- 2020-4-17
- 人工知能(AI)
世界で急激に広がりを見せるフィンテックは金融サービスを大きく変え、続々とベンチャー企業も参戦しています。
株式市場でも2015年後半からフィンテック関連銘柄が大きく注目されたこともあり、今後の動向が見逃せません。
新しいセクターということもあり、可能性は無限大に広がっていますのでフィンテックの魅力を改めて確認すべきです。
人工知能(AI)による資産運用も、今後の投資生活を大きく変える可能性がありますので投資家ならフィンテックをチェックしておきましょう。
目次
1.いまさら聞けないフィンテックとは?
インターネットの普及によってお金の姿や金融ビジネスが変化してきましたが、その金融の常識を大きく塗り替えようとしているのが「フィンテック」です。
1-1.新しい金融サービスを生むフィンテック
フィンテックとは金融とITを組み合わせた新しい金融サービスなどを総称したもので、金融の「Finance」と技術の「Technology」を組み合わせた造語です。
米国などで先行し、日本でも2014年頃から注目されその規模は拡大、様々な金融サービスが生まれています。
フィンテックにより現金から現金を持たない電子マネーへと移行することで様々なメリットが生まれ、社会も活性化する流れとなります。
そのフィンテックという新しいテーマに株式市場でも注目が集まり、関連された銘柄が急騰したのも記憶に新しいです。
大きく株価が動いた銘柄として
銘柄 | 安値 | 高値 | 倍率 |
【3778】さくらインターネット | 280円 | 2,110円 | 7.5倍 |
わずか1ヶ月程で、倍率7.5倍という急騰を見せました。
金融庁が銀行関連法令の改正に着手したことがきっかけとなり、フィンテック関連の同社は大きく注目されました。
新しいテーマとして注目度が高かった形ですが、今後第二波が来るのは間違いないでしょう。
その理由として、人工知能(AI)などの技術的進化と、スマートフォンの普及によりフィンテックが急速にその規模を拡大していること。
フィンテックの一部であるビットコインなどの仮想通貨も話題性が高く、関連銘柄も物色され、投資サービス「ロボアドバイザー」なども登場し注目を集めています。
また、金融庁はベンチャー企業が実証実験できるようなフィンテックの枠組みを作ると力を入れていることからも、多くのベンチャー企業から新たなサービスが生まれる可能性が高まります。
それらの要因から、フィンテックは今後さらに加速する可能性が高いです。
1-2.コロナウイルスの流行で中小企業への支援を開始
新型コロナウィルスの感染拡大による政府の緊急事態宣言を受けて、中小企業の経営状況が厳しさを増す中で、フィンテック企業が中小企業の資金繰り支援に乗り出しています。
日本政策金融公庫や民間金融機関への融資相談は急増しており、早期の融資は受けづらい状態が続いています。
そこで融資を受けるまでのつなぎ融資として、早期に少額融資が受けられるフィンテックを活用する中小企業が増えているとのことです。
フィンテックを使えば会計ソフトなどに入力された入出金データをもとに迅速に審査され、すぐに融資を受けることが可能です。
また緊急事態宣言下では人との接触を最低7割から8割減らすことが求められていますが、フィンテック企業はもともとネット融資などの非対面ビジネスモデルを柱にしているため対応は早いと考えられます。
ただその一方で、ネット融資などのフィンテックの活用がこれまで以上に進むと、サイバーセキュリティ対策がより一層求められるようになるため、新興フィンテック企業にとっては重荷となることも懸念されます。
とはいえ、新型コロナウィルスは身軽なフィンテック企業にとってチャンスであることは間違いなく、新型コロナウィルスが収束した後の“アフターコロナ”の世界では、フィンテック企業が金融業界の勢力図を書き換えている可能性もゼロではありません。
- フィンテックは新しい金融サービスで現金を持たない社会を目指す
- コロナウイルス収束後は金融業界の勢力は変わるかも?
