- 2019-8-8
- 製品機器
取引先の本社や友達との待ち合わせなどでよく使うマップ機能。
目的地だけでなく自分の現在位置も表示してくれるため、迷うことが減った方も多いのではないでしょうか。
こうした機能を支えているのが「GPS」です。
宇宙空間にある衛星との信号の送受信によって、位置に関する様々な情報を瞬時に取得出来るような仕組みとなっています。
GPSを用いたサービスは、マップ機能やカーナビゲーションに留まりません
今後更に進化することが期待されているのです。
今回は「GPS」に関連する企業を取り上げ、株価動向やその背景について分かり易くご紹介したいと思います。
目次
1.「GPS」とは?
「GPS」とは、「global positioning system」の略で、全地球測位システムと訳されます。
宇宙空間に存在する人工衛星と信号を送受信することによって、詳細な位置情報を把握することが出来ます。
この人工衛星は、米国が打ち上げたもので約30機あると言われています。
そのため、GPSを活用したサービスは米国の衛星を利用して成立しているのです。
地球上のどこにいても常に4機以上のGPS衛星が上空に存在するような配置となっているようですが、実はこれだけでは不足していると言われています。
建物や森林などの障害物によってGPS衛星からの電波が届かないことがあり、安定して位置情報を得るためには、より多くの衛星が存在することが望ましいのです。
そのため日本で打上げが行われたのが準天頂衛星システム「みちびき」です。
日本上空に常に存在する「みちびき」を2023年度までに7機打ち上げることが予定されており、実現すれば測位誤差が10㎝以内になることが期待されています。
1-1.ドローン配達にも期待がされている
安定かつ正確な位置情報が供給されるような体制によって期待されているのが、ドローン配達です。
現状配送トラックの運転手などの人手不足が深刻化しています。
EC市場の発展によって配送需要は益々高まっていくことが想定されています。
その打開策として注目されているのがドローンによる無人配達です。
しかしこのサービスを実現するのに必要となるのが正確かつ安定した位置情報の把握でした。
みちびきが全て打ちあがり、日本独自のGPSシステムが出来上がれば、こうした新たなサービスが生み出されるかも知れないのです。
株式市場は、新サービスの登場やそれによって恩恵を享受する企業に注目しているというわけです。
- 「GPS」とは、全地球測位システムのことで正確な位置情報を提供している
- 今後「みちびき」によって一層正確な位置情報把握が可能であり、新たなサービスが生み出されることが期待されている
2.「GPS」関連銘柄が上昇する理由は?
「GPS」に株式市場が注目している理由は、新サービスの登場です。
先程ご紹介したドローンの自律飛行による配達がその代表例でしょう。
また、自動運転もその一例です。
自動運転技術は、周囲の環境を画像的に捕捉する以外に、位置情報の活用も必要となってきます。
従来のようなカーナビゲーションでは、リアルタイムで現在位置が表示されていましたが、誤差が生じる状態でも十分成立していました。
それは人間が運転をしているためです。
人間が危険状態を察知し未然に事故を防ぐことが出来たからです。
しかし自動運転はそうはいきません。
従来のGPSは測位誤差が10メートルほどあると言われており、これでは事故が発生するリスクが非常に高いのです。
「みちびき」によってより正確な位置情報が把握出来ることによって、自動運転は実用化に一段近づきます。
こうした新サービスは、中長期的な市場拡大が期待されており、株式市場はいち早く関連銘柄に投資をしようと注目しているのです。
2-1.衛生みちびきの送受信機を製造している【2359】コア
同社はシステムインテグレーションサービスや、セキュリティ・IoT関連のソリューション提供、データセンターサービスなどを提供している企業です。
最大の注目点は、「みちびき」からの信号を受信する受信機を製造・販売していることです。
将来米国GPS衛星と「みちびき」を組み合わせた日本独自のGPSシステムが完成した場合、位置情報を活用する企業は必ず受信機が必要になります。
先程も触れた通り、位置情報を用いた新サービスは市場成長が期待されている分野が多く、規模拡大に伴い受信機などの数も増えていくことが想定されます。
つまり、位置情報を活用した新サービスが立ち上がれば立ち上がるほど、同社は事業機会が拡大するのです。
2019年5月には経済産業省がみちびきを活用したドローン実証実験を実施するなど「GPS」機運が高まっています。
そうした背景から同社への注目度も高まっており、株価は2019年5月以降25%程度上昇しました。
未だ株価は上昇トレンドにあり、今後も持続するかも知れません。
2-2.GPS銘柄の本命か。【7732】トプコン
