- 2020-4-22
- 人工知能(AI)
今後の日本は超高齢化になると言われ働き手の人材不足に悩まされる事は避けられません。
そんな中ロボット市場がその規模を拡大し、魅力のあるセクターとなってきました。
特に人工知能(AI)などの技術発展にあわせ、ロボットも進化し生活の一部として当たり前になりつつあります。
進化と共に魅力を増したロボット関連銘柄ですが、多くの企業が絡んでいることからも、注目すべき銘柄は絞り込むべきでしょう。
そこで今回は、注目すべきロボット関連銘柄からロボット市場の魅力まで分かりやすく取り上げてみました。
投資対象として是非参考にして下さい。
目次
1.産業用ロボット大国日本と人工知能(AI)
AI(人工知能)などの技術進化に合わせ、今ロボット市場が大きく進化しています。そんなロボットについて見ていきましょう。
1-1.ロボットは日本のお家芸
日本はロボット大国とも言われ、世界でリードしているセクターです。
ロボットには人間のように自立歩行ができるロボットから、工場などで使われる産業用ロボット、お掃除ロボットなど様々なロボットがあります。
その中でも、特に工場などで使われる産業用ロボットは、日本の企業が世界1位のシェアを誇りその市場規模は拡大しております。
産業用ロボットとは、自動車の溶接や塗装をはじめ様々な物作りの場面で利用され、プログラムによって制御でき効率のいい生産が可能となります。
産業用ロボットが活用されている分野は、主に自動車や自動車部品製造が多くの割合をしめ、電機・電子業界向けの産業用ロボットが高い成長率を見せています。
- 電機・電子
- 機械・金属
- 自動車・自動車部品
結果としてこの3分野が上位の成長率を見せています。
これらのように、産業用ロボットは全体で成長を見せていることからも、ロボット大国の日本としては追い風となり、投資対象としても魅力があります。
1-2.人工知能(AI)の進化に合わせ生まれる産業用ロボット
ロボットと言えば、一昔前まで映画やアニメなどの世界の中での話しで、ドラえもんや鉄腕アトムなどが夢を与えてくれました。
しかし、現実のロボットというと産業用ロボットがその大半を占めていたので、一般生活ではあまり馴染みがなかった訳ですが、今ではロボットが生活の中にも見られるようになってきました。
人工知能を搭載したお掃除ロボットルンバが家庭の掃除をしてくれるようになったり、人間型のロボットなどの登場によりサービスロボットなどが数多く生み出されています。
その背景にあるものとしては近年の人工知能(AI)、ディープラーニング、半導体、などの技術進化によるもので、様々なロボットが誕生しています。
従来はプログラム通りに動く産業用ロボットや、人間が遠隔操作するロボットが中心でしたが、人工知能(AI)とロボットが組み合わさることにより人間にしかできなかったことをロボットが行うことも可能に。
それにより人工知能(AI)を搭載したサービスロボットを使った新たなサービスや、ビジネスが生まれます。
産業用ロボットも成長している分野ですが、新たなジャンルでのビジネス展開を考えると、人工知能と絡んだサービスロボットは今後大きな成長力が見込めるでしょう。
1-3.今後は建設現場、介護現場にも対人ロボットが活躍する
少子高齢化の進展によって、日本では今後ますます人手不足が深刻化することは確実であり、さまざまな現場にロボットが投入されることが期待されています。
従来は、ロボットというと産業用ロボットを意味しましたが、今後は建設現場や介護現場などに対人用ロボットが投入されることになりそうです。
そのために必要なのが先程述べた通り、「AI」です。
ロボットはAIの活用が最も期待される分野でもあるのです。
従来の産業用ロボットは決められた作業を繰り返すことしかできませんが、AIを導入したロボットは臨機応変に対応することも可能です。
需要に伴いロボットの開発競争は世界的に激化しており、大手企業は最先端ロボットの研究開発を進めています。
オリンピックの運営支援ロボットの活躍も期待
トヨタ自動車は2019年7月22日、2020年東京オリンピック・パラリンピックの運営を支援する試作ロボットを発表しました。
このロボットは、やり投げやハンマー投げなどの競技で選手が投げたやり・ハンマーなどの投てき物の回収・運搬を、自動運転技術やAI(人工知能)を活用したトヨタ製ロボット車両が行うというものです。
ロボット技術は自動運転にも転用できることから、今後、ロボットに搭載されるAIの開発競争はますます激化することは間違いなさそうです。
ロボットの関連テーマとして、AIや自動運転は必ず抑えておきましょう。
1-4.消毒用ロボットに注目が集まる
新型コロナウィルス感染防止のために、全自動化ロボットを始めとするロボットの活用が急ピッチに進むものと見られます。
特に注目されているのが、全自動消毒用ロボットです。
人間が消毒を行おうとすると、どうしても感染リスクと隣り合わせになってしまいますが、全自動消毒用ロボットなら感染リスクを抑えられます。
医療現場においても、軽症者への医薬品や食事の配送などで全自動ロボットを活用すれば、医療従事者の感染リスクを抑える効果が期待されます。
また厚生労働省がなかなか進めようとしない遠隔医療は、新型コロナウィルスの影響で否応なしに進むものと見られますが、遠隔医療においてもロボットは重要な役割を果たすことでしょう。
