- 2017-6-20
- 低位株
成功者と呼ばれる投資家のほとんどが、一度は大きなリスクを冒してまでも資産を倍増させて来たことでしょう。
一発デカイ勝負をした勝ち組個人投資家には、そう難しいことではないかもしれません!
リスキーではありますが、少額投資で始めることができますし、現状を打破する1つの切り札として「上場廃止」の秘密を探っていきましょう。
目次
1.上場廃止基準に抵触しそうな銘柄を狙う
投資家の保護を目的として各市場では上場廃止基準が設けられています。
意外と知られていないこの基準と、企業の財務体質から予備軍を見つける方法を確認していきましょう。
1-1.各市場の上場廃止基準を把握する
上場廃止の基準は証券取引所によって定められています。
各市場によってルールは異なりますが、多くの投資家に重要視される時価総額の基準値は把握しておきましょう。
時価総額に関する上場廃止の審査は毎月2項目で行われます。
- 月間平均時価総額(終値の月間平均値)
- 月末時価総額(月の最終営業日の終値)
上記どちらかが、各市場で定める一定の基準を満たせなかった場合に上場廃止となります。
東証1部・2部は「時価総額が10億円未満」になった時点で審査の対象となり、
9ヶ月以内で10億円以上とならなかった場合に上場廃止。
マザーズでは「時価総額が5億円未満」になった時点で審査対象となり、
9ヶ月以内で5億円以上とならなかった場合に上場廃止。
基準値となる時価総額は以下の計算式で求めます。
株価 × 発行済み株式数(自己株式含む) = 時価総額
これからご紹介する投資法は「上場廃止になりそうでならない」そんな銘柄で稼ぐ為の内容となっています。
ここに隠された稼げる秘密を見ていきましょう。
1-2.謎の急騰?上場廃止基準を免れる動きを利用
時価総額の基準値に抵触しそうになると、上場廃止を免れるかのように株価上昇するケースが多く見られます。
一見リスクが高いように聞こえますが、高確率でリターンが見込めるのです。
例えばマザーズ市場で考えたとき、発行済み株式数が1,000,000株で株価500円の銘柄を、先程の計算式に当てはめてみましょう。
500(株価) × 1,000,000(発行済み株式数) = 500,000,000(時価総額)
マザーズ市場の時価総額における上場廃止基準は「5億円未満」ですので、この銘柄はあと1円でも下がると基準に該当することになります。
このとき「時価総額要件に抵触した旨の開示」のタイミングで買うことで、あとは上場廃止を免れようとする謎の急騰が起こるのを待つのみ。
この投資法はあくまでも上場廃止にならないという前提で成り立ちます。
リスクを抑える手段として、企業がその他の上場廃止基準にも該当してないかなど経営状況を調べるようにしましょう。
時価総額における上場廃止基準には抵触しているが、業績は良い、という企業が理想です。
- 東証1部・2部は10億円未満、マザーズは5億円未満の時価総額をチェック
- 倒産を避けるため購入する銘柄の経営状況は調べるようにしましょう
2.上場廃止決定後の銘柄を狙う2つの戦略
上場廃止が決定し、急速に売られて低位株となった銘柄でハイリターンを狙う、上級者向けの投資法をご紹介していきます。
2-1.潤沢な資産且つTOBを下回る銘柄を狙う
上場廃止に伴うTOB(公開株式買付)や会社清算で利益を狙う手法があります。
ここで言う「清算」とは、会社が解散したときに発生した債権債務などを整理する活動のこと。
具体的には有価証券や不動産の現金化、発行した債権の回収などをした後、借金があれば返済に回し精算した結果、会社に残った資産(残余財産)を保有株に応じて株主に割り当てます。
会社の負債がほとんど無く、純資産の価値が高ければ高いほど、
上場廃止後の1株あたりの分配金額が大きくなるのです。
このとき、資産内容や財務体質を判断する指標としてPBRを用います。
PBRは企業の本来の価値と現在の株価の関係を表しており、
一般的にPBRが1.0以下である程その株は「割安」と判断されます。
ちょうどPBRが1.0のときは1株あたりの純資産は等しいという意味で、プラスマイナス0のイメージです。
つまり、PBRが1.0の時の清算時はちょうど分配金が残らない、と考えることができますが、
逆にPBRが低いほど、分配金額は増えることが期待できるのです。
また、PBRが低い企業はTOBの対象にもなりやすく、企業の株価が100円のときTOB価格に200円が提示された場合、その価格に合わせて株価上昇するケースも多く見られます。
目安として「1.0以下の低PBR」の銘柄に絞るとより精度が高まります。
