- 2021-6-16
- 環境問題
【9624】長大は+62%!【7162】アストマックスは+79%!【9519】レノバは+326%!
脱炭素に向けた世界的な再生エネルギー拡大の流れの中で、地熱発電が注目を集めており、地熱発電関連銘柄にも資金が流入してきています。
日本は世界3位の地熱資源国でありながら地熱発電が総電力に占める割合は0.2%に過ぎませんが、政府は2030年に向けて地熱発電施設を倍増する目標を掲げたと報じられました。
地熱発電関連銘柄に注目していきましょう!
目次
1.地熱発電関連銘柄とは?
世界的な脱炭素の潮流の中、地熱発電に大きな注目が集まっています。
1-1.地熱発電とは?
地熱発電とは、地熱によって生成された蒸気でタービンを回して発電する発電方式です。
火山国である日本にとって、燃料が不要で二酸化炭素を排出せず、半永久的に持続的に発電できる地熱発電は、有力な再生可能エネルギーと考えられています。
地熱発電が、太陽光発電や風力発電といった他の再生可能エネルギーと比べて優れている点は、天候・季節・昼夜を問わずに安定した発電が可能なことが挙げられます。
また地熱発電に使った高温の蒸気や熱水は、農業用ハウスや魚の養殖、地域の暖房などに再利用することも可能です。
ただ地熱発電にはデメリットも多く、探査や開発に大きなコストが掛かる、自然環境に恵まれた場所を開発することになるため地元住民からの反対がある、初期コストが高い、火山噴火などの自然災害に遭遇するリスクがあることなどが挙げられます。
環境エネルギー政策研究所が発表した「国内の2019年度の自然エネルギーの割合と導入状況」によると、日本の年間発電電力量に占める地熱発電の割合は0.2%です。
再生エネルギーは日本の総発電量の19.2%を占めるまでになりましたが、地熱発電は水力発電(7.7%)、太陽光発電(7.6%)、バイオマス発電(2.8%)、風力発電(0.8%)より低くなっているのが現状です。
1-2.日本政府は2030年までに地熱発電施設を倍増する目標を掲げた!
2021年6月には、地熱発電に関する経済ニュースが相次いでいます。
2021年6月1日、河野太郎規制改革相は、脱炭素社会の実現に向けて、国立公園など自然公園で地熱発電の導入を進め、地熱発電施設を2030年までに倍増する目標を掲げたと報じられました。
今後地熱発電の施設の立地を巡る制約を解消するため、規制緩和を進めていくとのことです。
さらに日本だけじゃなく、世界でも地熱発電は注目されています。
中米のエルサルバドルは、法定通貨を仮想通貨ビットコインに認定するとして注目を集めましたが、ビットコイン採掘のための電力として地熱発電を使うと宣言したことも話題となっています。
エルサルバドルの例に限らず、地熱発電は脱炭素社会化の中で世界から注目を集めており、世界の地熱発電の発電量はこの10年で約4割増加したとのことです。
地熱資源量で世界3位を誇る日本でも、脱炭素社会の実現に向けて、地熱発電が本格化していくことが期待されます。
- 地熱発電は、地熱によって生成された蒸気でタービンを回して発電する再生可能エネルギー。天候・季節・昼夜を問わずに安定した発電が可能なことが最大のメリット。
- 日本の総電力に占める地熱発電のシェアは0.2%(2019年)しかないが、2030年に向けて地熱発電施設を倍増する目標が掲げられた。
2.地熱発電関連銘柄が上昇する理由と過去に上がった銘柄
脱炭素の潮流が本格化して「再エネ相場」となった2020年秋以降、大きく上昇している地熱発電関連銘柄を見ていきましょう。
2-1.地熱発電も手掛ける再エネ株の代表格!【9519】レノバ
地熱発電はもちろん、太陽光やバイオマス、風力など再生エネルギー発電施設を日本全国で開発・運営する【9519】レノバは、代表的な地熱発電関連銘柄です。
同社は北海道函館市と熊本県南阿蘇村で地熱発電プロジェクトを手掛けています。
同社の株価は、2020年9月初めには1,134円を付けていました。
世界的な脱炭素による再エネ相場の到来により急騰し、2021年1月には4,838円まで上昇。
再エネ相場の4ヶ月で+326%の急騰となり、2021年に入ってからは横ばいとなっていますが、2021年6月時点でも3,800円前後と、そこまで大きく値を落としていません。
地熱発電はもちろん、再生エネルギー株の代表格として、今後も押さえておきましょう。
2-2.低位株急騰の地熱発電関連銘柄!【7162】アストマックス
太陽光発電・地熱発電の再生可能エネルギー関連事業や電力取引事業を手掛ける【7162】アストマックスは、地熱発電関連銘柄として期待される銘柄です。
