- 2021-5-28
- 環境問題
【6293】日精樹脂工業は+58%!【5631】日本製鋼所は+158%!【6284】日精エー・エス・ビー機械は+166%!
日本でも2020年7月からプラスチック製レジ袋が有料化されるなど、世界的に脱プラスチックの風潮が高まっていますが、それでもプラスチック需要は好調です。
特にEVシフトが進むことでプラスチック需要は増大しており、皮肉なことに脱炭素はプラスチックに追い風となっています。
プラスチック関連銘柄に注目していきましょう!
目次
1.プラスチック関連銘柄とは?
脱プラスチックが進んでいることからプラスチック産業は停滞していると思われがちですが、その用途の広さからプラスチックは成長を続けています。
1-1.プラスチック関連銘柄について
プラスチック関連銘柄とは、プラスチックを手掛ける銘柄を総称するテーマ株です。
プラスチック加工機やプラスチック成型を手掛ける銘柄を中心に構成されます。
プラスチックに関するテーマ株としては、バイオマスプラスチックやグリーンプラなど脱プラスチックに関するものが多くなっていますが、プラスチック市場は好調です。
そもそもプラスチックとは、合成樹脂などの高分子物を主原料として人工的に作られた固体物質のことです。
プラスチックは熱を加えると変形する性質があることから、さまざまな形状に加工された製品を大量に作ることができます。
軽量で壊れにくく、透明性があり着色も自由、さらに電気絶縁性や断熱性もあり、衛生面でも優れているなど、数多くのメリットがあります。
プラスチックは、精製所で蒸留された原油からできるナフサと呼ばれる液体が原料です。
つまりプラスチックは石油から作られているということですが、石油の全使用量におけるプラスチックの割合はわずか7%程にしか過ぎません。
ただプラスチックごみの海洋汚染が世界的な環境問題となるなど、脱プラスチックの風潮は強くなっており、日本でも2020年7月からプラスチック製レジ袋が有料化されることとなりました。
1-2.脱プラが進む一方で、プラスチック需要は堅調となっている
環境問題を背景に脱プラスチックが進んでいることから、プラスチック需要は減少の一途を辿っているように思ってしまいがちですが、実際はそうなってはいません。
日本産業機械工業会と日本プラスチック機械工業会がまとめた2021年3月の射出成形機受注台数は、前年同月比+60.8%増の1,502台となり、7ヶ月連続プラスになったとのことです。
プラスチック射出成形機の好調を支えているのはEV(電気自動車)化の流れで、EVシフトが進むことによってガソリン車以上に軽量化が要求されることになるため、プラスチック使用割合が増えるとされています。
さらに世界中で進む新型コロナワクチン接種でも、注射器などの医療機器にプラスチックが使われていることからプラスチック需要に寄与しているとのことです。
プラスチックは環境問題の敵とされてしまっていますが、海洋プラスチック問題が生態系に与える影響はほとんどないとする専門家の意見もあります。
またプラスチックに使われている石油はそこまで多くなく、プラスチック以外の他の素材で代替するとしたら、より多くの資源が必要となり、より多くの石油を無駄遣いすることになってしまいます。
EVシフトが進んだ結果、プラスチック需要が増加するというのは皮肉な結果ですが、プラスチックのメリットはそれだけ大きいということでしょう。
いずれにしても、プラスチック加工機やプラスチック成型を手掛けるプラスチック関連銘柄はEV系テーマ株として押さえておくことが重要です。
- プラスチック関連銘柄とは、プラスチック加工機やプラスチック成型を手掛ける銘柄を総称するテーマ株。
- プラスチックはレジ袋有料化など脱プラの流れで需要が減っているようなイメージがあるが、EVシフトや新型コロナワクチン接種などで需要が増加している。
2.プラスチック関連銘柄が上昇する理由と過去に上がった銘柄
2020年から2021年に掛けて大きく上がっているプラスチック関連銘柄を見ていきましょう。
2-1.代表的なプラスチック関連銘柄!【6293】日精樹脂工業
プラスチック射出成形機最大手の【6293】日精樹脂工業は、代表的なプラスチック関連銘柄です。
同社は、2020年1月にイタリアの世界的射出成形機メーカーであるネグリ・ボッシ社を買収したことでも知られています。
