- 2020-2-20
- テーマ株
欧米を中心に、大豆やこんにゃくを使った植物由来の人工肉が市場拡大を続けています。
スイスの金融大手UBSによると、世界の人工肉市場は2030年までに9兆円まで急成長すると予測されており、アメリカでは人工肉大手ビヨンド・ミート社がIPOするなどマーケットでも注目が集まっています。
日本でも食肉大手の日本ハム・伊藤ハムが人工肉市場への参入を発表したことから、日本市場でも期待のテーマになるかもしれません。
人工肉(代替肉)関連銘柄に注目していきましょう!
目次
1.人工肉(代替肉)関連銘柄とは?
欧米を中心に人工肉が広がりを見せており、日本でも大手食肉メーカーが人工肉への参入を発表しています。
1-1.人工肉(代替肉)とは?
人工肉とは、大豆やこんにゃくなどの植物由来の原料で作られた肉製品のことです。
「代替肉」や「植物肉」とも呼ばれます。
人工肉は、日本ではあまり馴染みのないものですが、欧米では急速に注目が集まっており社会に広まりつつあります。
欧米で人工肉が広がっている背景には、健康志向や環境保全、動物愛護といった観点から肉や魚を食べないヴィーガンやベジタリアン(菜食主義者)が増えていることが挙げられます。
ただ、野菜だけを食べていては、重要な栄養素であるたんぱく質を摂ることができず、食事も味気ないものになってしまいがちです。
このため味や食感が肉に近い人工肉の需要が急増しており、食品技術の発展によって、味も実際の肉と遜色ないレベルにまでなっているとのことです。
人工肉市場は急速に拡大しており、スイスの金融大手UBSは、2018年に5,000億円となっている世界の人工肉市場は、2030年には9兆円を超えると予測しています。
1-2.日本での人工肉の動きは?
人工肉企業として知られているのが、アメリカのビヨンド・ミート社とインポッシブル・フーズ社の2社です。
ビヨンド・ミート社は2019年にNASDAQに新規上場しており(ティッカー:BYND)、インポッシブル・フーズ社も新規上場することが期待されています。
ビヨンド・ミート社のIPOは、IPO価格25ドルに対して初値が46ドルを付けたことから大成功となっており、2019年のアメリカ市場では最も成功したIPOの一つに数えられているほどです。
また、2020年1月にアメリカ・ラスベガスで開催されたテクノロジーイベント「CES 2020」では、フードテックブースでインポッシブル・フーズ社が豚肉の代替肉を提供。
参加者のレポートによれば、普通の肉と全く見分けが付かなかったとのことです。
日本でも、大豆由来の人工肉原料を開発・製造するスタートアップDAIZ株式会社が冷凍食品大手のニチレイフーズと業務提携を締結するなど、2019年から2020年に掛けて食品メーカーを中心に人工肉参入の動きが続いています。
2019年12月には食肉大手の伊藤ハムが人工肉市場への参入を発表し、2020年1月には食肉業界最大手の日本ハムが人工肉市場に参入すると報じられました。
- 人工肉は、植物由来の原料で作られた肉製品。欧米を中心に世界で広がりを見せている
- 日本でも、伊藤ハムと日本ハムが人工肉市場への参入を発表
2.人工肉(代替肉)関連銘柄が上昇する理由と過去に上がった銘柄
人工肉(代替肉)関連銘柄の値動き動向を見ていきましょう。
2-1.人工肉スタートアップDAIZと業務提携!【2871】ニチレイ
冷凍食品大手の【2871】ニチレイは、人工肉スタートアップ企業のDAIZ株式会社と業務提携締結を発表したことから、人工肉(代替肉)関連銘柄として注目されます。
ニチレイとDAIZ株式会社の業務提携が発表されたのは2020年1月29日のことでした。
このニュースに対して、ニチレイの株価がどのように反応したのかを見ていきましょう。
ニチレイの株価は、2020年1月28日には2,603円を付けていました。
しかし、DAIZ株式会社との業務提携のニュースで株価は全く反応せず。
その後株価は大きく上昇しており、2月6日には2,869円まで上昇しています。
しかし、これは2月4日に発表された決算が好感されての上昇です。
2-2.大豆ミート食品に強み!【2607】不二製油グループ本社
植物性油脂や業務用チョコレートなどを手掛ける【2607】不二製油グループ本社は、人工肉(代替肉)関連銘柄を代表する銘柄と言えます。
同社は大豆加工素材事業を長年展開しており、大豆ミートにおいては強みを持つことで知られています。
健康志向の高まりから大豆ミートが好調であることもあり、2019年には千葉県に大豆ミートの新工場も設立、2020年から稼働するとのことです。
同社の株価は、2019年2月には3,730円を付けていました。
しかし株価はこの1年元気がなく、2020年2月現在は2,700円前後まで下げています。
大豆ミートに強みを持つ同社の株価が軟調であることを見ると、現時点では人工肉(代替肉)は投資家の間で注目テーマとはなっていないようです。
今後、人工肉(代替肉)関連銘柄が注目されることがあるとしたら、人工肉スタートアップのDAIZ株式会社がIPOすることになった場合です。
DAIZ株式会社は東証マザーズへのIPOを目指しているとのことで期待されます。
- 人工肉(代替肉)関連銘柄は買われておらず、注目テーマ株になっているとは言えない。
- 人工肉スタートアップDAIZ株式会社の東証マザーズへのIPOには注目か!?