同社の株価は2020年9月初め時点では223円の低位株となっていましたが、再エネ相場で買われ、2020年11月には400円まで急騰。
再エネ相場2ヶ月で最大上昇率+79%となりましたが、2021年6月時点では300円前後まで値を落としています。
同社が再エネ相場で買われたのは太陽光発電事業が好感されたからだと思われますが、地熱発電関連ニュースでも短期的に物色されている傾向があります。
上記2銘柄以外の地熱発電関連銘柄としては、【6841】横河電機は+40%、【8059】第一実業は+48%、【9624】長大は+62%などとなっています。
※2020年9月始値から2021年6月までの高値で算出。
2020年秋の再エネ相場においては、地熱発電関連銘柄は太陽光発電で強い銘柄に比べると上昇率は1ケタ落ちる状況です。
なお地熱発電用タービンでは、【6502】東芝、【6504】富士電機、【7011】三菱重工業の3社が世界シェアの6割以上を誇っていますが、いずれも大型株であり、業績・株価に影響を及ぼすほどではありません。
- 地熱発電関連銘柄は、2020年秋以降の再エネ相場で買われているが、太陽光発電株ほど強くはない。
3.バイオ航空燃料関連銘柄リスト
銘柄 | 備考 |
【9519】レノバ |
北海道函館市・熊本県南阿蘇村で地熱発電プロジェクト |
【9508】九州電力 | 九州で地熱発電所を6基運営 |
【8059】第一実業 | 地熱発電向け小型バイナリー発電システム |
【6841】横河電機 | 地熱発電所向け蒸気生産輸送設備用制御システム |
【6297】鉱研工業 | ボーリングマシン大手 |
【7162】アストマックス | 地熱発電の事業化を目指している |
【9624】長大 | 地熱発電促進支援のため温泉地の共生事例調査 |
【1663】K&Oエナジーグループ | 宮城県栗駒南麓地域において地熱発電に向けた調査事業 |
【6504】富士電機 | 地熱発電用タービン |
【7011】三菱重工業 | 地熱発電用タービン |
4.オススメの地熱発電関連銘柄3選!
再生エネルギー株としてもおすすめの地熱発電関連銘柄を見ていきましょう。
4-1.【9519】レノバ
市場 | 東証一部 |
企業概要 | 再生エネルギー施設を日本全国で開発・運営する。 |
レノバは、地熱発電はもちろん、太陽光発電やバイオマス発電、洋上風力発電も手掛けている総合再生可能エネルギー企業です。
再生エネルギーの注目度を示すバロメータになる銘柄となっています。
地熱発電関連銘柄としてはもちろん、代表的な再生エネルギー株として必ず押さえておきましょう。
4-2.【9624】長大
市場 | 東証一部 |
企業概要 | 道路や橋梁に強い建設コンサル大手。長大橋には世界的に定評がある。 |
長大は、地熱発電に力を入れている建設株です。
地熱発電促進支援のため温泉地の共生事例調査を手掛けた実績があり、今後も全国における地熱発電開発の促進に努めていく方針を示しています。
株価は直近10年で最高値を更新しており、地熱発電関連銘柄の中では特に強い銘柄となっています。
4-3.【7162】アストマックス
市場 | 東証ジャスダック |
企業概要 | 再生可能エネルギー関連事業や電力取引事業を手掛ける。 |
アストマックスは、低位株で注目の地熱発電関連銘柄です。
太陽光発電が中心で、地熱発電については事業化を目指している段階ですが、低位株であることから地熱発電関連ニュースでは物色されやすい銘柄となっています。
低位株急騰が期待できる夢はありますが、リスクも相応に高いことには留意しておきましょう。
5.まとめ
地熱発電関連銘柄は、2020年秋以降の再エネ相場で買われている銘柄が目立ちますが、太陽光発電を手掛けている銘柄に比べると上昇率は1ケタ落ちます。
再生エネルギーテーマの中では、ニュースで一時的に買われる程度の注目度であると言わざるを得ません。
政府は2021年6月、地熱発電施設を2030年までに倍増する目標を掲げましたが、そもそも日本の総電力量に占める地熱発電のシェアは0.2%しかないことから、そこまでインパクトはないかもしれません。
ただ世界的な脱炭素の流れは止まらず、再生エネルギーの注目度が高まっていることは間違いないため、世界3位の地熱資源国である日本において地熱発電の期待は高いものと思われます。
政府の地熱発電に関する政策ニュースにはアンテナを張っておき、地熱発電関連銘柄の動向は要チェックしておきましょう。
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