2.フィンテックにより生まれた様々なサービス形態
では、フィンテックにより何ができるようになるのかを具体的に見ていきましょう。
2-1.電子決済、送金サービス
現在最も普及したサービス形態として、決済、送金サービスがあります。
代表されるのは米国のPayPal、中国のAilpay
米国のPayPalは世界2億人以上、1,500万店舗以上で利用されています。
中国のAilpayは利用者は8億人を超え、中国市場の7割を占めます。
日本ではローソンや、LCCのピーチなどで決済手段としてAilpayを導入し、その規模は拡大しております。
世界での電子決済サービスが爆発的に普及した要因としては、手軽さや、安全に利用できることが大きく、販売側も手数料が少なくて済むメリットから普及しました。
日本では【3938】LINEの「LINE Pay」などもあります。
LINEを通じてユーザー間での送金、店舗での決済などが便利に行うことができるモバイルサービスで、キャンペーンや決済手段の多様化なども進めています。
それらの取り組みもあり、2017年5月5日には登録者が3,000万人を突破するなど、その規模を徐々に拡大しております。
日本ではまだまだ世界に比べて普及率が低いですが、その規模は急激に拡大していることを踏まえると、今後の動向は注目できます。
2-2.ビットコインなどの仮想通貨
仮想通貨の代表格としてビットコインがあります。
ビットコインは、デジタルデータの改ざん、破壊を不可能にする「ブロックチェーン」という技術が作られたことで、それを活用した仮想通貨取引が可能となりました。
このビットコインもフィンテックの一部で、2017年に入り取引が活発化し高値を更新しています。
それに合わせビットコイン関連銘柄も軒並み上昇し、その中でも特に注目されたのがこちら
銘柄 | 安値 | 高値 | 倍率 |
【3825】リミックスポイント | 144円 | 1,820円 |
12.6倍 |
10倍を超える値動きを見せたことからもビットコインの人気度が分かります。
今後も注目度は高いビットコインですが、2017年8月1日にビットコインの分裂が発生する可能性が高いとの報道などもあり、その動向が注目されています。
2-3.人工知能(AI)を使った資産運用
資産運用の世界でもフィンテックを活用した新たなサービスが投資家に注目されています。
それが「ロボアドバイザー」
ロボアドバイザーとは、銘柄選別を人工知能(AI)が行う「AI投資信託」で、自分に最適な投資信託をいくつかの質問から診断し、アドバイスしてくれます。
なんといってもすごいのが、人工知能(AI)の進化によって可能になったサービスで、アルゴリズムで自動化され運用していることです。
運用会社によってサービスの内容や手数料は様々ですが、今までになかった未来の資産運用ということもあり、世界中で開発サービスが展開されています。
人間が行っていた部分を人工知能(AI)が行うことで大幅なコスト削減ができ、手数料も安くなることもあり、人気が高まっています。
人工知能の技術が今後も向上していくことを考えると、投資家としては見逃せません。
▼人工知能(AI)に関しての詳しい記事はこちら
2019年も最強テーマ!本命の人工知能(AI)関連銘柄とは?
- 電子決済サービスは世界中でその規模を拡大中
- 仮想通貨のビットコインは話題性抜群で今後もその動向が見逃せない
- 人工知能による資産運用は新しい未来の形として登場している
3.フィンテック関連銘柄の動向と市場規模
では、関連銘柄の動向と市場規模予測をまとめてみましたので、確認しておきましょう。
3-1.フィンテック市場規模の今後
フィンテック関連銘柄を投資対象として見る場合、今後の市場規模を見ておくことが重要です。
- 2015年 49億円
- 2016年 99億円
- 2017年 190億円
- 2020年 618億円
- 2021年 808億円
このような予測となっており、6年で約16.5倍の成長が見込める計算になります。
これらの市場規模が伸びる要因としてあるのは、フィンテックに関する法律の改正や、技術の向上、環境整備が急速に進んでいることがあります。
それにより各フィンテック関連企業の連携や、ベンチャー企業の競争が活発化すると思われます。
また、2020年の東京オリンピックに向け電子決済や仮想通貨などの利用増加や、整備を急速に進めていることも追い風となることで、フィンテックの可能性が更に期待できるでしょう。
あと、投資家として忘れてはいけないのがロボアドバイザーの動向です。
人工知能(AI)の更なる進化により、勝率の高い資産運用が可能となることも考えられますので、期待したいところです。
3-2.東証一部を代表するフィンテック銘柄!【3769】GMOペイメントゲートウェイ
IT大手GMOグループ系の決済・金融サービス提供会社である【3769】GMOペイメントゲートウェイは、フィンテック関連銘柄を代表する銘柄です。
同社はネットショップなどのオンライン事業者をはじめ、NHKや国税庁、公的機関など13万3,199店舗の加盟店及び金融機関等に、総合的な決済関連サービス及び金融関連サービスを提供している決済業界のリーディングカンパニーです。
