- 2019-8-16
- IPO
「LIMEX」という素材をご存知でしょうか。
これは株式会社TBMという企業が開発した新たな素材で、「ライメックス」と読みます。
TBMは、2011年に設立されたスタートアップです。
代表取締役CEOの山崎氏が設立した企業で、時代の架け橋になりたいという思いから「Times Bridge Management」の頭文字を取ってTBMと名付けたそうです。
そんな同社が開発した「LIMEX」は、将来的に紙・プラスチックの代替となることが期待されています。
大手企業からも高い関心を集めており、共同開発や提携関係などの話も出ています。
それだけ期待されるビジネスを展開していますから、今後中長期的な成長投資のためにIPOを行うのではないか、と噂されています。
今回は「LIMEX」についてご紹介するとともに、IPOした時の株式市場の反応や他の銘柄への影響などについてご説明したいと思います。
目次
1.「LIMEX」とは?
LIMEXは、ストーンペーパーと呼ばれる素材の1つです。
ストーンペーパーとは、元々ある台湾企業が開発しました。
石灰石を主原料とし、既存のパルプ紙や合成紙の機能を持ち合わせている素材です。
特性として、耐水性・筆記性・強度に優れています。
また、石油から製造されるプラスチックの代替材としても期待されており、環境負荷の面で優位性を持っています。
さらに、パルプに比べ石灰石は世界中に豊富にある資源であることから、日本においても100%の自給率が可能であると言われている魅力的な素材なのです。
LIMEXには課題も残されています。
台湾産のストーンペーパーでは、厚みが不均一であるために印刷機器に適していないという事象が発生していたのです。
そこでTBM社は、自社での開発と製造に乗り出します。
その結果、厚みが均一で軽く、印刷適性に優れた「LIMEX」が誕生したのです。
1-1.LIMEXの応用分野
この新素材は、大きく分けて2つの分野での応用が期待されています。
紙製品の分野
飲食店のメニューや名刺、タグ、ポスターなどの紙製品がLIMEXを用いたシートによって代替されることが見込まれています。
プラスチック製品の分野
レジ袋や包装容器などの代替製品が既に開発されているのです。
紙やプラスチックは、製造過程や廃棄問題で環境面に大きな負荷を掛けていると言われています。
そして企業側も環境面への配慮を意識することが社会的な要請となっています。
時代の潮流と噛み合った製品であり、今後飛躍的な市場拡大が期待出来る素材と言えるでしょう。
- 「LIMEX」は、環境面への負荷軽減に貢献する新素材
- 環境問題への取組みが活発化する中で、市場拡大が出来る素材
2.TBMのIPOは期待できるのか?
先程もご説明した通り、LIMEXはとても魅力的な素材です。
紙とプラスチック製品の代替的な役割が期待されていることを加味すると、応用範囲が広いことも特長として挙げられるでしょう。
大きな需要が見込まれている素材なのです。
そうした需要に応えるため、今後も製造能力の増強が必要となってくるでしょう。
同社は現在宮城県に1箇所の工場を有しています。
2020年には同県内にもう1か所の工場建設を予定しており、第一工場の4倍以上の製造能力を有するそうです。
2-1.海外展開を視野に。資金が必要になるか。
同社はLIMEXの需要は日本のみならずグローバルで存在することを睨み、今後海外展開を想定しています。
世界規模での需要の広がりを勘案すると、第3・第4の工場を建設する可能性が十分高く、そのための資金が必要となってくるでしょう。
そうした資金ニーズを踏まえると、柔軟に資金調達を出来る環境が必要であり、IPOを実施する可能性は極めて高いのではないでしょうか。
直近では2019年3月にSBIグループ、三洋化成工業、JR東日本スタートアップに対して第三者割当増資を行っています。
当該案件を含めて総額100億円の資金調達を行っており、今後も同規模の資金需要が発生することが見込まれます。
現在同社は決算情報を開示していないため業績動向は分かりませんが、既に売上高・利益共に軌道に乗っているとすれば、すぐにでもIPOを実施する可能性は十分にあるでしょう。
2-1.TBMがIPOした場合の価格予想
実際どれくらいのIPO価格になるかの予想は難しいですが、期待感を背景に高い価格が設定されることは間違いないでしょう。
プラスチック容器を製造する他社のPERは概ね12~13倍前後、製紙業界は10倍前後となっていますが、恐らく同社を評価する場合あまり参考にならないと思われます。
直近のIPOは公募価格の時点で既にPER50倍以上の設定がなされますし、初値は更にそれを大きく上回る例が散見されます。
株式市場の動向次第ですが、仮にマーケットが良ければ価格は更に跳ね上がる可能性があるでしょう。
