】カナミックネットワーク | 医療・介護の情報共有プラットフォームの開発、運営及びクラウドサービスによる介護の業務支援システム提供を行う。 |
【3151】バイタルケーエスケー・ホールディングス | 医療用医薬品卸が主力事業。医療介護ロボットを含むリハビリ機器等の販売拡大に注力。 |
【7840】フランスベッドホールディングス | 医療・介護用ベッドメーカー大手。家庭用ベッドや家具等も扱う。体動や動作を検知し通知する見守りロボットを開発。 |
【2374】セントケアホールディングス | 介護サービスを全国規模で展開。クラリオン株式会社と介護ロボット合弁会社を設立。 |
【3807】フィスコ | 金融市場のレポートやコメントを金融情報サービスベンダーに提供。子会社で介護ロボットの開発を提供している。 |
【6634】ネクスグループ | フィスコの連結子会社。総合介護事業支援サービスにて、介護ロボットや介護ICTシステムの提案・開発などを手掛ける。 |
【7807】幸和製作所 | 福祉介護用品全般を製造販売。厚生労働省が公募した介護ロボットのニーズ・シーズ連携強調協会設置事業に採択された。 |
4.おすすめ「介護ロボット」関連銘柄
では、最後に注目すべき介護ロボット関連銘柄を紹介します。
4-1.【1420】サンヨーホームズ
市場 | 東証一部 |
業種 | 建設業 |
単位 | 100株 |
比較される銘柄 | タマホーム、住友林業、土屋HD |
企業概要 | 近畿地方を中心にマンションや戸建事業を展開 |
日立製作所と屋内移動支援ロボットを提供しており、今後「介護ロボット」関連銘柄として注目される可能性があります。
4-2.【7807】幸和製作所
市場 | ジャスダック |
業種 | その他製品 |
単位 | 100株 |
比較される銘柄 | フランスベッドHD、パラベッド、フジコピアン |
企業概要 | 福祉介護用品全般を製造販売している企業 |
厚生労働省が公募した介護ロボットのニーズ・シーズ連携強調協会設置事業に採択されており、今後のロボット関連事業拡大に期待が高まる可能性があります。
- 既存事業からは想像出来ない「介護ロボット」関連銘柄は急速に注目度が高まる可能性
- 政府関連の取り組みに参加している企業は、関連企業として注目されやすい
5.まとめ
少子高齢化が着々と進む日本社会。
そうした中で、介護ニーズとそれに対する供給量の不足が顕在化しています。
今回ご紹介した「介護ロボット」関連銘柄は、それぞれにとってビジネス機会が拡大するという意味で注目度が高まりやすいといえるでしょう。
他方、社会的な課題を解決する企業という側面も重視すべきでしょう。
そうしたビジネスは持続的であり、長期間保有するには最適な銘柄といえるかもしれません。
長い目線で「介護ロボット」関連銘柄に着目してみては如何でしょうか。
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