売るタイミングは、ある企業AがBに対してTOBを仕掛けた時に株を買い、資本提携が成立した時に売る。
この方法であれば、売買のタイミングを迷うこともありませんね。
2-2.リスキーだけど夢のテンバガーを狙える可能性
上場廃止が決定した銘柄でテンバガーを狙う投資法は企業が倒産しないことが前提です。
そして、廃止の理由が倒産でなければ株価10倍の大化けは実現可能です。
不祥事などで上場廃止が決まった企業でも、時価総額に対して純資産が20倍、30倍もあれば、多少の赤字を出していても経営は続けていけます。
廃止決定後の割安な状態で買うことはもちろんですが、同社が破産することなく持ちこたえられるような将来のビジョンがあればなお良しです。
しかし、数年保有できる体力と覚悟が必要になります。
ウェブサイトでの時価総額の低い銘柄の探し方としまして「Yahoo!ファイナンス」で時価総額を下位順で表示すると簡単です。
そのほか「株探」などの株式情報サイトで時価総額基準に抵触した企業の適時開示が随時アップされますので、チェックしておきましょう。
過去にニュース等で大きく取り上げられた例を挙げると、液晶ディスプレイ用の検査装置を扱う企業「OHT」が有名でしょう。
上場廃止から2年程経ったとき、投資ファンドが同社株を10倍の価格で買い取りを実施しました。
上場廃止が決定した株に資金を入れることは普通なら考えにくい行動ですが、
このようなアタリの銘柄を引くポイントとして、純資産が豊富であること。
また、オーナー企業であれば意思決定がスムーズ且つ柔軟な施策展開も期待でき、MBO(経営陣買収)の対象にもなりやすいことが言えます。
現状、景気後退も危ぶまれる日本市場において、上場廃止企業が増える時代が到来した時の切り札として覚えて損はないでしょう。
大きく稼ぐには、掟破りな方法でリスクを取る必要があります。
▼低位株についてはこちらをご参考下さい
【2019年】テンバガー(10倍株)候補銘柄の一覧!銘柄の選び方も伝授します
- PBRが1.0より低い銘柄ほどリターンが見込める
- 純資豊富であるほど倒産の可能性は低くなる
3.マネーゲームであることのリスク
上場廃止が疑われた時点もそうですが、特に廃止が決定して整理銘柄に指定されてからはマネーゲーム化するケースが多く見られます。
3-1.上場廃止の寿命となる1ヶ月が勝負
上場廃止となるまでの取引が活発な1ヶ月間は「祭り」とも呼ばる状況で、短期的な資金が流入し値動きが激しくなります。
このようにマネーゲーム化するきっかけとなったのが、2003年の「紙幣ばら撒き事件」でしょう。
当時のデイトレーダーが、経営破たんした足利銀行の株式を乱高下していた1~5円で約600万株購入後、15円で売り抜け8,000万円稼いだというものです。
テレビ塔の屋上から紙幣をばら撒いたことで、一躍有名となりました。
それからというもの、上場廃止銘柄を狙った投機資金で株価は簡単に数倍まで跳ね上がったりもしましたが、
次第に「1円抜き」という手法が広まったことで、今では爆発的な上昇はあまり期待できません。
それでも単純に、株価5円で買って10円で売ると2倍は確保できますので、上場廃止はうまくいけば時間をかけずに勝負できる人気のあるイベントです。
3-2.資産価値ゼロになる可能性は避けられない
上場廃止が決まると整理銘柄に指定され、1ヶ月後に上場廃止となります。
その間はデイトレーダーを中心にリバウンドを狙う、短期で投機的な売買が主。大抵は数日から1週間程度で利確や損切りの判断を下します。
まるでババ抜きのように、早めに売り抜けてしまわないとあっという間に株価が1円まで下がってしまう高いリスクがつきものです。
もちろん、2倍3倍という可能性も十分に秘めているからこそ人気化する理由もあります。
もし売るタイミングを逃して上場廃止となれば資産価値はゼロになってしまいますから、
“ハイリスクハイリターン”であることを覚悟しなければなりません。
まずは過去の銘柄から値動きのパターンを見ておきましょう。そして、取り組む際に損切りは徹底することです。
関連記事:【要注意】上場廃止となった株はどうなる?注意点と対処法の全て
こちらでは東芝についてもご紹介していますので、併せてご覧下さい。
- 上場廃止になるまでの1ヶ月間は取引が活発になる
- ハイリスクハイリターンな投資を覚悟しなければならない
4.まとめ
投資の基本は安く買って高く売ることですから、低位株を探す方法などは全ての個人投資家が身に付けておくべきと言えます。
また、上場廃止銘柄を狙うにはどうしても高いリスクがつきものですので、ある程度の知識と経験が必要です。
リスクを抑え勝つ可能性を高めることができる投資法の1つとして、今回の内容がお役に立てば嬉しいです。