- 2021-5-13
- 建築
鉄鋼関連銘柄(鉄鋼株)は、2018年の米中貿易摩擦から大きく売られており、2020年3月のコロナショックでは最も大きく売られた最弱テーマ株となりました。
ただ、鉄鋼関連銘柄は業績回復を背景に2020年末から反発に転じており、日本製鉄が黒字転換を発表した2021年5月には全面高となっています。
「産業の米」とも言われる鉄鋼関連銘柄は、代表的な景気敏感株でもあります。
鉄鋼関連銘柄に注目していきましょう!
目次
1.鉄鋼関連銘柄とは?
鉄鋼関連銘柄(鉄鋼株)は、景気敏感株としても注目のテーマ株です。
1-1.鉄鋼関連銘柄は代表的な景気敏感株
鉄鋼関連銘柄とは、粗鋼生産などの鉄鋼業を手掛けている銘柄を総称するテーマ株です。「鉄鋼株」と呼ばれるセクターテーマ株となっています。
鋼材は、土木・建築から自動車や鉄道、機械、造船などあらゆる産業に欠かせないことから、鉄鋼業は「産業の米」と呼ばれます。
世界の粗鋼生産量(2019年)は18.68億トンとなっており、中国(9.96億トン)、インド(1.11億トン)に次いで日本(0.99億トン)は世界3位です。
中国が、世界の粗鋼生産量の半分以上を占めていますが、それでも日本は鉄鋼大国であることに変わりありません。
鉄鋼の生産量は景気の先行きに先行することから、鉄鋼業の業績は景気の先行指標として見られることが多々あります。
同様に、鉄鋼関連銘柄は、全体相場に先駆けて動きやすい「景気敏感株」として注目されるテーマ株です。
2012年12月から始まったアベノミクス相場でも、鉄鋼関連銘柄が真っ先に反発し、その後の大相場を先取りする形になりました。
ただ、近年は産業のデジタル化が進んでいることから、鉄鋼株よりも半導体株の方が景気敏感株として注目されるようになっている点は否めません。
1-2.鉄鋼関連銘柄は米中貿易摩擦~新型コロナで大荒れも反発傾向に
鉄鋼関連銘柄は、米中貿易摩擦が懸念された2018年から大きく売られる展開となっていました。
そして2020年2月、日本製鉄が4,400億円の巨額赤字を発表。コロナショック前のタイミングでの発表となったことから、鉄鋼関連銘柄はコロナショックで全面安に。
コロナショックでは最も大きく売られた最弱テーマ株・セクターとなり、新型コロナで大きな影響を受けた外食・観光・エンタメ株よりも大きく売られる展開となってしまいました。
その後の新型コロナ相場でも鉄鋼株の反発は乏しく、景気敏感株としても、真っ先に反発した半導体株に世代交代してしまったと言わざるを得ません。
ただ新型コロナ禍で多くの産業が回復する中で、鉄鋼業の業績も回復に向かっており、2020年末以降には鉄鋼関連銘柄は反発に転じています。
そして2021年5月7日、日本製鉄は2,400億円の黒字転換を発表。
鉄鋼関連銘柄は全面高となり、ゴールデンウィーク明けの相場全体をけん引しました。
鉄鋼関連銘柄はコロナショックでは最も売られた最弱テーマ株となっていましたが、多くの銘柄が新型コロナ前の水準を取り戻すに至っています。
- 鉄鋼関連銘柄(鉄鋼株)は、「産業の米」とも言われる代表的な景気敏感株。
- 鉄鋼関連銘柄は、2018年の米中貿易摩擦~2020年3月のコロナショックで大きく下げたが、2020年末以降は業績も回復して株価も反発している。
2.鉄鋼関連銘柄が上昇する理由と過去に上がった銘柄
2020年から2021年に掛けての鉄鋼関連銘柄の値動きを見ていきましょう。
2-1.代表的な鉄鋼株!【5401】日本製鉄
粗鋼生産量国内トップ・世界3位の世界的鉄鋼メーカー【5401】日本製鉄は、鉄鋼関連銘柄を代表する銘柄です。
同社は、2020年2月には4,400億円の巨額赤字を発表しましたが、2021年5月7日には2,400億円の黒字転換を発表しています。
同社の株価は、2020年1月には1,628.5円を付けていましたが、巨額赤字発表やコロナショックで暴落となり、2020年4月には798.1円まで下落。
新型コロナ相場での反発も限定されていましたが、2020年11月から反発が続いており、黒字転換を発表した2021年5月7日には2,191.5円まで上昇しています。
2020年4月に付けた安値から1年1ヶ月で最大+174%の反発です。
ただ、株価を長期的に見てみると、2018年1月には3,132円を付けていたことから、依然厳しい状況です。
同社に限らず、多くの鉄鋼株は新型コロナ前の水準は取り戻したものの、米中摩擦前の水準を取り戻せた銘柄はほとんどなく、長期的には厳しいテーマ株・セクターと言わざるを得ません。
2-2.鉄鋼株高で高値を更新!【5423】東京製鉄
