- 2019-3-27
- ライフ・日常
日本は「超高齢社会」に突入しました。
超高齢社会とは、総人口に占める65歳以上の人口割合(高齢化率)が21%以上の状態を指しています。
2017年の日本における高齢化率は27.7%となっています。
そして少子高齢化・人口減少が進む中で、将来2060年には38.1%にまで上昇することが想定されています。
これからの日本での主役はシニア層となってくるのです。
今回は高齢化の進展を背景に恩恵を享受する企業を、「シニア」関連銘柄として、株価動向やその背景について分かり易くご紹介したいと思います。
目次
1.「シニア」関連銘柄に期待
「シニア」関連銘柄とは、シニア層の増加によって恩恵を享受する企業を指します。
1-1.「シニア」関連銘柄とは?
「シニア」関連銘柄は、2つに大別することが出来ます。
1つはシニア層の趣味・趣向に沿った商品・サービスを提供している企業群です。
その代表的な例が旅行でしょう。
シニア層は定年を迎え、お金と時間に余裕のある生活を送っています。
会社勤めの時代には行くことが出来なかった長期の海外旅行や少しリッチな国内旅行などに出掛ける方も多いのではないでしょうか。
その他にも、趣味やスポーツ、フィットネスなどの健康増進に活かすこともできるでしょう。
つまり、旅行代理店業やスポーツ、フィットネス施設などを運営する企業がこのグループに該当します。
そしてもう1つが、高齢者増加によって増大する介護や医療分野で商品・サービスを提供している企業群です。
介護や医療の現場は構造的な人手不足によって疲弊しています。
そうした業界に対し、人材供給や労力低減のサービスなどを提供している企業も該当するでしょう。
以上の2つにグループに属する企業群については、株式市場から「シニア」関連銘柄として高い注目を集めているのです。
1-2.なぜ「シニア」関連銘柄は株価が上昇するのか?
「シニア」関連銘柄が株式市場で注目されている理由は、人口増加を背景とする中長期的な市場成長性です。
内閣府が公表している「平成30年版 高齢社会白書」には、高齢化の状況について記載されています。
この資料によると、2017年10月1日時点の調査では総人口に占める65歳以上の人口割合(高齢化率)が27.7%となっています。
約3人に1人が65歳以上の高齢者となっており、「超高齢社会」にあると言えます。
そして同資料内には、2065年の将来推計人口が記載されています。
それによると2065年の高齢化率は38.4%と4割近い水準にまで上昇していくことが見込まれています。
また、絶対数では2065年段階では2017年と同程度ですが、2045年までは増加傾向が続くことが想定されています。
つまり、市場規模の拡大が期待出来る貴重なマーケットと言えるでしょう。
株式市場では、そうした市場の拡大性に期待感が高まっており、「シニア」関連銘柄に注目が集まっているのです。
- 「シニア」関連銘柄とは、シニア層の増加によって恩恵を享受する企業を指します
- 2045年までの高齢者人口の増加に伴う市場拡大への期待が集まっている
2.「シニア」関連銘柄の推移
過去に上昇した関連銘柄と、その上昇理由を見ていきましょう。
2-1.シニア関連銘柄として株価が上昇
【6198】キャリアは「シニア」関連銘柄の1つとして期待値が高い銘柄です。
同社はシニアワーク事業及びシニアケア事業の2つのビジネスを中心に行っています。
シニアワーク事業は、人手不足に悩む企業と就労意欲の高いシニア層とをマッチングするビジネスです。
同社のHPには内閣府の「高齢者の地域社会への参加に関する意識調査」から引用したデータが記載されています。
それによると、60歳代の約8割、70歳代の約5割が地域社会への参加に意欲的と回答しているそうです。
一方で、人不足の課題を抱える企業が多いのが現状です。
シニア層の増加を活かし、社会課題の解決を図る事業と言えます。
また、もう1つのシニアケア事業は、医療・介護の現場に対し人材供給を行うビジネスです。
介護の現場は慢性的な人不足に悩まされていますから、こちらでも同社の果たす役割は大きいでしょう。
株式市場では、シニア層の増加を見据え、同社の存在感が増してくることに注目しています。
同社が新規上場した2016年6月以降、約1年半で株価は4.6倍程度まで上昇しました。
現在の株価は調整しているものの、中長期的なシニア層増加による恩恵は不変ですので、今が買い時かも知れません。
2-2.アクティブシニアの旺盛な需要から株価上昇
2つ目にご紹介したいのが、【4680】ラウンドワンです。