同社の株価は、2020年7月には779円まで下げていましたが、そこからジワジワと上昇しており、2021年5月21日には1,237円まで上昇しています。
この期間に最大+58%の上昇となりました。
同社は2020年秋のEVシフトの恩恵を受けて買われた銘柄と見てよいでしょう。
2-2.プラスチック射出成型機大手!【5631】日本製鋼所
樹脂成形機の世界的メーカーである【5631】日本製鋼所は、EVシフトでも注目のプラスチック関連銘柄です。
同社は樹脂成形機やプラスチック射出成型機に強いことに加えて、EVの基幹部品となるリチウムイオン電池用セパレータフィルム製造装置で世界トップシェアであることも知られています。
同社の株価は2020年5月初めには1,305円を付けており、その後はやや停滞していましたが2020年9月から急伸。
2021年1月8日には3,375円まで上昇しました。
EV銘柄として買われ、直近1年で最大+158%の上昇率となっています。
ただ、2021年1月以降は停滞しており、2021年5月時点では2,800円前後で推移しています。
上記2銘柄以外のプラスチック関連銘柄としては、プラスチック容器成形機を手掛ける【6284】日精エー・エス・ビー機械も最大+166%となっており、やはりEVシフトが好感された2020年秋以降に上昇しています。
※2020年5月~2021年5月までの最大上昇率。
プラスチック関連銘柄は、2020年秋以降にEVテーマ株として物色された傾向があると見てよいでしょう。
- プラスチック関連銘柄は、2020年秋以降にEVテーマ株として物色されている傾向がある。
3.プラスチック関連銘柄リスト
銘柄 | 備考 |
【6293】日精樹脂工業 | プラスチック射出成形機最大手 |
【5631】日本製鋼所 | 樹脂成形機・プラスチック射出成型機 |
【6284】日精エー・エス・ビー機械 | プラスチック容器成形機 |
【6143】ソディック | 射出成形機 |
【6104】芝浦機械 | 射出成形機 |
【6292】カワタ | プラスチック成形周辺機器大手 |
【6482】ユーシン精機 | プラスチック射出成型品取り出しロボット最大手 |
【6347】プラコー | プラスチック加工機 |
【4215】タキロンシーアイ | プラスチック加工大手 |
【4222】児玉化学工業 | プラスチック加工大手 |
4.オススメのプラスチック関連銘柄3選!
EVテーマ株としてもオススメのプラスチック関連銘柄を押さえておきましょう。
4-1.【6293】日精樹脂工業
市場 | 東証一部 |
企業概要 | プラスチック射出成形機最大手。 |
日精樹脂工業は、イタリアの世界的射出成形機メーカー:ネグリ・ボッシ社も傘下に持つ、東証を代表するプラスチック関連銘柄です。
配当利回りも2%強あり、投資初心者がプラスチック関連銘柄に投資するとしたら、最もオーソドックスなおすすめ銘柄となります。
4-2.【5631】日本製鋼所
市場 | 東証一部 |
企業概要 | 大型鋳鍛鋼、樹脂成形機で高い世界シェアを持つ。 |
日本製鋼所は、樹脂成形機で世界的に強いプラスチック関連銘柄です。プラスチック関連銘柄の中では最も流動性が高い人気銘柄となっています。
日経平均構成銘柄であることも買い安心感がある一因となるでしょう。
4-3.【4215】タキロンシーアイ
市場 | 東証一部 |
企業概要 | 建築・住宅資材に強い合成樹脂製品メーカー。 |
タキロンシーアイは、建築・住宅資材に強みを持つプラスチック加工大手で、配当利回りが高いプラスチック関連銘柄としておすすめ銘柄です。
株価はこの3年間、550~750円の間で推移し続けており、配当利回りは4%弱の高配当銘柄となっています。
5.まとめ
プラスチック関連銘柄は、EVシフトが世界中に吹き荒れた2020年秋以降、大きな値上がりとなっている銘柄が目立ちます。
脱プラスチックで環境問題の敵とされるプラスチックが、脱炭素のEVシフトで需要が増大するという皮肉な流れとなっている状況です。
プラスチックの海洋汚染は世界的な環境問題となっているものの、プラスチックのメリットはデメリットを大きく上回っているということでしょう。
プラスチックに関する環境政策やEVシフトに関するニュースにはアンテナを張っておき、プラスチック関連銘柄の動向は要チェックしておきましょう。
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