- 2018-7-19
- 株の初心者用講座
絶対読んで欲しいおすすめ記事3選!
投資家にとっては美味しい立会外分売。
通常より安く銘柄を買うチャンスであり、短期で高い勝率、東証一部への昇格だって狙うことも可能となります。
そんな立会外分売について、分からない人には分かりやすく、知っている人には魅力的な投資法をご紹介。
立会外分売銘柄の旨みとデメリットを知り、そのチャンスがあれば積極的に利用しましょう。
目次
1.立会外分売で割引されお得に購入できる
投資家にとってはお得に株を買えるチャンスの立会外分売ですが、どういった取引なのか見ていきましょう。
1-1. 立会外分売の3つの目的
立会外分売(たちあいがいぶんばい)とは、証券取引所の時間外で大量の売り注文株を割引価格で売買する方法のことを言います。
主に企業や大株主等からの売り注文を分売する流れとなり、前日終値より約3~5%の割引価格で売却されますので、通常よりお得に購入可能となります。
時間外で大量の株を売る立会外分売の目的としては、3つがあります。
立会外分売の3つの目的
株価が値下がりする可能性
まず、一つ目のポイントとして大株主などの大量株を通常の取引で一度に売り出すと、株価は大きく値下がりする可能性があります。
これが立会外分売であれば、割引した価格と決まった値段での売却が可能になるので、株価下落を最小限に抑えることができます。
流動性を高める
立会外分売により不特定多数に株を売却するので株主は増加します。それにより流動性が高まれば通常取引増加にも繋がりやすい点があります。
昇格を狙う
例えば東証一部への昇格には、株主数2,200人以上、流通株式数2万単位以上などの基準があります。
これらの市場変更により昇格を狙う為、株主数を増やす必要があるので立会外分売が利用されます。
これらの目的などから立会外分売が利用されます。
1-2.立会外分売銘柄の流れと当選率アップの方法
では、立会外分売をする銘柄はどのように発表され、申し込みできる期間はどの位あるのか順を追って見ていきます。
まず、立会外分売をする銘柄は通常、取引所に届出を行い実施予定日の数週間前から1日前の間に決定します。
立会外分売が決定すると、企業のIR情報で公開されます。
- 分売予定株式数
- 分売予定日
- 分売値段
- 買付申込数量の限度
これらが発表され条件がわかるようになります。
分売値段については、分売実施日前日の終値、もしくは最終気配値を基準として決定され、その株価から3%~5%ほど安くした価格で売りだされます。
この立会外分売銘柄を購入するには、各証券会社で申込みをする必要があります。
当選率アップの方法
ただ、IPO銘柄のように抽選となりますので、必ず買える訳ではありません。
立会外分売の当選率を上げるには、複数の証券会社を利用し、申し込みすることが当選の確立を上げるポイントとなります。
立会外分売の買付に関しては通常の取引と異なる為、取引手数料は無料となるのでお得です。
※売却時は通常の手数料がかかります。
- 立会外分売は様々な目的からお得に売り出される取引
- 立会外分売は取引手数料が無料で企業のIRで発表される
2.立会外分売のメリットデメリット
立会外分売の概要が分かったところで、次は立会外分売のメリットやデメリットといった中身を見ていきます。
2-1.平均2%後半の割引で買える立会外分売
立会外分売には様々なメリットがあり、まず言えるメリットは割引価格で購入できることでしょう。
分売実施日前日の終値から、通常3%~5%程度割り引かれた株価で購入することができるのでお得です。
では実際に、立会外分売にてどの位の割引率になっているのでしょうか。
まずは直近である2017年1月から8月16日までに、立会外分売を行った74銘柄の割引率を調べてみました。
- 割引率1%~1.99% 15銘柄
- 割引率2%~2.99% 40銘柄
- 割引率3%~3.99% 18銘柄
- 割引率4%~4.99% 1銘柄
平均すると2.56%の割引率という結果が確認できました。
- 2016年 全92銘柄 平均2.68% 最高4.09%
- 2015年 全101銘柄 平均2.70% 最高4.15%
- 2014年 全93銘柄 平均2.87% 最高7.37%
- 2013年 全151銘柄 平均2.98% 最高4.76%
このように割引率の平均値を見ると2%後半が多いということが分かりました。
最高4%台を超える割引率の銘柄もあり、立会外分売はお得に購入できる方法と言えます。
その他の立会外分売のメリット
- 買付け手数料が無料
- 勝率が高い。※下記3-1にて詳しく取り上げています
- 指定替えが期待できる※下記3-2にて詳しく取り上げています
立会外分売にはこのようなメリットがあり、魅力的な取引となります。
2-2.毎日ある訳ではない立会外分売
立会外分売には魅力的なメリットが多くありましたが、逆に、デメリットはどのようなものがあるのか確認しておきましょう。
立会外分売のデメリット
必ず買えるとは限らない
立会外分売は、基本的に抽選方式なので申し込みをしたから必ず買えるとは限りません。
通常より割引された株が買えるので、人気の銘柄などは申込者が多くなることもあります。
それにより抽選で外れることもあるので買いたくても買えないパターンも出てきます。
立会外分売後に株価が下がる可能性もあり
立会外分売とは基本的に売りの材料なので、大量に売られることが前提としてあります。
そこに悪い地合いや投資家心理が悪化するなど、悪材料が重なれば大きく株価を下げる可能性もあるということです。
