- 2018-4-11
- 特集
2020年に控える東京オリンピック、進むカジノ構想。
近年、個人投資家の資金が内需関連株へと徐々にシフトしていく動きが目立ってきました。
進むインフラ整備や建設ラッシュで増える需要、外国人観光客による国内消費の期待から、内需関連株の強みがますます高まっています。
実際に買われやすい局面からと関連する業種をわかりやすくご紹介します。
目次
1.内需関連銘柄の特徴
国内に主な事業基盤を持つ企業の株式「内需関連銘柄」は、不況時にも独自の強みがあります。
その特徴や好不況でも買われやすい業種と要因まで見ていきましょう。
1-1.真っ先に挙げられる鉄板の業種
読んで字のごとく、国内での需要や消費を指す内需。
代表的な業種には「不動産」「通信」「建設」「陸運」「電力」「小売」「金融」「素材」「電鉄」「レジャー」などが挙げられます。
内需関連株は地下や賃料などの不動産市況も関係したり、個人消費支出などの国内景気に左右されやすく、住宅建設や公共事業といった政府の景気対策の恩恵も受けやすいという様々な特徴があります。
内需関連株をさらに2つのタイプに分けることができます。
景気敏感株
景気動向によって受注や業績が変動する銘柄群のことで、国内景気が回復に向かい始めるときには特に収益を大きく伸ばします。
具体的に外食や百貨店、株パルプ・科学・鉄鋼などの素材、工作機械メーカーなどの設備投資関連にあたる企業が挙げられます。
ディフェンシブ銘柄
ディフェンス(守る)という意味合いから景気動向に左右されにくい安定的な業種がイメージできるかと思いますが、主に「生活必需品」を指します。
具体的には食料品や薬品、電力・通信・ガス・鉄道の社会インフラ関連など。
ディフェンシブ銘柄・内需関連株と言っても業種によっては異なる動きをしますが、その特徴を理解することで有利な投資戦略を立てることができます。
1-2.売買されやすい局面と要因
ディフェンシブ銘柄・内需関連株と呼ばれる範囲は広く、銘柄の種類によって売買されやすい局面や要因は異なります。
一番に株価が大きく動く理由には「景気」が関係しています。
日銀短観から発表されている、景気動向の判断指標である「状況判断DI」は信頼性が高く、プロの投資家は重要視する指標のひとつ。
好景気であれば外食やレジャー産業の収益が上がり、国内旅行者数も増えることで経済が活性化し内需関連株が注目されます。
これに対し海外事業が主な収益基盤となっている業種を「外需関連株」と呼びますが、景気回復や円高を材料に、外需関連株の対比で買われる面もあります。
投資を行う際は値動きの異なる銘柄に分散することでリスクを抑えることができますので、その具体的な投資法として内需関連株と外需関連株の組み合わせが有効とされています。
投資戦略のひとつとして覚えておきましょう。
- 内需関連株は景気敏感株とディフェンシブ株の2つのタイプに分類できる
- 日銀短観の状況判断DIは景気を判断する指標として関心が高い
2.これから期待できる2つのディフェンシブ関連セクター
国内景気を底上げするアベノミクス相場の第二波が訪れようとしています。
東京オリンピックが近づくにつれて注目が増していくであろう期待の業種を見ていきましょう。
2-1.2020年に向けて大改造が進むインフラ
アベノミクス第4の矢と位置づけられる東京オリンピックは、より一層の景気回復へと拍車をかけることになります。
開催に向けて交通施設の改修や新設。品川からリニアモーターカーを通したりと、社会インフラ整備は必須です。
そのほか外食やホテル、テーマパークなどの産業にも影響が広がります。
同時に進むカジノ構想もあり、今後も公共事業拡大が見込まれ、これからの数年間で日本はめまぐるしく変化し、膨大なお金が動いていきます。
内需関連株はその恩恵を最大限に受けることができるのです。
東京オリンピック関連に建設株が注目を集めていますが、開催が近づくにつれスポーツ用品や警備などの株も買われやすいのでチェックしておきましょう。
2-2.外国人観光客による国内消費の恩恵
オリンピック開催によって見込まれるのが訪日外国人の増加。
富士山の世界文化遺産登録の影響や、観光地や食文化など質の高い日本の「おもてなし」にも注目が集まり、ここ数年大幅な増加傾向にあります。
外食や民泊、百貨店などの代表的な内需関連株も期待できますが、特に旅行者が必ずと言っていいほど立ち寄るラオックスにも注目したいところ。
主に家電や化粧品、日本食など旅行者受けしそうなテーマに注目し、中国人による爆買い対象となる関連銘柄も面白いでしょう。
安倍首相が掲げる成長戦略の訪日外国人倍増は、国策とも言えるカテゴリー。
2020年までに年間4000万人の旅行者数を動員することを目標に受け入れ態勢の強化を図っており、これからより一層期待が高まります。
- 建設株以外にもスポーツ用品や警備関連に注目
- 旅行者受けしそうな家電や化粧品、外食産業なども高まる期待
3.なぜ内需関連銘柄は不況にも強いのか
不況時には当然ながらモノが売れなくなります。
そのような状況にこそ買いたくなる内需関連株の魅力を知っておくことで、相場環境に応じた適切な銘柄選びができるようになります。