H形鋼などの建材に強みを持つ電炉大手の【5423】東京製鉄は、アベノミクス後の高値を更新し続けている鉄鋼関連銘柄です。
同社の株価は、2020年1月初めには776円、2020年3月のコロナショックでは552円まで下落。
2020年中は停滞していましたが、2021年に入ってから反発しており、2021年5月7日には1,230円を付けました。
コロナショックから1年2ヶ月で最大+122%の反発となっています。
同社の株価を長期で見てみると、アベノミクスが始まった2012年12月には289円を付けており、2021年5月には直近10年高値を更新した形となっています。
たださらに長期で見てみると、2006年には2,625円を付けていました。
リーマンショック後に低位株になるまで大暴落した後に、ここ10年で反発しているに過ぎず、長期的な成長株とは言えません。
鉄鋼関連銘柄は、長期で見ると厳しい銘柄が多く、近年は景気敏感株としても半導体株にお株を奪われてしまったことも否めません。
- 鉄鋼関連銘柄は、コロナショックでは大きく売られたが、2021年5月時点では多くの銘柄がコロナ前の水準を取り戻している。
- ただ、鉄鋼関連銘柄は長期で厳しい値動きとなっている銘柄が多く、景気敏感株としても半導体株の方が優勢。
3.鉄鋼関連銘柄リスト
銘柄 | 備考 |
【5401】日本製鉄 | 粗鋼生産量国内トップ・世界3位 |
【5411】JFEホールディングス | 国内鉄鋼2位の大手鉄鋼メーカー |
【5406】神戸製鋼所 | 大手鉄鋼メーカー、大手鉄鋼の中では鉄鋼比率低い |
【5486】日立金属 | 高級金属製品や磁性材料に強みを持つ |
【5471】大同特殊鋼 | 特殊鋼で世界トップ級、自動車向けに強み |
【5423】東京製鉄 | 電炉大手、H形鋼などの建材に強み |
【5444】大和工業 | H形鋼や溝形鋼に強い電炉大手 |
【5563】新日本電工 | 合金鉄最大手 |
【5481】山陽特殊製鋼 | 軸受け鋼など特殊鋼専業 |
【5482】愛知製鋼 | トヨタ系の特殊鋼大手、構造用鋼に強い |
4.オススメの鉄鋼関連銘柄3選!
「産業の米」こと鉄鋼株投資にオススメの鉄鋼関連銘柄を押さえておきましょう。
4-1.【5401】日本製鉄
市場 | 東証一部 |
企業概要 | 粗鋼生産量世界3位の世界的鉄鋼メーカー。 |
日本製鉄は、代表的な鉄鋼関連銘柄として必ず押さえておきましょう。
鉄鋼株として同社に投資するかどうかはともかく、同社の業績は鉄鋼業のバロメータとして注目されているため、チェックは欠かせない銘柄となります。
4-2.【5411】JFEホールディングス
市場 | 東証一部 |
企業概要 | 国内鉄鋼2位の大手鉄鋼メーカー。 |
JFEホールディングスも、日本製鉄と並んで要注目の大手鉄鋼関連銘柄です。
2012年12月のアベノミクス直後には真っ先に反発した景気敏感株となっていましたが、近年は景気敏感株としては反応しづらくなっています。
4-3.【5406】神戸製鋼所
市場 | 東証一部 |
企業概要 | 「KOBELCO」ブランドで知られる大手鉄鋼メーカー。素材・機械・電力の複合経営。 |
神戸製鋼所は、素材・機械・電力の3本柱による複合経営を手掛けており、大手鉄鋼の中では鉄鋼比率が低くなっています。
鉄鋼以外の事業でリスクヘッジした鉄鋼株に投資したい場合にはおすすめの銘柄です。
2020年には一時500円未満の低位株となっていましたが、2021年に入ってから脱しています。
5.まとめ
鉄鋼関連銘柄(鉄鋼株)は、2018年の米中貿易摩擦以降は下落が止まらず、2020年2月に日本製鉄が4,400億円の巨額赤字を発表したことから、コロナショックでは最弱テーマ株として大きく売られました。
2020年末以降は業績回復を背景に反発に転じており、コロナショックで最弱テーマ株として売られた鉄鋼関連銘柄は、多くの銘柄がコロナ前の水準を取り戻しています。
日本製鉄は2021年5月7日、2,400億円の黒字転換を発表。
鉄鋼関連銘柄は全面高となり、ゴールデンウィーク明けの相場全体をけん引しました。
ただ、鉄鋼関連銘柄は長期で厳しい値動きとなっている銘柄が多く、景気敏感株としてもかつてのようには機能しづらくなっていると言わざるを得ません。
2012年12月から始まったアベノミクス相場のときはJFEや日本製鉄が真っ先に買われましたが、産業のデジタル化の影響もあり、新型コロナ相場では半導体株に世代交代してしまったようです。
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