- 2021-9-30
- テーマ株
環境・社会・企業統治の3点を重視するESG投資が機関投資家を中心に注目を集めています。
環境保護や労働者保護といった社会的活動を企業活動と両立させているESG関連銘柄は、長期的な成長が期待される安定株が多いため、投資初心者の長期投資におすすめのテーマ株です。
ESG格付けが最高位の「AAA」となっているESG関連銘柄は、この5年間で高い上昇率を記録しています。
ESG関連銘柄に注目していきましょう!
目次
1.ESG関連銘柄とは?
環境・社会・企業統治に力を入れるESG関連銘柄が大きな注目を集めています。
1-1.ESGとは?
ESGとは、Environment(環境)、Social(社会)、Governance(企業統治)の3点を重視する考えのことです。
機関投資家は、売上高や利益といった財務指標を重視した投資を行うことが一般的です。
しかし環境汚染や労働問題、その他の不祥事といったリスクは、財務指標からは読み取ることができません。
東芝の不正会計や、スルガ銀行の不正融資などは、財務指標だけを見ていては決して予測できなかったことです。
そこで近年、機関投資家の間では「環境・社会・企業統治」といった、財務指標からは見えにくい要素が重視されるようになってきました。
投資家や企業が財務指標を重視するあまりに不正会計や、不正融資といった問題が起こってしまい、結果的に投資家にとっても企業にとっても不利益を及ぼすことになっていた点は否めません。
機関投資家がESGを重視するようになれば、企業も不祥事に手を染めることなく事業を展開することができ、投資家も企業も労働者も長期的に大きな利益を得られるようになることが期待できます。
ESGを重視するのは非合理的な考えのように思われるかもしれませんが、長期的に考えれば非常に合理的な考えなのです。
1-2.ESG関連銘柄の選び方をご紹介!
「環境・社会・企業統治(ESG)」に力を入れているESG関連銘柄は、機関投資家が積極的に買っていることもあり、長期的な値上がりが期待できます。
ただ個人投資家がESG投資をする上で問題となるのが、「そもそも、どの企業がESGに力を入れている企業なのか分からない」ということです。
個人投資家がESG関連銘柄を選ぶ上で参考となるのが、世界的な投資格付け会社MSCIが公表している「MSCI ESG格付け指数」です。
MSCIは、ESGに力を入れている企業を最高「AAA」から最低「C」までの範囲で格付けしています。
特に「MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数」に採用されている銘柄は、時価総額が高い上にESG格付けが高い銘柄となっていることが特徴です。
「MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数」は、世界最大の運用ファンドでもある日本のGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が採用しているESG指数としても知られています。
「MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数」の概要や構成銘柄、ESG格付けについてはMSCIのホームページ(https://www.msci.com/msci-japan-esg-select-leaders-index-jp)で確認することができます。
ESG格付けが「A」「AA」「AAA」の銘柄は要チェックしておきましょう。
1-3.ESG用語は現在の株式投資では必須用語
「脱炭素」や「カーボンニュートラル」、「SDGs」といったESGに関連する用語は、もはや株式投資をする上でも理解が欠かせないものとなっています。
特に、2020年秋から世界中に吹き荒れた「脱炭素」の動きは、マーケットにも多大なインパクトを与え、再生可能エネルギーやEV(電気自動車)、水素といったテーマ株は急騰が相次ぐこととなりました。
ただ、一部の再生エネルギー株やEV株、水素株にESG投資をするには、ハイリスク銘柄も出てきているため注意が必要です。
投資初心者の方がESG投資を始めたい場合には、ESG格付けが高い大型株や、ESG指数に連動するESG投信やETFといったリスクが低い銘柄に長期投資することがおすすめです。
ESG投資は、2020年秋までは機関投資家や長期投資家にしか注目されていなかったがために安全な投資ばかりでしたが、2020年秋以降にはデイトレーダーやスイングトレーダーにも注目されるようになってきたハイリスク銘柄が増えてきていることには注意しておきましょう。
- ESGとは、Environment(環境)、Social(社会)、Governance(企業統治)の3点を重視する考えのこと
- ESGに力を入れる企業は長期的な成長が期待できるため、機関投資家に買われやすい
- ESGに力を入れるESG関連銘柄は、GPIFも採用した「MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数」の構成銘柄とESG格付けを要チェック
2.ESG関連銘柄が上昇する理由と過去に上がった銘柄
ESG関連銘柄は長期的に値上がりすることが期待できます。
2-1.代表的なESG連動型ETF!【1653】ダイワ上場投信-MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数
