過去5年間の経済成長率が+6~8%で推移している中国。
同期間の日本が+1%程度で推移していたことを踏まえると、今もなお高い成長を遂げていることがお分かり頂けるでしょう。
しかしながら経済成長の反面、社会インフラが追い付いていない、あるいは大気・土壌汚染などの環境問題が新たな社会課題として顕在化しつつあります。
こうした事象は、かつての日本でも見られました。
高度経済成長の「ひずみ」として、公害問題に多くの人々が苦しんだのです。
過去の経験から、日本企業は様々な環境技術を育成・創出してきました。
そして今、中国のみならず経済成長の「ひずみ」に苦しむ新興国に対し、日本の技術が貢献しています。
ここではこうした中国の社会課題解決に貢献している「中国」関連銘柄と、その上昇理由を分かりやすく取り上げていきます。
目次
1.「中国」関連銘柄に期待
「中国」関連銘柄とは、中国の社会課題解決に貢献している企業のことを言います。
1-1.「中国」関連銘柄とは?
中国はこれまで高成長を遂げて来ました。
その反面PM2.5などの大気汚染問題など、数多く日本のメディアでも取り上げられています。
かつての日本もそうでしたが「経済成長>環境」という観念が常態化してしまっていたことの「ツケ」と言えるでしょう。
しかし近年では、中国政府も環境対策に本腰を入れて取り組み始めています。
大気汚染、水質汚染、土壌汚染や廃棄物処理など多岐に亘って法令や制度面で厳格化を開始。
そうした環境対策分野で高い技術力を持っているのが、日本企業です。
その技術を提供することで中国国内の社会課題解決を図ると共に事業規模を拡大させている企業があります。
ここでは、こうした企業を「中国」関連銘柄としてご紹介していきたいと思います。
1-2.なぜ「中国」関連銘柄は株価が上昇するのか?
大気汚染を始め、水質汚染や土壌汚染など、中国は現時点で問題をたくさん抱えています。
彼らの社会課題を解決するとともに、日本企業はビジネスの領域を拡大させつつあるのです。
また日本のグローバルでの製品提供を進めることで、展開する市場の規模感が飛躍的に拡大します。
つまりそれは、その企業にとって成長余地が大きくなったことを意味しているのです。
株式市場にとって企業の「成長余地拡大」は魅力的なキーワードです。
将来の成長率を高く設定出来るためです。
それゆえ、中国でビジネス機会を拡大した日本企業は、株式市場では評価が高まり易いと言えるでしょう。
- 「中国」関連銘柄とは、中国国内の社会課題解決に貢献する企業のことを指す
- 事業エリアの拡大による「成長余地拡大」が株式市場にとって魅力的
2.「中国」関連銘柄の推移
過去に上昇した関連銘柄と、その上昇理由を見ていきましょう。
2-1.土壌汚染への規制強化によりビジネス機会が拡大
まずご紹介したいのが、【6092】エンバイオ・ホールディングスです。
同社は、土壌汚染の調査・浄化工事・リスクコンサルティングを中心に、土壌汚染地の有効活用の支援や土壌汚染関連機器・資材販売を展開しています。
中国では大気汚染同様、土壌汚染も深刻な社会問題を背景に、2016年5月に公布された土壌汚染防止行動計画に基づき、規制強化の動きが進んでいます。
同社への注目度はこれを契機に高まり、2016年5月時点の株価と比べ、一時その3倍まで株価が上昇しました。
同社は最新の中期経営計画において、2022年3月期に中国事業の収益化及び次の成長の原動力となることを目指すことを表明しています。
今後も同社の動向には注目が集まりそうです。
2-2.台風後の復興需要に貢献
【4004】昭和電工も「中国」関連銘柄の1つです。
中国政府が進める大気汚染対策を背景に、中国では「石炭離れ」が進みつつあります。
その代替品として注目度が高まっているのが、製鉄用部材やプラスチック系素材です。
同社が提供しているのは、製鉄用部材の1つである「黒鉛電極」です。
同社が中国で成長する可能性について新聞報道があった今年の6月中旬と比較すると、約1か月強で既に20%程度株価は上昇しています。
大気汚染をもたらす旧来の鉄鋼生産方式から構造的に変化が進むことが予想され、一過性ではなく長期的な需要増大となる可能性があるでしょう。
