- 2018-7-11
- インバウンド
近年「越境EC」によって業績を拡大している企業が現れています。
特に中国では日本企業が販売している良質な商品に注目が集まっています。
この需要を満たすため、インターネットを通じて国境の壁を超えて商品を販売するようになってきました。
例えばマツモトキヨシHD【3088】です。
同社の株価は直近1年間で株価40%以上、上昇しています。
今後の海外市場での業績拡大に期待が高まっていると言えるでしょう。
今回は今注目すべき越境EC関連銘柄と、これまで上昇してきた理由を分かりやすく取り上げていきます。
目次
1.越境EC関連銘柄に期待
企業が海外展開を行う場合、従来はかなりの時間と労力と資金を必要としてきましたが、越境ECによりこれが解決してきています。
1-1.越境ECとは?
「越境EC」とは、インターネットを通じて国境を超えた商品の取引のことを言います。
営業拠点を設けて、人材を送り込み、現地企業とのコネクション作りなど準備期間を必要としていました。
しかし、越境ECの場合こうした時間と資金を大幅に削減することが出来ます。
先程例に挙げたマツモトキヨシHD【3088】のような小売業の場合を想定してみましょう。
従来のビジネスモデルを前提にすれば、中国で売上を伸ばそうとすると、中国国内に店舗を出店する必要がありました。
そのためには、現地で出店用地を探し、従業員を確保し、接客のための教育を行わなければなりません。
しかし、越境ECでは実際に店舗を出す必要はありません。
インターネット上にサイトを設ければ、現地での商品販売が可能だからです。
出店投資のための資金や教育のための時間を大幅に削減することができ、海外での業績拡大をスピーディーに実現出来るのです。
1-2.なぜ越境EC関連銘柄は株価が上昇するのか?
越境EC関連銘柄が株式市場で注目されている理由は2点あります。
1.展開市場の広がり
国内市場を中心に事業を展開している企業は、どうしても中長期的な人口減少及びそれによる市場縮小の影響を受けてしまいます。
つまり、業績を維持するためには国内市場でのシェアを上げ続けなければならないのです。
これはかなり難易度が高いと言えるでしょう。
しかし、海外に目を向ければ対象市場は飛躍的に拡大します。
中でもアジアは経済水準が発展してきていることもあり、人口増加のみならずより良質な生活を求めるようになってきています。
日本企業の努力により作り上げられた良質な商品は、彼らのニーズを満たすことに成功しました。
これにより、展開市場が海外へ拡大し、成長イメージがより具体化したと言えるでしょう。
2.事業の展開スピードがある
これまで新たに海外展開を始めるには、大きな決断が必要でした。
前述した通り、大きな労力と時間、そして資金を投じなければならないからです。
一方で、越境ECの場合、これらの投入量が圧倒的に変化します。
インターネット上に自社ページを設ければ、簡単に消費者から注文を受けることが出来ます。
もちろん実際に商品をどう現地まで運ぶのか、という物流経路の確保は必要となりますが、その手間は圧倒的に従来と比べ少ないと言えるでしょう。
これにより、海外での事業展開のスピード飛躍的に向上します。
これまで何十年もかけて積み上げる海外での売上が、わずか数年で達成出来るわけです。
それだけ企業の成長スピードが高まることを意味しており、株価もそれを織り込んで上昇していくのです。
- 「越境EC」とは、インターネットを通じて国境を超えた商品の取引のこと
- 「越境EC」によって展開市場のスピーディーな拡大が実現出来る
2.越境EC関連銘柄の推移
過去に上昇した関連銘柄と、その上昇理由を見ていきましょう。
2-1.販売チャネルの拡大による成長期待できる【7956】ピジョン
まずご紹介したいのが、【7956】ピジョンです。
同社の株価は、直近1年間で株価+37.5%です。
これまでも同社の良質なベビー製品が中国の消費者に高い評価を受けてきました。
既に現地で流通網を構築しており、順調に売上高を積み上げています。
2017年12月に中国EC最大手のアリババグループと提携をし、本格的な現地でのEC販売に注力。
既に商品力とブランドは現地で高く評価されているので、ECを通じて簡単に入手できるチャネルが増えたことで一層の拡大が期待出来るでしょう。
こうしたことが評価され、株価が大きく上昇したと推測されます。
2-2.展開エリアの拡大が評価に繋がった【3088】マツモトキヨシ
先程ご紹介した【3088】マツモトキヨシHDも直近大きく上昇した銘柄です。