さらに緊急事態宣言による外出自粛でコミュニケーション不足に悩まされている人も少なくありません。
このようなニーズを解決するためのコミュニケーションロボットも提供され始めています。
ロボットとのコミュニケーションでは孤独や不安は解消されないと思ってしまいがちですが、家族型ロボット「LOVOT」を開発したロボットベンチャーのGROOVE Xによると、ユーザーの98%がストレス軽減に効果を発揮したとのことです。
いずれにしても、人類がさまざまな種類のロボットを活用することが、新型コロナウィルスを乗り切るカギとなることは間違いなさそうです。
- 日本はロボット大国で産業用ロボットは世界シェアNo1
- 人工知能などの進化により、サービスロボットが今後増える
2.産業用ロボットの進化と世界をリードする日本の企業
では、二足歩行ロボットや家庭向けのロボットや、産業用ロボットの世界シェアを誇る企業を確認しておきましょう。
2-1.人間型ロボットからお掃除ロボットまで
人間型ロボット
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2000年
【7267】ホンダ「ASIMO」
ホンダは人間社会に新たな価値をもたらすモビリティを!といった思いから1986年にロボット開発を開始。その後発表した「ASIMO」は様々な進化を遂げています。
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2005年
【7011】三菱重工業「wakamaru」
家庭用サービスロボット事業を開始し、2005年には家庭用ロボット「wakamaru」を発表。
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2014年
【9984】ソフトバンク「Pepper」
ロボットプロジェクトを立ち上げ後、人工知能を搭載した感情を認識できるロボット「Pdepper」を発表。
その他家庭用ロボット
・1999年:【6758】ソニーの犬型ロボット「AIBO」
・2002年:アイロボット社のお掃除ロボット「ルンバ」
サイボーグ型ロボット
【7779】サイバーダイン「ロボットスーツHAL」
身体にHALを装着することで人間の動きをアシストするロボットスーツで、福祉や医療、災害現場といった幅広い活用が期待されたロボットです。
2014年3月に上場したサイバーダインの株価は、2014年5月の安値495円から2014年8月の高値2,132円と3ヵ月程度で+430%の上昇を見せております。
ロボットスーツへの期待と直近IPO銘柄ということもあり、人気化していた銘柄です。
2-2.産業用ロボットの世界上位企業の銘柄をチェック
【6506】安川電機
毎年20,000台近くの産業用ロボットを生産しており、海外売上げ比率67%を誇ります。主に自動車関連のロボットに強みがある。
【6954】ファナック
産業用ロボット世界シェア18.5%で世界トップを誇ります。工作機械用NC装置では世界シェア50%近くと世界4大産業用ロボットメーカーのひとつです。
【7012】川崎重工業
産業用ロボット分野では50年培った実績があり、様々な産業用ロボットを生産しております。2017年6月にはシンガポールに産業用ロボットのエンジニア育成するための拠点を開設しております。
【6474】不二越
産業用ロボット分野では業界をリードしており、主に自動車製造のロボットで活躍、中国で産業用ロボットの工場を開設するなどシェアを伸ばす動きをしております。
【6724】セイコーエプソン
腕時計の精密組立てがルーツで、様々な産業用ロボットを製造しております。中でもスカラ型ロボットは6年連続世界シェア1位と高い実績があります。
このように大手企業が名を連ねており、世界の産業用ロボットを支えています。
- ロボットスーツのような特殊なロボットは注目されやすい
- 産業用ロボットも大手を中心にそのシェアを伸ばしている
3.ロボット産業の市場規模と関連銘柄の動向
それでは、ロボット市場に関する将来の規模や関連銘柄の動向をチェックしましょう。
3-1.サービスロボットが市場規模を拡大
ロボット市場の将来を予測するには、ロボットの市場規模を見ておく必要があります。
経済産業省発表のデータでは、2035年までの国内のロボット市場規模が予想されており
- 2015年全体で1.6兆円(その内サービスロボット4,000億円)
- 2020年には全体で2.9兆円(その内サービスロボット1兆円)
- 2035年には全体で9.7兆円(その内サービスロボット5兆円)
このように、2020年にはサービスロボットが産業用ロボットの規模に近づき、2035年には産業用ロボットを越え、5兆円規模になると予想されています。
また、日本は人間型のロボットでも世界を大きく引っ張っており、2016年時点の世界で発表された211種類の人間型ロボット中、140種類のロボットは日本が生み出しています。
これらのことからも、特にサービスロボットは注目すべきセクターであり、今後の動向は見逃せません。
3-2.産業用ロボット世界トップメーカー!【6506】安川電機
東証を代表するテック企業の【6506】安川電機は、ロボット関連銘柄の代名詞とも言える銘柄です。
同社は、1977年に日本で初めて全電気式産業用ロボット「モートマン」を発売して以来、世界の産業用ロボット市場をリードしてきており、産業用ロボットでは世界トップクラスのシェアを誇っています。