3-1.不況時にも見込まれる一定需要
内需関連株に属する「ディフェンシブ株」に焦点を当てていきます。
代表的なディフェンシブ株は通信や薬品、電力、ガス、鉄道などを指し、これらは好不況にかかわらず一定の需要が見込める銘柄群です。
不景気になると電機や自動車メーカーは低迷し、それまで順調に業績を伸ばしていた大手でさえも赤字転落により一気に急落することも考えられます。
その点ディフェンシブ株と呼ばれる企業の業績にはほとんど影響せず落ち込むことはないので、不況時ほど買われる傾向があるのです。
不況時には内需のディフェンシブ株に注目したいところですが、大事なのは他の投資家よりも早い行動を取れることです。
内需関連株でも値動きに特徴の違いがありますので、それらを組み合わせてリスク分散できるような投資戦略が取れるよう、銘柄は定期的にチェックすることを心がけましょう。
3-2.安定的に大きな配当を出す企業が多い
内需関連株の中には安定的に大きい配当を出す企業が多く存在しており、不況で株が売られると相対的に配当利回りが上昇します。
例えばある企業の株が3000円の利回り90円だとしましょう。
不況時にこの企業の株が売られて1500円まで値を落としました。すると、このとき配当利回りは3%から倍の6%に上昇します。
このように株が売られても配当利回りが上昇することで、株価の大きな下落を防ぐ下支えの役割となるのです。
一般的には不況になると配当を減らす企業も少なくないですが、内需でもディフェンシブ株は強気に高配当利回りを維持する企業が多いとされています。
そのような材料がある内需関連株ほど、さらに買われやすくなります。
ただし、配当利回りがいいからとすぐに飛びつくのは危険。
安定的に高配当が得られそうかが重要で、時価総額が比較的大きい企業に絞ることです。
不況時に備え、これに当てはまるディフェンシブ株を把握しておくことで、慌てることなく適切な投資判断が行えるようになるでしょう。
- ディフェンシブ株は好不況にかかわらず一定の需要が見込める
- 長期に渡り安定的に配当を維持している内需関連株は不況時に人気化する
4.厳選!成長期待のディフェンシブ・内需関連銘柄をPICK UP
地政学リスクの高まりで冴えない環境下でこそ、世界情勢や為替の影響を受けにくい内需関連株がその強さを発揮します。
4-1.【9020】JR東日本
市場 | 東証一部 |
業種 | 陸運業 |
単位 | 100株 |
比較される銘柄 | JR西日本, JR九州, JR東海 |
注目ポイント | 日本最大の鉄道会社。電子マネー「Suica」も強み。 |
JR東日本は、言わずと知れた日本最大の鉄道会社です。
同社の業績の安定感は説明不要であり、東証を代表するディフェンシブ銘柄として君臨しています。
また、同社の電子マネー「Suica」は、日本のキャッシュレス決済をけん引していることでも知られています。
「Suica」を通して得られる顧客のビッグデータを活用できることから、モビリティ革命ことMaaSのカギを握るMaaS関連銘柄としても期待。
4-2.【9437】NTTドコモ
市場 | 東証一部 |
業種 | 情報・通信業 |
単位 | 100株 |
比較される銘柄 | KDDI, SBG, NTT |
注目ポイント | 携帯キャリア大手。次世代通信規格5Gでも注目が集まる |
NTTドコモは、3大携帯キャリアの中でもトップ企業として知られています。
菅官房長官が携帯料金の引き下げに言及するなど、「儲け過ぎ」が指摘されることも多い携帯キャリアですが、その分投資家へのリターンも手厚くなっています。
業績・財務状況ともに絶対的な安心感があるのはもちろん、株価も安定しており配当利回りは4%を超え。
NISA口座での長期投資におすすめしたいディフェンシブ高配当銘柄です。
4-3.【2503】キリンHD
市場 | 東証一部 |
業種 | 食料品 |
単位 | 100株 |
比較される銘柄 | アサヒ, サッポロHD, サントリBF |
注目ポイント | 発泡酒に強みを持つビール国内2位。 |
キリンホールディングスは、「キリン一番搾り生ビール」などで知られる国内2位のビールメーカーです。
ビールや飲料水は不況になっても需要が安定していることから、株価も安定した推移をするディフェンシブ銘柄となっています。
また2019年10月の消費税増税でも、食料・飲料水には軽減税率が適用されるため、売上が落ちる心配はありません。
国内1位のビールメーカーである【2502】アサヒホールディングスもディフェンシブ銘柄としておすすめですが、配当利回りはキリンの方が高くなっています。
まとめ
為替相場や世界情勢の先行き不透明感が強い相場環境でも、株価下落のリスクが少なく配当収入も狙えることで根強い人気がある内需関連株。
外需が景気を押し上げると、内需も引っ張られて上昇する相乗効果も期待でき、個人だけでなく機関投資家の資金も向かいます。
内需関連株の特徴を押さえておくことで、より精度の高い投資戦略が構築できるようになるでしょう。
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