同社は「ポジショニング」「スマートインフラ」「アイケア」の3分野で事業を展開しています。
特に注目を集めたのがポジショニング事業において投入された受信機です。
同製品は2017年6月末にリリースされ、当時世界最小・最軽量の受信機として注目を集めました。
また、内閣府のHPには、同社の受信機用チップが「みちびき対応製品」として掲載されており、みちびきの動向と深く関連する企業と言えるでしょう。
新製品をリリースした2017年6月末から約6か月間で株価は3割ほど上昇しました。
株式市場から「GPS」関連銘柄の本命として認識された事例と言えるでしょう。
- みちびきを活用した新サービスは高い市場成長性を有しており、これに関連する企業は注目されやすい
- 現段階では、新サービスを開始する企業よりもみちびきの活用を実現する機器類を製造している企業に注目が集まりやすい
3.「GPS」関連銘柄リスト
【6232】自律制御システム研究所 | 千葉大学発で完全自律型ドローンの技術開発・販売を手掛ける企業。日本型GPS完成により製品が普及する可能性がある。 |
【9432】日本電信電話 | 国内トップクラスの通信事業者。グループ会社には移動体通信業者のドコモを抱える。GPSを利用したスマート農業分野に関心。 |
【6199】セラク | ITインフラ・クラウドを始め、IoTプラットフォーム構築などを手掛ける企業。IT農業を事業領域としており、関連銘柄化する可能性がある。 |
【9613】エヌ・ティ・ティ・データ | ビッグデータ分析やAI活用サポート、決済システムまで幅広く手掛ける。みちびきに対応したドローンの開発を手掛ける。 |
【3694】オプティム | 農業分野や医療、水産分野にITソリューションを提供する企業。AI搭載のドローンを製品展開している。 |
【9437】NTTドコモ | 国内移動体通信事業者としてトップクラスを誇る。人工衛星データの活用などに積極的でGPS関連銘柄として認識される可能性。 |
【2359】コア | システムインテグレーションサービスや、セキュリティ・IoT関連のソリューション提供を手掛ける。みちびき対応の受信機を提供。 |
【7732】トプコン | 「ポジショニング」「スマートインフラ」「アイケア」の3分野で事業を展開しており、みちびき対応製品を提供している。 |
【3987】エコモット | IoTインテグレーション事業を展開しており、データ収集から分析までのソリューションを提供。衛星データに対応した自動変位計測システムを手掛ける。 |
【7740】タムロン | カメラ用のレンズを中心に製造・販売を手掛ける。ドローン搭載のカメラ向けに需要拡大が期待される。 |
4.おすすめ「GPS」関連銘柄
4-1.【3444】菊池製作所
市場 | JASDAQ |
業種 | 金属製品 |
単位 | 100株 |
関連企業 | 川田テク, 丸順, 山王 |
企業概要 | 研究開発における試作品の提案から製造・提供までを一貫して手掛ける企業。 |
ドローンの製造を行っており、今後GPS関連銘柄として注目される可能性。
4-2.【3905】データセクション
市場 | 東証マザーズ |
業種 | 情報・通信業 |
単位 | 100株 |
関連企業 | ホットリンク, イード, メンバーズ |
企業概要 | ソーシャルメディア分析やマーケティングソリューションを手掛ける企業。 |
注目ポイント
ドローンを活用した太陽光発電施設点検サービスを開始しており、関連銘柄として注目される可能性。
4-3.【7733】オリンパス
市場 | 東洋一部 |
業種 | 精密機器 |
単位 | 100株 |
関連企業 | ソニー, テルモ, 富士フイルム |
企業概要 | カメラや双眼鏡、医療分野向けの内視鏡を製造・販売している企業。 |
注目ポイント
ドローンの需要増加に伴い搭載カメラ市場が盛り上がる可能性がある。
- GPSによって需要が増大するドローン関連の企業は注目されやすい
- ドローン搭載の部品を製造する企業は注目されやすい
5.まとめ
自動運転やドローンによる無人配送は、今後市場拡大が期待される分野です。
自動運転はその圧倒的な便利さゆえに普及が一気に拡大することは想像に難くありません。
またドローンによる無人配送は、人手不足に悩む運送業界の課題を解決する重要な役割を果たすでしょう。
そして自動運転やドローン配送などの新サービスを下支えするのが、GPSです。
「みちびき」が加わった日本独自のGPSシステムによって、日常生活は更に豊かなものとなるでしょう。
「GPS」関連銘柄は、まさに未来を生み出す企業群と言えるかもしれません。
業績面への寄与はまだ先でしょうが、長い目線で注目してみてはいかがでしょうか。
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