同社の株価は、2019年1月初めには4,550円を付けていましたが、力強く上昇していき、2019年4月には9,080円を付けました。
年初からの上昇率は最大+99%となっており、東証一部銘柄の中でもトップクラスの値上がり率となっています。
フィンテックやキャッシュレス化に関連する銘柄としては、同社は絶対に外せません。今後も動向をチェックしておきましょう。
3-3.大人気家計簿アプリ!【3994】マネーフォワード
スマホ向け家計簿アプリ「マネーフォワード」や会計ソフト「マネーフォワード クラウド会計」などを手掛ける【3994】マネーフォワードも、フィンテック関連銘柄を代表する銘柄です。
スマホアプリ「マネーフォワード」はダウンロード数750万を突破し、今や国民の15人に1人が使っている国民的フィンテックアプリとなっています。
同社の株価は、2019年初めには3,260円を付けていましたが、2月から4月に掛けて反発し、4月には4,870円まで上昇。
年初からの最大上昇率は+49%となっています。
ただ、4月に高値を付けてからは反落しており、2019年7月現在は3,500円前後で推移しています。
同社の業績は赤字が拡大しており、今後は「マネーフォワード」の課金収入が増えるかどうかがポイントになります。
4.フィンテック関連銘柄リスト
銘柄 | 備考 |
【2307】クロスキャット | 金融機関向けシステム開発 |
【2315】カイカ | 金融機関向けシステム開発 |
【2428】ウェルネット | コンビニ電子決済・収納代行サービス |
【2428】ウェルネット | コンビニ電子決済・収納代行サービス |
【3623】ビリングシステム | 収納代行決済サービス |
【3769】GMOペイメントゲートウェイ | 決済・金融サービスを提供する大手決済サービス会社 |
【3825】リミックスポイント | 仮想通貨取引所「BIT POINT」 |
【3994】マネーフォワード | 家計簿アプリ「マネーフォワード」 |
【4847】インテリジェント | レジットカード決済システム開発 |
【6172】メタップス | 仮想通貨・ブロックチェーンによるフィンテックアプリ開発 |
【8698】マネックスグループ | 大手ネット証券、仮想通貨取引所「コインチェック」 |
5.フィンテック銘柄で注目したい3銘柄
注目のフィンテック関連銘柄をご紹介します。
5-1.【3853】インフォテリア
市場 | 東証一部 |
業種 | 情報・通信業 |
単位 | 100株 |
比較される銘柄 | 情報企画、ソフテクノ、ソフトブレ |
注目ポイント | データソフトのライセンス収入が堅調。AI、IoT買収に意欲。 |
インフォテリアは仮想通貨の基本技術であるブロックチェーンを手がける企業です。
大手仮想通貨取引所コインチェックの580億円不正流出事件が起きた2018年1月26日、インフォテリア株は1,270円でしたが、直後に急落し、2月9日には1,152円まで値を下げました。9.3%の下落です。
しかしその後持ち直し、コインチェック問題が一段落した今後に注目できる銘柄です。
5-2.【3778】さくらインターネット
市場 | 東証一部 |
業種 | 情報・通信業 |
単位 | 100株 |
比較される銘柄 | GMOクラ、ブロードT、ソフィアH |
注目ポイント | データセンター業界大手。IoT好調。メルカリに技術提供も。 |
さくらインターネットはネットインフラを提供する会社で、最近はIoT企業やAI企業との業務提携を拡大させています。
フィンテック関連では、ブロックチェーンビジネスへの参入を果たしています。
5-3.【2351】ASJ
市場 | 東証マザーズ |
業種 | 情報・通信業 |
単位 | 100株 |
比較される銘柄 | GMOクラ、Eストアー、GMOペパ |
注目ポイント | サーバホスティング中堅。ネット予約、決済に進出。 |
ASJは、「RNCDDS」というランダムネットワークコーディングの新技術の特許について国際出願し注目を集めました。
RNCDDSはクラウドサービスの高速化や省力化に大きな威力を発揮する技術です。ASJはさらに、ジャックスグループと後払い決済サービスで提携するなど、金融にも食指を動かしています。
フィンテック技術は日進月歩で進化しているので、株式市場は新技術やM&Aなどの情報に敏感に反応します。
また政府の金融政策も株価に直結するため、ニュースのチェックは欠かせないでしょう。
6.まとめ
フィンテックは今後その規模拡大と共に第二波、第三波と注目を集めるセクターとなる可能性が非常に高いです。
人工知能(AI)などの関連された業種も多いことや、様々な追い風材料から急騰銘柄がでることもありえます。
それらのことからも、足を踏み入れたばかりのフィンテック関連の動向をチェックしておきましょう。
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