同社はボウリング・アミューズメント・カラオケ・スポッチャ(スポーツを中心とした時間制の施設)等で構成される地域密着の屋内型複合レジャー施設を運営している会社です。
テレビCMなどで一度は社名を聞いたことがあるのではないでしょうか。
そんな同社に、シニア関連銘柄として注目が集まったのが、アクティブシニアの存在です。
アクティブシニアとは65歳以上で趣味や旅行、健康など消費に意欲的なシニア層のことを指します。
既存の価値観にとらわれず、「新しい」ものに惹かれる方が多いのも1つの特徴として挙げられています。
アクティブシニア層の増加によって、ボウリングやカラオケなどの利用者数が増加することが見込まれており、同社が展開するレジャー施設への来客数も拡大が期待されているのです。
そうした期待感から同社の株価は3年前と比べ約2倍にまで上昇しています。
もちろんそれ以外の文脈によって株価が上昇した可能性もありますが、シニア層の増加によって恩恵を享受する銘柄として、今後も注目度が高まるかも知れません。
- シニア向けのビジネスを展開している企業は注目されやすい
- アクティブシニアの増加によって恩恵を享受する企業は注目されやすい
3.「シニア」関連銘柄
銘柄 | 備考 |
【9603】エイチ・アイ・エス | 旅行代理店業務を中心に、ホテルの運営やハウステンボスの運営など「コト消費」全般を手掛ける。 |
【9726】KNT-CTホールディングス | 近畿日本ツーリストとクラブツーリズムが経営統合して誕生。個人向け・法人向け双方で旅行代理店業務を手掛ける。 |
【9376】ユーラシア旅行社 | 海外ツアーを中心に国内旅行も手掛ける旅行代理店を展開。海外で独自のツアーを企画・提供している。 |
【9766】コナミホールディングス | 家庭用ゲームやスマホゲームなどのコンテンツを提供。スポーツクラブを施設運営では国内トップクラス。 |
【2928】RIZAPグループ | トレーニングジム「RIZAP」を主力としてジーンズメイトなどのアパレル事業も手掛けるなど多様なビジネスを展開。 |
【2157】コシダカホールディングス | カラオケ施設「カラオケまねきねこ」の運営やフィットネスジムの「カーブス」や温浴施設を展開している。 |
【4801】セントラルスポーツ | 全国にフィットネスジムの「セントラルスポーツ」を展開している他、法人向け健康支援サービスも手掛ける。 |
【2378】ルネサンス | スポーツクラブ運営の他、女性専用フィットネススタジオや介護リハビリ支援、健康教育支援などを手掛ける。 |
【9792】ニチイ学館 | 医療関連や介護関連のサービスを展開。その他語学サービスや家事代行、資格系など高齢者の需要に対応するビジネスを展開。 |
【6197】ソラスト | 大東建託のグループ企業。医療事務サービスや介護サービスを展開する他、医療・介護の人材への教育サービスも提供している。 |
4.おすすめ「シニア」関連銘柄
最後に、注目すべき「シニア」関連銘柄を紹介します。
4-1.【8920】東祥
市場 | 東証一部 |
業種 | サービス業 |
単位 | 100株 |
比較される銘柄 | 東京ドーム、共立メンテ、ロイヤルホ |
企業概要 | フィットネスクラブ「ホリデイスポーツクラブ」を運営する企業です。 |
シニアの健康志向の高まりから注目度が高まる可能性がある。
4-2.【2398】ツクイ
市場 | 東証一部 |
業種 | サービス業 |
単位 | 100株 |
比較される銘柄 | ヒューマン、ニチイ学館、ベネッセHD |
企業概要 | 在宅介護事業や有料老人ホームを展開する企業です。 |
シニア層の増加による需要拡大から注目される可能性がある。
- アクティブシニアの需要を獲得するサービスを提供している企業は注目されやすい
- 高齢者増加に伴い需要が拡大する介護サービス系の企業は注目されやすい
5.まとめ
3人に1人が高齢者となった日本。
これからその割合は益々高まっていくことが想定されています。
今後の日本の主役はシニア層なのです。
自らの趣味や嗜好を重視するアクティブシニアの登場により、旅行や健康増進、生涯学習など様々なサービスが恩恵を享受することが期待されています。
シニア関連銘柄は、非常に裾野が広いテーマと言えるでしょう。
その中で、シニア層の需要を的確にとらえた商品・サービスを提供している企業こそが、今後飛躍的な成長を遂げるのです。
シニア関連銘柄に投資する際は、将来にわたっての優位性を見極めることが重要かも知れません。
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