- 2019-7-9
- 自動車関連
大陽日酸は+30%!山王は+98%!
次世代エコカー競争は、中国やEUがEVシフトを強めたこともあり、燃料電池車(FCV)はやや苦しい状況になっています。
FCVの普及には、水素を供給する水素ステーションのインフラ整備がカギとなりますが、コストが高いことなど問題が山積みです。
そんな中、経済産業省は「水素・燃料電池戦略ロードマップ」を発表し、2030年までに水素ステーションを全国に900ヶ所作る目標を掲げました。
水素社会到来のカギを握る、水素(水素ステーション)関連銘柄に注目していきましょう!
目次
1.水素(水素ステーション)とは?
燃料電池車(FCV)普及のカギを握る水素ステーションが大きな注目を集めています。
1-1.水素ステーションとは?
次世代エコカーとしてEV(電気自動車)とともに注目されているのが、水素と酸素の化学反応によって電力を生み出して走行する燃料電池車(FCV)です。
EVは蓄電池に電力を充電して走行しますが、FCVは燃料電池に水素を補給して発電することによって走行します。
FCVのメリットとデメリット
メリット
EVに比べたFCVのメリットは、走行時に排出するのは水だけで二酸化炭素を排出せず、EVのように長時間の充電を必要としない点が挙げられます。
デメリット
一方FCV普及の大きなデメリットとなっているのが、水素を補給するための水素ステーションの圧倒的な不足です。
水素ステーションの種類は3つ
- 水素ステーションには、その場で水素を製造できるオンサイト型
- ガソリンスタンドのように外部から水素ガスを持ってくるオフサイト型
- 複数の場所に移動可能な移動式タイプ
近くに水素を製造する工場があるならコスト面でオフサイト型が有利となり、工場がないならオンサイト型の方が有利になると考えられます。
ただし、いずれの方式も、水素ステーションの製造コストはまだ高く、現在のガソリンスタンドのように水素ステーションが普及するかどうかは未知数であるというのが現状です。
1-2.経済産業省が「水素・燃料電池戦略ロードマップ」を発表!
トヨタ自動車が2014年12月に世界初の量産型燃料電池自動車「MIRAI」を発表したことで、水素ステーションの普及は進むものと期待されました。
しかし厳しい情勢が続いています。
特に2017年には中国やEUでEVシフトが鮮明になり、次世代エコカーの潮流はEVに大きく傾くことになりました。
マーケットでも、EV関連銘柄やEV関連テーマに世界中の投資家の資金が流れこむ結果に。
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FCVに逆境が吹く中、経済産業省は2019年3月12日に、水素社会の実現に向けた「水素・燃料電池戦略ロードマップ」を新たに発表しました。
このロードマップでは、2025年までに燃料電池車(FCV)とハイブリッド車(HV)の価格差を現在の300万円から70万円に抑えることにより、2030年までに80万台のFCVを普及させることを掲げています。
また、水素ステーションの整備・運営費を抑えることによって、2025年までに320ヶ所、2030年までに900ヶ所の水素ステーションを設置することを目標としています。
世界的なEVシフトが鮮明になる中、経済産業省が水素ステーション整備の新たなロードマップを示したことによって、燃料電池車の巻き返しに期待していきましょう。
- 水素ステーションは、燃料電池車(FCV)普及の鍵となる社会インフラ。
- 世界的にEVシフトが進む中でFCVは逆境に立たされている。
- 経済産業省が「水素・燃料電池戦略ロードマップ」を発表し、2030年までに水素ステーションを900ヶ所まで拡大する目標を掲げた。
2.水素関連銘柄が上昇する理由は?