また、TBMのIPOによって関連銘柄に対し連想的に資金が向かう可能性があります。
LIMEXと協業している企業やLIMEX製品を取り扱っている企業は、競争優位性が高まる期待から注目が集まりやすいと言えるでしょう。
そのため、TBMのIPO時には新素材の応用範囲にある業界や企業にも目を配っておくと良いかも知れません。
- TBMは製造能力増強のための資金ニーズからIPOすることが噂されている
- LIMEXへの期待感から、関連銘柄にも注目が集まる可能性がある
3.「LIMEX」関連銘柄リスト
銘柄 | 備考 |
【8001】伊藤忠商事 |
国内トップクラスの総合商社。非資源系のビジネスに重点。TBM社との資本・業務提携を発表している。 |
【9020】東日本旅客鉄道 |
関東及び東北エリアをカバーする鉄道事業者。関係会社のJR東日本スタートアップがTBM社に出資している。 |
【7911】凸版印刷 |
従来の印刷ビジネスに加え、セキュリティ強化用のシステム提供も手掛ける。TBM社との資本・業務提携を発表している。 |
【7976】三菱鉛筆 |
筆記具の国内トップクラスの企業。ジェットストリームなどのヒット商品を有する。TBM社との資本・業務提携を発表している。 |
【7752】リコー |
オフィス向けの複写機・複合機やプリンターなどを製造・販売する企業。LIMEX紙製品に対応したプリンタを開発している。 |
【1802】大日本印刷 |
出版業界における印刷業においてトップクラス。近年ではマーケティング用のアプリ開発なども手掛ける。TBM社に出資している。 |
【7840】フランスベッドHD |
電動機能付きベッドやリハビリサポート用の車いすなどを手掛ける。2018年にTBM社に出資している。 |
【4471】三洋化成工業 |
高吸収性樹脂やポリウレタンフォーム用原料などを手掛ける企業。2019年3月にTBM社に出資している。 |
【4384】ラクスル |
全国の提携印刷会社と協業し、印刷分野でシェアエコノミービジネスを提供する企業。TBM社とLIMEXの新製品販売を行う。 |
【1925】大和ハウス工業 |
戸建住宅販売から、物流センターなどの非住宅分野まで幅広く手掛ける。LIMEX利用の建装材が開発されており、活用文脈により注目される可能性がある。 |
4.おすすめ「LIMEX」関連銘柄3選
5-1.【2379】ディップ
市場 | 東証1部 |
業種 | サービス業 |
単元 | 100株 |
比較される銘柄 |
リクルート, エンジャパン, クイック |
企業概要 |
インターネットに特化した求人情報サービスを運営している企業 |
2017年にLIMEX製品の販売事業部を設立しており、関連銘柄として注目される可能性がある。
5-2.【1928】積水ハウス
市場 | 東証1部 |
業種 |
建設業 |
単元 | 100株 |
比較される銘柄 |
大和ハウス, 住友林, ミサワホーム |
企業概要 |
自動車向けタイヤやホイール、ゴルフ関連商品を製造・販売する企業。 |
LIMEX利用の建装材が開発されており、活用文脈により注目される可能性がある。
5-3.【8303】新生銀行
市場 | 東証1部 |
業種 |
銀行 |
単元 | 100株 |
比較される銘柄 |
三菱UFJ, 三井住友FG, みずほFG |
企業概要 |
日本長期信用銀行の破綻後の2000年に設立。銀行業の他、カードローンや証券業を展開。 |
関係会社の新生企業投資がTBM社に出資しており、関連銘柄として注目される可能性がある。
- LIMEXと協業している企業や、LIMEX製品を活用する可能性がある企業は注目されやすい
- TBM社に出資している企業は関連銘柄として注目されやすい
6.まとめ
「紙ストロー」に象徴されるように、環境負荷軽減の機運は急速に高まっています。
最近ではレジ袋の有料化や廃止などを決定するニュースも散見されます。
そうした社会的な潮流に沿った新素材として期待されるLIMEX。
紙製品とプラスチック製品がLIMEXに代替されることによって、環境面への多大な貢献が見込まれているのです。
企業活動において環境問題は切り離せないトピックとなっており、LIMEXへの需要は大規模となるでしょう。
その需要に応えるために必要なのが、成長のための資金です。
量産を行うための工場や設備が必要であり、IPOが噂されているのはこのためです。
実際にIPOを実施した時は、株式市場からは高い成長性を有する企業として迎えられるでしょう。
また、関連銘柄も連想的に資金が向かう可能性があります。
LIMEXによって恩恵を享受する企業に、今から注目しておくと良いかも知れません。
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