- 2018-8-28
- ライフ・日常
過去5年間で日本を訪れる観光客が急速に増加しています。
日本政府の取り組みや円安などが主な背景ではありますが、彼らが来日する理由の1つは、日本メーカーの様々な製品・サービスが外国人に人気となっているのです。
その代表例が化粧品。
今回は化粧品関連銘柄と、これまで上昇してきた理由を分かりやすく取り上げていきます。
目次
1.化粧品関連銘柄に期待
「化粧品」関連銘柄とは、訪日需要などを背景に業績を拡大させている化粧品関連企業のことを言います。
1-1.「化粧品」関連銘柄とは?
2011年時点での訪日観光客数が年間620万人程度だったのに対し、2016年には2,400万人へと急速に増加しています。
その中でも大きな割合を占めているのが中国人観光客です。
2016年時点での観光庁の調査によれば、訪日中国人の買い物の内容でトップに来るのが化粧品です。
日本に来た中国人の4人に3人が化粧品を購入しているそうです。
今後も東京オリンピックを契機として日本の価値が世界で再認識されれば、海外から日本化粧品への需要が増加する可能性があるでしょう。
また、最近では日本の化粧品メーカーが新たな機能を持った商品を次々と投入しています。
例えば、「シワ」改善機能を持った商品です。
これまでシワを「目立たなくする」商品は数多く販売されていましたが、「改善する」領域にまで向上したという意味で画期的でしょう。
顧客基盤は国内のみならず海外にも拡大しているので、画期的な商品が投入されていけば、日本の化粧品メーカーの業績は飛躍的に拡大する可能性が高いと言えます。
ここでは、こうした企業を化粧品関連銘柄としてご紹介していきたいと思います。
1-2.なぜ「化粧品」関連銘柄は株価が上昇するのか?
「化粧品」関連銘柄が株式市場で注目されている理由は以下の2点です。
・顧客基盤の広がり
・日本メーカーの商品開発力
顧客基盤の広がり
日本国内を中心に事業を展開している企業は、どうしても中長期的な人口減少及びそれによる市場縮小の影響を受けてしまいます。
つまり、業績を維持するためには国内市場でのシェアを上げ続けなければならないのです。
これはかなり難易度が高いと言えるでしょう。
しかし、海外に目を向ければ対象市場は飛躍的に拡大します。
中でもアジアは経済水準が発展してきていることもあり、人口増加のみならずより良質な生活を求めるようになりました。
日本の化粧品は中国だけでなく、東南アジアにおいても高い人気を誇っています。
現在はECを活用すれば日本に来なくとも日本製品を購入すること可能です。
これにより、店舗を構えて従業員を教育して…といったプロセスが不要となりました。
顧客基盤が拡大したことをベースとして、短期間でスピーディーな事業拡大が可能となったのです。
日本メーカーの商品開発力
既に海外から高い評価を受けるほど、日本メーカーは良質な商品を生み出してきました。
その流れは現在も変わりません。
「シワ」改善機能の化粧品を代表例として、今後も様々な画期的な商品が開発されていくでしょう。
以上2点を踏まえれば、国内化粧品関連企業は今後業績が拡大していくことが期待できます。
こうしたことから、化粧品関連銘柄の株価が上昇するのです。
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2.化粧品関連銘柄の推移
過去に上昇した関連銘柄と、その上昇理由を見ていきましょう。
2-1.【4927】ポーラ・オルビスHDの新製品による成長期待
まずご紹介したいのが、【4927】ポーラ・オルビスHDです。
ポーラ・オルビスは2017年から1年間で株価は80%超上昇しました。
背景にあるのが、同社が2017年に発売した「シワを改善する」という新たな機能を持つ「リンクルショット」です。
これまでシワを「目立たなくする」商品は数多く販売されていましたが、「改善する」領域にまで機能が向上した新商品でした。
これが商品販売増加に貢献したこともあり、業績は大幅に伸長。
同社は既に訪日観光客向けにブランド力を確立しつつありますので、今後同商品がグローバルで人気が出るかもしれません。
同社の今後の業績に期待感が高まるイベントだったと言えるでしょう。
こうした動きが評価され、株価が大きく上昇したと推測されます。
2-2.【4921】ファンケルは顧客基盤拡大への期待から株価上昇
【4921】ファンケルも直近大きく上昇した銘柄です。
同社の株価は過去半年間で47%程度上昇しています。
理由は今年3月に発表した新中期経営計画だと考えられます。
同社は同業他社に比べ海外展開の面でやや出遅れている面があった印象でしたが、今回の新中期計画でアジアでの展開国拡大、アメリカへの再チャレンジを掲げています。
既に訪日観光客向けに同社の商品は販売が拡大しており、海外で成功する可能性が十分高いと言えるでしょう。