【1653】ダイワ上場投信-MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数は、代表的なESG指数である「MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数」に連動する日本株ETFです。
ESGに力を入れている銘柄で構成されたETFとなっており、投資初心者の方がESG投資を始めたい場合には、こちらのETFに長期投資することがおすすめです。
同ETFは、2020年9月には2,086円を付けていましたが、株価の上昇を受けて、2021年9月14日には2,696円まで上昇しています。
直近1年間で+29%の上昇となっており、インデックス投資としては素晴らしい成績となっています。
2-2.代表的な再生エネルギー株!【9519】レノバ
脱炭素に大きく貢献する再生可能エネルギーは、代表的なESGテーマとなっています。
日本全国で再生可能エネルギー施設を運営する【9519】レノバは、代表的な再生エネルギー株であり、デイトレーダーから長期投資家まで多くの投資家に注目されているESG関連銘柄でもあります。
同社の株価は2020年9月終わりには1,121円を付けていましたが、この1年で急激な上昇を遂げており、2021年9月13日には6,390円を付けました。
この1年間で最大+470%の上昇率となり、2020年秋以降の脱炭素の象徴となっている銘柄です。
ただ長期の資産形成を目的にESG投資をしたい場合には、このようなハイリスク銘柄は選ぶべきではありません。
ESG投資をしたい場合には、長期投資をしたいのか、短期投資で利益を出したいのかを明確にしておくことが重要です。
長期のESG投資をしたい場合には、ESGに力を入れている大型銘柄や、ESG投信、ESG連動型ETFを選ぶようにしましょう。
- ESG関連銘柄は、2020年秋の脱炭素以降、ハイリスク銘柄も多数出現している点には注意が必要。
- 長期の資産形成目的でESG投資をしたい場合には、ESGに力を入れている銘柄で構成されているESG投信やESG連動型ETFを選ぶのが安全。
3.ESG関連銘柄リスト
銘柄 | 備考 |
【1605】国際石油開発帝石 | 資源開発大手、ESG格付けAAA |
【1802】大林組 | 総合建設大手、ESG格付けAA |
【4005】住友化学 | 総合化学大手、ESG格付けAAA |
【4062】イビデン | 電子製品メーカー大手、ESG格付けAAA |
【4204】積水化学工業 | 樹脂加工メーカー大手、ESG格付けAAA |
【4665】ダスキン | 清掃用具レンタル大手、ESG格付けAAA |
【6506】安川電機 | 産業用ロボット大手、ESG格付けAA |
【6645】オムロン | 制御機器大手、ESG格付けAAA |
【9433】KDDI | 携帯キャリア、ESG格付けAAA |
【9437】NTTドコモ | 携帯キャリア、ESG格付けAAA |
4.オススメのESG関連銘柄3選!
2020年以降の長期投資におすすめのESG関連銘柄を抑えておきましょう。
4-1.【9437】NTTドコモ
市場 | 東証一部 |
注目ポイント | 携帯キャリア最大手。次世代通信規格5Gでも注目が集まる |
携帯キャリア首位のNTTドコモは、ESG格付けが最高位「AAA」のESG関連銘柄でもあります。
携帯キャリアは、事業が安定しているディフェンシブ銘柄でありながら成長企業でもあり、配当利回りも高いと、長期投資における3拍子が揃っています。
長期投資に適するESG関連銘柄としては絶好の銘柄です。同じくESG格付けが最高位の「AAA」である【9433】KDDIも抑えておきましょう。
4-2.【4204】積水化学工業
市場 | 東証一部 |
注目ポイント | 住宅・環境・高機能樹脂に強い化学大手 |
樹脂加工メーカー大手の積水化学工業も、ESG格付けが「AAA」のESG関連銘柄です。
値下がりリスクが小さいディフェンシブ銘柄でありながら配当利回りは2%強となっており、長期投資におすすめの銘柄です。
4-3.【6645】オムロン
市場 | 東証一部 |
注目ポイント | センシング&コントロール技術に強みを持つ産業向け制御機器メーカー |
オムロンは、ESG格付けが最高位の「AAA」であり、長期的な値上がりが期待できるESG関連銘柄です。
同社が手掛けるセンサーなどの制御機器は、2020年以降に本格化するIoT・AI・5G時代に需要が急増することは確実です。
株価は上場来高値を更新し続けており、2020年以降の長期投資におすすめのESG関連銘柄となります。
5.まとめ
投資をしていると「企業が成長するかどうかと社会的活動には関係がないだろう」とドライに考えてしまいがちです。
ただ2019年12月現在、ESG格付けが最高位の「AAA」となっている銘柄は8銘柄ありますが、その内の7銘柄がこの5年間で上昇しています。
環境保護やコンプライアンス遵守というと非合理的なものと思ってしまいがちですが、
「環境・社会・企業統治(ESG)」に力を入れているESG関連銘柄に注目することは合理的であるというのが、この5年間のマーケットの答えなのです。
ESG関連銘柄は、どの銘柄も東証一部の主要銘柄であることからリスクが小さく、長期投資に適しているため、投資初心者には特におすすめのテーマ株です。
企業の社会活動や環境保護などへの取り組みに関して抑えておき、ESG関連銘柄の動向は要チェックしておきましょう!
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