3.人工肉(代替肉)関連銘柄リスト
注目の人工肉関連銘柄リストを見ていきましょう。
銘柄 | 備考 |
【2282】日本ハム | 大豆を主原料としたハムやソーセージ風商品「NatuMeat(ナチュミート)」 |
【2296】伊藤ハム米久ホールディングス | 大豆ミート商品「まるでお肉!」シリーズ |
【2607】不二製油グループ本社 | 大豆ミートを食品メーカーや外食チェーン向けに供給、大豆ミートの飲食店も手掛ける |
【2871】ニチレイ | 人工肉スタートアップDAIZ株式会社と業務提携 |
【2897】日清食品 | カップヌードルの謎肉を始め、大豆ミートの使用を推進 |
【2915】ケンコーマヨネーズ | 大豆ミートを使用した商品 |
【2931】ユーグレナ | ミドリムシを活用した健康食品 |
【3182】オイシックス | アメリカでヴィーガン食事業を展開するスリーライムズ社を完全子会社化 |
【4578】大塚ホールディングス | 傘下の大塚食品が大豆由来のハンバーグ・ソーセージを発売 |
【8031】三井物産 | アメリカ人工肉最大手ビヨンド・ミートに出資 |
4.オススメの人工肉(代替肉)関連銘柄3選!
4-1.【2607】不二製油グループ本社
市場 | 東証一部 |
企業概要 | 製菓向け油脂大手。業務用チョコレートや大豆ミートにも強み。 |
不二製油グループ本社は、大豆ミートの研究で先行していることから、人工肉(代替肉)関連銘柄として必ず抑えておきましょう。
千葉県の大豆ミートの新工場は2020年から稼働し、大豆ミートの生産量が倍増するとのことです。
鶏の唐揚げやビーフジャーキーなど、肉と食感が変わらない大豆ミートは好調であることから期待が高まります。
4-2.【2282】日本ハム
市場 | 東証一部 |
企業概要 | 食肉総合メーカー最大手。 |
日本ハムは、2020年3月から人工肉市場に参入し、大豆を主原料としたハムやソーセージ風商品「NatuMeat(ナチュミート)」を投入するとのことです。
同社は代表的なディフェンシブ銘柄であり、配当利回りも2%弱あるため、人工肉(代替肉)関連銘柄とは関係なしに長期投資におすすめの銘柄でもあります。
4-2.【2296】伊藤ハム米久ホールディングス
市場 | 東証一部 |
企業概要 | ハム・ソーセージ最大手。ギフト向けに強み。 |
伊藤ハムは、日本ハムに先駆けて人工肉市場への参入を発表しており、2020年2月から大豆由来のハンバーグや唐揚げなどの商品を展開しています。
同社はお中元やお歳暮などのギフト用ハムに強みを持つことで有名ですが、将来的には意識が高いギフトとして人工肉が注目されるかもしれません。
日本ハムと比べると、同社は配当利回りが2%台中盤とやや高く、価格帯も3ケタと買いやすくなっていることがポイントです。
5.まとめ
人工肉(代替肉)関連銘柄は、日本の株式市場ではまだ大きな注目を集めるテーマ株にはなっていないと言えます。
ただアメリカでは人工肉大手ビヨンド・ミート社のIPOが大成功となっており、世界の投資家の間では期待が高まっているテーマ株になっていることは間違いありません。
日本でも、人工肉スタートアップDAIZ株式会社が東証マザーズへのIPOを目指していると報じられていることには注目です。
また大手食肉2社の日本ハム・伊藤ハムが人工肉市場への参入を決めたこともあり、今後日本のマーケットでも注目が集まるテーマになってもおかしくありません。
人工肉に関するニュースにはアンテナを張っておき、人工肉(代替肉)関連銘柄の動向は要チェックしておきましょう。
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