今後本格的に現地で拠点を構えることで、海外への販売が加速することが期待されます。
株式市場は、同社が将来海外で売上を拡大させ業績成長につながることを踏まえ、株価が上昇したと考えられます。
- 新製品による売上拡大が今後の期待感を高めた
- 海外本格化による顧客基盤拡大が将来への期待感を高めた
3.「化粧品」関連銘柄
銘柄 | 備考 |
【4925】ハーバー研究所 | 化粧品と栄養補助食品の製造、販売を行う。無添加基礎化粧品が中心であり、美容オイル「スクワラン」が主力製品。主要販路は通信販売で、百貨店や卸売、直営店舗販売などにも展開。 |
【4921】ファンケル | 無添加が特徴の化粧品メーカー。サプリメントなどの栄養補助食品も製造。販売チャネルは通信販売、直営店、卸販売の3形態が中心。 |
【4452】花王 | トイレタリー国内首位で、傘下にカネボウ化粧品をもつ。「メリーズ」「アタック」「ビオレ」の3ブランドを、それぞれ売上高1,000億円規模のメガブランドに育てる方針。 |
【7506】ハウス オブ ローゼ | 自然派志向のスキンケア化粧品やバス製品を展開。販売は百貨店、専門店の直営店舗が中心。リラクゼーションサロンなどの運営も手掛ける。 |
【4917】マンダム | 男性用化粧品では国内トップの化粧品メーカー。主力ブランドは「ギャツビー」。インドネシアでの売上高が全体の2割以上を占める。女性分野への事業拡大を図る。 |
【2385】総医研HD | 化粧品はプラセンタ原液が強み。2015年に中国Beauty Plus社と資本提携し、中国、香港、シンガポールへ進出。抗疲労イミダペプチドが機能性表示食品認定。 |
【4927】ポーラ・オルビスHD | 訪問販売の「POLA」と通信販売・店舗販売の「ORBIS」が中心。1社ワンブランド制で化粧品事業を展開するマルチブランド戦略を展開。 |
化粧品と一般用医薬品、医薬部外品などの製造、販売を行う。化粧品は中高価格帯のカウンセリング商品と、「なめらか本舗」などセルフ販売商品を展開。 | |
【4924】シーズ・HD | 子会社ドクターシーラボを中心に、化粧品、健康食品、美容機器などを製造、販売。エステティックサロンも展開。2016年に米Johnson & Johnsonと資本業務提携を締結。 |
【4926】シーボン | スキンケア製品を中心とする化粧品および医薬部外品を、自社工場で製造し、主に直営店で販売。会員制度によるアフターサービスも提供。 |
【4918】アイビー化粧品 | 高級スキンケア中心の化粧品メーカー。資本関係を持たない販売会社への訪問販売が主要販路。エイジングケアを軸とした高品質・高機能製品の開発を強化。 |
- 日本国内で評価される商品力を持っているかが海外拡大においても重要
- 訪日観光客に注目されている化粧品を販売しているかに注目
4.おすすめの化粧品関連銘柄
これから注目すべき化粧品広告関連銘柄についてご紹介します。
4-1.【4911】資生堂
市場 | 東証一部 |
業種 | 化学 |
単位 | 100株 |
比較される銘柄 | 花王、コーセー、ポーラHD |
注目ポイント | 昨年ポーラ・オルビスHDに続き「シワ改善」商品を発売。着実に販売数量増加に寄与しており、今後の業績成長に期待。 |
国内シェアトップの化粧品メーカー。トイレタリー製品、美容食品、医薬品なども手がけています。
プレステージ、フレグランス、などプロフェッショナルの5ブランドカテゴリーを設定し、プレステージ領域への投資を加速。アジアを中心に地域本社機能を強化中で、期待の銘柄です。
4-2.【4922】コーセー
市場 | 東証一部 |
業種 | 化学 |
単位 | 100株 |
比較される銘柄 | 資生堂、ポーラHD、花王 |
注目ポイント | 訪日観光客需要を最大限享受している銘柄の1つ。 |
国内の化粧品メーカー大手。高級化粧品のアルビオンを傘下に持つ。
「コスメデコルテ」を重点グローバルブランドとして育成を強化しています。
同社も「シワ改善」商品を発売が見込まれており、今後の業績貢献に期待!
- 訪日観光客に注目されている化粧品を販売しているかに注目
- 新機能商品の発売が今後予定されているかに注目
5.まとめ
日本の消費者は世界一厳しい消費者と言われています。
そんな日本の消費者を満足させてきたからこそ、日本の化粧品は海外でも人気を博しているのかもしれません。
訪日観光客が百貨店の化粧品売り場やドラッグストアに溢れている様子は、日本人として誇らしくもあります。
ECの発展によって、日本の化粧品メーカーは更なる事業成長の余地が見出されており、海外に拠点を設けなくても、グローバルで販売拡大が狙えるようになったのです。
株式投資の観点でも、化粧品関連銘柄に注目してみると面白いですね。
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