同社の株価は、米中貿易摩擦の影響で多くのテック企業が相次いで下落した2018年には例に漏れず下落。
2018年1月に付けていた6,120円から、2018年12月には2,550円まで値を落としました。
しかし、2019年に入ってからは反発しており、2019年初めは2,563円を付けていましたが、2019年4月には4,365円まで回復。
2019年年初からの上昇率は最大+70%となっており、米中貿易摩擦で大きく下げた銘柄の中でも特に大きく回復しています。
3-3.ロボットスーツ「HAL」で知られるロボットベンチャー!【7779】サイバーダイン
身体機能を改善・補助・拡張・再生することができるロボットスーツ「HAL」で知られる【7779】サイバーダインも、ロボット関連銘柄として期待される銘柄です。
同社は、世界初の装着型サイボーグスーツ「HAL」を開発しており、作業支援や医療、福祉分野での活用が期待されています。
同社の株価は、2018年に大きく下落、2018年12月には500円を割り込み、一時は低位株水準となる449円まで下げました。
2019年1月には大きく反発し、年始に付けていた462円から838円まで上昇。1ヶ月弱で+81%の反発となりました。
しかし、その後の株価は低迷しており、2019年7月現在は630円前後で推移しています。
株価上昇率という点で見れば短期間に80%以上の上昇となっていますが、その後の値動きは芳しくなく、中長期的な投資をするにはやや注意が必要です。
- ロボット市場全体が拡大する中、サービスロボットは大きなポテンシャルを持つ
- ロボット関連銘柄は84%が上昇していることもあり期待値が高い
4.ロボット関連銘柄リスト
銘柄 | 備考 |
【3444】菊池製作所 | 作業補助ロボット「マッスルスーツ」 |
【3741】セック | ロボット用RTミドルウェアの開発 |
【6104】東芝機械 | 産業用ロボット |
【6258】平田機工 | 産業用ロボット |
【6268】ナブテスコ | 産業用ロボット向け精密減速機世界トップシェア |
【6474】不二越 | 産業用ロボット |
【6506】安川電機 | 産業用ロボットの世界的企業 |
【6954】ファナック | 産業用ロボット |
【7272】ヤマハ発動機 | 産業用ロボット(電動アクチュエータ) |
【7779】サイバーダイン | ロボットスーツ「HAL」 |
5.注目の産業用ロボット関連銘柄
ここまで様々なロボット関連銘柄を取り上げて来ましたが、特に注目したい4銘柄を個別に取り上げたいと思います。
5-1.【6954】ファナック
市場 | 東証一部 |
業種 | 電気機器 |
単位 | 100株 |
比較される銘柄 | オークマ 、安川電 、三菱電 |
注目ポイント | NC装置で世界トップ。産業用ロボットに強み。小型マシニングセンタも。 |
2017年10月に工場用IoTプラットフォームの国内サービス運用を開始した同社。
2018年もFA/産業機械を選好するという姿勢を強調しており、同社のコンセンサス切り上げが最も注目されている。
5-2.【6506】安川電機
市場 | 東証一部 |
業種 | 電気機器 |
単位 | 100株 |
比較される銘柄 | ファナック 、三菱電 、日立 |
注目ポイント | メカトロニクスの大手。サーボモーターとインバーターで世界トップ。産業用ロボット累積出荷でも首位。 |
半導体製造装置や工作機械向けのACサーボモーターが主力の同社は、競争力の高い製品が収益に貢献している。
産業用ロボットに強みを持つ同社から業界最軽量・最小の「MotoMINI」を2017年6月に発売し、用途多様化も支援する業務用ロボット業界のなかで新たな需要拡大が期待されている。
5-3.【6324】ハーモニック・ドライブ・システムズ
市場 | ジャスダック |
業種 | 機械 |
単位 | 100株 |
比較される銘柄 | ナブテスコ 、THK 、東芝機 |
注目ポイント | 精密制御減速装置が主力。産業用ロボット向けなど。メカトロニクス製品育成。 |
同社が持つ高性能なロボット向け精密減速機がロボット業界において高い需要を持っている。
世界中で自動車の生産ラインや半導体製造装置向けの産業用ロボットは市場拡大しており、その影響で高い技術力を持つ同社の減速機が注目を集めている。
5-4.【6433】ヒーハイスト精工
市場 | ジャスダック |
業種 | 機械 |
単位 | 100株 |
比較される銘柄 | 不二越 、トムソン 、ダイベア |
注目ポイント | 機械向け軸受けを製造。液晶製造装置用位置決め部品も。THK向け過半。 |
液晶製造装置の精密位置決め装置や、産業機械用直動軸受け製品などを手掛ける同社。
中国を中心にした人材不足や賃金高騰による工場自動化のニーズ拡大していることから急騰を見せた。
6.まとめ
これらのようにロボットは大きく分けて産業用とサービス用に分かれ、どちらも市場規模拡大が見込めます。
人工知能などの技術が進化することで、ロボット市場にも大きな進化をもたらします。
それにより、様々なサービスやロボットが続々と誕生し、株式市場でも話題を欠かさないかも知れません。
注目の銘柄も合わせチェックしておきましょう。
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