- 中国の環境規制の変化に注目
- 新たな環境規制をクリアした高い技術力を持つ企業に注目
3.主要中国関連銘柄
銘柄 | 備考 |
【4031】片倉コープアグリ | 有機物と微生物を使った土づくりの技術を強み。今年1月に中国で合弁会社を現地企業と立ち上げ。化学肥料の散布による汚染が深刻な中国の農地再生に貢献していく |
【6092】エンバイオ・ホールディングス | 土壌汚染の調査・浄化工事・リスクコンサルティングを中心に、土壌汚染地の有効活用の支援や土壌汚染関連機器・資材販売を展開。中国での土壌汚染対策で需要拡大の可能性。 |
【5301】東海カーボン | ニューカーボン専業系首位メーカー。人造黒鉛電極とカーボンブラックに強みを持つ。中国での黒鉛電極需要増大の恩恵を受ける可能性がある。 |
【5302】日本カーボン | 各種炭素製品の製造販売。電気製鋼用の人造黒鉛電極をはじめ、炭素繊維、高純度黒鉛、リチウムイオン電池負極材などに特徴。中国での黒鉛電極需要増大の恩恵を受ける可能性がある。 |
【5304】SECカーボン | カーボンメーカー大手。アルミニウム製錬用カソードブロック、人造黒鉛電極、特殊炭素製品、ファインパウダーなど。中国での黒鉛電極需要増大の恩恵を受ける可能性がある。 |
【4004】昭和電工 | ハードディスク販売では世界トップシェア、石油化学、電子材料用ガス、電炉用黒鉛電極など事業分野は幅広い。中国での黒鉛電極需要増大の恩恵を受ける可能性がある。 |
【5947】リンナイ | ガス機器では国内トップシェア。給湯、厨房が主力分野。海外事業はアジア、北米、豪州などで展開。中国国内での「石炭離れ」を背景にガス需要が増加。ガスボイラーの製造を手掛ける同社は事業機会拡大の可能性がある。 |
【5943】ノーリツ | 給湯機器など温水空調分野が主力。高効率給湯器販売強化。長府製作所と資本・業務提携。中国国内での「石炭離れ」を背景にガス需要が増加。ガスボイラーの製造を手掛ける同社は事業機会拡大の可能性がある。 |
【3941】レンゴー | 板紙から段ボールまで一貫生産体制。製紙、軟包装、重包装等にも事業拡大。アジア中心に海外展開。中国が環境対策の一環として推し進める廃棄物の輸入規制を背景に日本からの輸出量増加に期待が集まる。 |
【3861】王子製紙 | 製紙国内首位。植林から家庭用トイレタリーまで一貫展開。パルプ販売や高付加価値の機能財事業で収益力向上を図る。中国が環境対策の一環として推し進める廃棄物の輸入規制を背景に日本からの輸出量増加に期待が集まる。 |
- 選別基準は、中国の環境規制強化に対応できる高い技術力の有無
4.おすすめ「中国」関連銘柄
これから注目すべき「中国」関連銘柄についてご紹介します。
4-1.【5301】東海カーボン
市場 | 東証一部 |
業種 | ガラス・土石業 |
単位 | 100株 |
比較される銘柄 | 日本カーボン、ノリタケ、東洋炭素 |
注目ポイント | 昭和電工同様、中国での黒鉛電極需要増大の恩恵を受ける可能性がある。 |
4-2.【5947】リンナイ
市場 | 東証一部 |
業種 | 金属製品 |
単位 | 100株 |
比較される銘柄 | ノーリツ、長府製作所、コロナ |
注目ポイント | 中国国内での「石炭離れ」を背景にガス需要が増加。 ガスボイラーの製造を手掛ける同社は事業機会拡大の可能性がある。 |
- 環境規制強化により恩恵を受ける可能性がある会社に注目
5.まとめ
中国での環境規制を背景に新たな需要を拡大する日本企業。
今中国が直面している問題は、今後中国だけに留まりません。
いずれASEAN諸国や南米、アフリカ諸国でも同様の問題に直面する可能性が十分あります。
つまり、今中国で環境規制を契機に需要を拡大している企業は、長期的に事業展開エリアが拡大の一途を辿る可能性があるのです。
成長余地が大きい企業群と言えるでしょう
こうした企業を長期的に腰を据えて保有するのも、株式投資にとっては効果的かも知れません。
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