毎日分売銘柄があるわけではない
過去5年間の立会外分売銘柄数で見ると、1年間で約90~150程度の銘柄が立会外分売を行っています。
毎日取引できる訳ではないので、立会外分売を行う銘柄をこまめにチェックする必要がある。
このように立会外分売にはデメリットもあるので、しっかり把握しておきましょう。
- 立会外分売は過去5年平均で割引率2.75%あり、お得に買える
- 毎日分売銘柄がある訳ではなく、必ず買える訳でもない
3.立会外分売で手堅く稼ぐ
立会外分売に応募し、それを利用した投資法を見ていきましょう。
3-1.短期で7割の勝率が見込める立会外分売
立会外分売を利用して手堅くコツコツ狙う方法があります。
それは立会外分売で高い勝率を出している特性を利用する方法で、短期での小さい利益を積み重ねていく流れです。
2017年1月から8月16日までの立会外分売銘柄の勝率を調べました。
※分売価格と分売実施日の終値で計算
2017年の8月までの勝率
- 終値が分売価格を上回ったプラス銘柄は58銘柄
- 終値が分売価格を下回ったマイナス銘柄は14銘柄
- 終値が分売価格と変わらずだったのは2銘柄
- プラス銘柄の平均上昇率は3.25%
- 上昇率トップの銘柄は10.84%
これらの結果から2017年だけで見ても、
「勝率78.3%」「平均上昇率3.25%」という良い結果が出ています。
割引された分売価格に対して、分売実施日の終値までの動きを見ると高確率でプラスで推移していますね。
2016年までの勝率
- 2016年 勝率69.5% 平均上昇率3.61% 上昇率トップ13.48%
- 2015年 勝率70.2% 平均上昇率2.74% 上昇率トップ9.60%
- 2014年 勝率66.6% 平均上昇率2.80% 上昇率トップ12.41%
- 2013年 勝率67.54% 平均上昇率3.15% 上昇率トップ19.40%
2017年を含めた過去5年平均で勝率70.42%という数値を見ての通り、約7割の勝率が見込めることが分かります。
この高い勝率を利用する訳ですが、分売実施日の終値で即日売却する為、デイトレードでの方法となります。
その為、大きな利益を狙うことは難しいですがコツコツと稼ぐには非常に有効な投資法となります。
3-2.長期目線で昇格を狙う
立会外分売の目的として株主数を増やすことで昇格を狙うことがあると伝えました。
この市場変更での昇格を狙い、長期的に株価上昇を狙います。
東証一部への昇格の場合、株価は大きく上昇しやすいといった特徴がありますので、その特徴を活かす訳です。
昇格することで、知名度が上がることや外国人投資家、機関投資家といった大口の買いも増えるので期待度が高まることになります。
また、東証一部上場銘柄で構成さている投資信託などの買いも発生しますので、株価が上昇しやすくなる訳です。
この東証一部への昇格を狙う投資法であれば、短期ではなく長期目線で手堅く利益を狙う流れにです。
ただ、立会外分売をする銘柄全てが昇格する訳ではないので注意が必要です。
ポイントとしては立会外分売を行い、プラスとして株主優待も新設した銘柄は東証一部に昇格している傾向があるので、株主優待もプラス材料としてチェックするのもポイントです。
ちなみに、立会外分売を行った銘柄でその後、東証一部へ昇格した銘柄はこのようになっています。
- 2016年 12銘柄
- 2015年 16銘柄
- 2014年 19銘柄
- 2013年 31銘柄
立会外分売をした年以外に昇格するケースと応募した後は長期で気長に待つ2パターンあります。
- 分売実施日の終値で見ると約7割の高い勝率が出ている
- 立会外分売後、昇格する銘柄は株主優待などを新設するケースがある
4.抽選には参加せず狙い撃ちするパターン
立会外分売に応募はせず、それを狙い撃ちするパターンの投資法をご紹介。
4-1.貸借銘柄を狙い撃ち
立会外分売を発表したのが貸借銘柄であれば、立会外分売に応募せず、狙い撃ちする投資法もあります。
- 貸借銘柄であれば分売実施日に向けて空売りが多くなる特徴がある
- 空売りが増えることで株価が下がり、信用売りが積み上がる
- 分売実施日には材料出尽くしの理由などで、買い戻しが入りやすくなる
立会外分売銘柄で、貸借銘柄であればこのような流れを多く見せることがあるので、ここを狙う形となります。
信用倍率が急激に増え、逆日歩が発生、さらに材料が無くなることで買い戻しが必然的に入れば大きな上昇が見込めます。
そのタイミングが立会外分売実施日付近ということになり、株価の底になりやすいということです。
つまり、立会外分売を発表してから分売実施日までの信用売り状況をチェックしておくことで、値戻しを狙うことができます。
- 立会外分売発表銘柄が貸借銘柄
- 立会外分売発表後、信用貸借倍率が増加
- 逆日歩が発生
このような特徴が見られると、踏み上げのチャンスとなります。
- ・立会外分売の抽選に参加しなくても、狙い撃ちできる戦略がある
- ・貸借銘柄であり空売りが増えるとチャンス
5.まとめ
このように立会外分売は投資家にとってお得に購入できる投資法であり、短期、長期と狙いを絞る事も可能。
短期で勝率の高い立会外分売は抽選方式とはなりますが、多くの魅力がありますので、チェックすべきイベントでしょう。
それらのことからも、立会外分売発表する銘柄は日頃からチェックしましょう。
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