水素関連銘柄として大きく上昇した銘柄を見ていきましょう。
2-1.パッケージ型水素ステーションを開発!【4091】大陽日酸
産業用ガスの国内トップメーカーである【4091】大陽日酸は、水素ステーション関連銘柄としても知られています。
同社が開発しているパッケージ型水素ステーションは、従来の水素ステーションに比べてコンパクトで、オンサイト式、オフサイト式、移動式の全てに対応できる共通設計となっています。
同社の株価は、2019年3月12日に経済産業省が「水素・燃料電池戦略ロードマップ」を発表したことで大きく上昇しています。
2019年3月11日には1,622円を付けていた同社の株価は、ロードマップ発表で大きく上昇し、また良好な決算を発表したことも手伝い、5月14日には2,124円まで上昇しました。
経済産業省の水素ロードマップ発表から2ヶ月で+30%の上昇となっています。
2-2.水素ステーションに欠かせない技術!【3441】山王
貴金属表面処理加工分野のリーディングカンパニーである【3441】山王は、水素ステーション関連銘柄としても注目されます。
同社は、2017年1月に、水素社会の実現に寄与すると期待される水素透過膜の特許を取得したことを発表しました。
同社の株価は、この発表を受けて水素関連銘柄として大きく買われ、2017年内には一時1,974円まで上昇。
しかし2018年は低迷し、2018年12月には540円まで大きく値を下げました。
その後2019年3月4日に、開発中の水素透過膜の良好な進捗状況を発表したことを受けて連続ストップ高に。
2018年末には615円を付けていた株価は、2019年3月7日には約2倍となる1,222円まで急反発しました。
ただ、株高は長く続かず、2019年5月現在は700円前後と、再び大きく値を下げています。
- 水素関連銘柄は、ニュースで一時的には上げるも長期的な株高は続かない傾向
- 注目テーマには変わりないため、今後の技術革新に期待
3.水素関連銘柄リスト
銘柄 | 備考 |
【3441】山王 | 水素透過膜 |
【4091】大陽日 | パッケージ型水素ステーション |
【5019】出光興産 | 水素ステーション |
【5020】JXTGホールディングス | 水素ステーション |
【6366】千代田化工建設:水素の貯蔵 | 水素の貯蔵・輸送システム |
【7203】トヨタ自動車 | 燃料電池車「MIRAI」、水素ステーション |
【7267】ホンダ | 燃料電池車「クラリティ」、水素ステーション |
【8088】岩谷産業 | 水素ステーション、産業用液化水素 |
【9533】東邦ガス | 豊田市に水素ステーション建設 |
4.オススメの水素関連銘柄3選!
注目の水素関連銘柄を3銘柄見ていきましょう。
4-1.【7203】トヨタ自動車
市場 | 東証一部 |
企業概要 | 世界的自動車メーカー、燃料電池車の技術力は世界一 |
トヨタ自動車は、燃料電池車や水素ステーションの動向を握っている企業であり、水素関連銘柄として必ず抑えておく必要があります。
企業規模からすると、燃料電池関連のニュースでトヨタの株価自体が大きく動くことはないと考えられます。
が、トヨタ発のニュースでその他の水素関連銘柄が暴騰する可能性が大いにあり得ます。
水素関連銘柄を抑えておく際には、トヨタの動向は必ずチェックしておきましょう。
4-2.【3441】山王
市場 | 東証ジャスダック |
企業概要 | 貴金属表面処理加工に定評がある金属メーカー |
山王は水素ステーションにも欠かせない水素透過膜の特許を取得しており、水素関連銘柄として投資家に最も注目されている銘柄です。
水素透過膜に関する技術開発のニュースは、今後も目が離せません。
4-2.【8088】岩谷産業
市場 | 東証一部 |
企業概要 | LPGで国内首位のガス商社。合成樹脂や液体水素も手掛ける |
岩谷産業は、国内で多くの水素ステーションの実績がある他、日本で初めて産業用液化水素事業を始めた水素のリーディングカンパニーです。
また、アメリカでも水素ステーション事業を開始しています。
2013年のアベノミクス相場で水素関連銘柄として大きく買われて以降は安定した値動きをしており、長期投資におすすめの水素関連銘柄です。
5.まとめ
世界的なEVシフトが進む中で、燃料電池車(FCV)はやや苦境に立たされていますが、
マーケットでは、燃料電池車(FCV)や水素関連銘柄は注目されるテーマにはなっています。
ただ、水素関連銘柄はニュースを受けて短期的に上がることはありますが、EVのように中長期的に買われる強いテーマ株にはなっていないというのが現状です。
水素関連銘柄が中長期的に断続的に買われる強いテーマ株となるには、技術革新が必要だと思われます。
技術革新によって燃料電池や水素ステーションの製造コストが大きく下がることが期待されます。
水素関連技術や水素ステーションに関するニュースにはアンテナを張っておき、水素関連銘柄の動向には注目しておきましょう!
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