同社の株価は直近1年間で株価+40%以上、上昇しています。
国内ではトップクラスの店舗数を誇っていた同社ですが、海外展開についてはあまり進んでいませんでした。
しかし近年、アリババグループのTモールに出店するなど越境ECに積極的に取り組んでいます。
ドラッグストア業界では海外展開する企業もありましたが、リスクが高く大きなビジネスにはなっていませんでした。
しかし同社のようなインターネットの世界で展開することで、スピーディーな販売拡大が実現しています。
今後も日本で積み上げた販売ノウハウを活かして海外での業績拡大が期待できることが、株価の評価に繋がったと言えるでしょう。
- 流通チャネルの拡大によりピジョンは評価された
- 展開市場の拡大によりマツモトキヨシHDは評価された
3.主要越境EC関連銘柄
銘柄 | 備考 |
【6630】ヤーマン | フェイスケア、ボディケアなどの家庭用美容健康機器、化粧品などの研究開発、製造、販売を行う。昨年中国「独身の日」に電子美容機器カテゴリーで1位の販売実績獲得 |
【3623】ビリングシステム | 自社プラットフォームを基盤に、収納代行、決済代行、代金回収などの決済業務支援サービスを総合的に提供。訪日外国人の帰国後に商品購入を促進するサービスを提供 |
【3657】ポールトゥウィン・ピットクルーホールディングス | 越境ECビジネスの拡大を支援するサービスを展開 |
【8256】プロルート丸光 | 総合衣料品卸。セルフサービス方式が特徴。レディースアパレルが主力。昨年12月に中国の河南省輸入物資公共保税中心集団(河南社)と業務提携することに合意したと発表 |
【3853】インフォテリア | XMLを基盤技術とするソフトウェア開発会社。越境ECを展開する株式会社白鳩が同社の「Handbook(ハンドブック)」を採用し、大きな効果を上げたことを発表 |
【2778】パレモ・ホールディングス | ユニーグループ子会社で女性向け衣料品や雑貨の専門店を複数ブランドで運営。EC強化方針 |
【4911】資生堂 | 化粧品・美容食品・医薬品などを製造。地域ごとに異なるブランドを展開。海外はアジアへの進出を加速、海外売上高比率は5割超。 |
【3680】ホットリンク | グループ会社の株式会社トレンドExpressが、プロモーション費用のみで、中国越境EC出品における集客、販売、CS対応、物流まで全てをトータルサポートする新サービス「トレンドEKKYO」をリリース |
【3088】マツモトキヨシホールディングス | ドラッグストアで売上高国内首位である「マツモトキヨシ」等の企業を傘下に持つ持株会社。オムニチャネル化や越境EC、M&Aを推進。 |
【4927】ポーラ・オルビスホールディングス | 訪問販売の「POLA」と通信販売・店舗販売の「ORBIS」が中心。1社ワンブランド制で化粧品事業を展開するマルチブランド戦略。アジア圏中心に海外展開。 |
- 海外事業の業績拡大への期待が株価上昇のポイント
- 越境ECを支援するサービスを提供する企業も注目
4.注目の越境EC関連銘柄
4-1.【7612】Nuts
市場 | ジャスダック |
業種 | 卸売事業 |
単位 | 1,000株 |
比較される銘柄 | フィールズ、ミタチ産業、エクセル |
注目ポイント | コンテンツの企画・制作。パチンコ・パチスロ関連が主力。アミューズメント・キャラクター事業も。 |
昨年12月に今回の越境EC支援サービスへの参入を公表。
中国語圏最大のソーシャルメディア「微博(weibo=ウェイボー)」の日本における広告・PRの販売権を有する新浪日本総合ネットワークグループ(東京都港区)との業務提携に基づいて、新規事業として行った。
4-2.【2138】クルーズ
市場 | ジャスダック |
業種 | 情報・通信事業 |
単位 | 100株 |
比較される銘柄 | DeNA、グリー、ミクシィ |
注目ポイント | ファッション通販サイトに経営資源を集中。ゲーム事業を大幅に縮小。 |
- 株価が大きく下落している銘柄に注目
- 越境EC関連ビジネスによる恩恵が顕在化していない企業を早取りしよう
5.まとめ
越境ECは日本企業のビジネスモデルを大きく変化させる可能性がある、魅力的なキーワードです。
市場の拡大、業績拡大のスピード感が好転し、企業が飛躍的に成長するチャンスと言えます。
それはつまり、株式市場から高く評価される要素を持っているということです。
越境ECを行っている銘柄に着目すれば、大きな投資チャンスを得られるかも知れません。
急騰狙いのおすすめ記事