- 2020-5-7
- IoT
これまで日本の農業は、農業従事者の高齢化や担い手不足が大きな課題となってきました。
依然として人手に頼る作業や熟練者に依存する作業が多く、省力化を行うことが難しい状況でした。
こうした課題を解決すべく進められているのが、「スマート農業」です。
「スマート農業」とは、ロボット技術や情報通信技術(ICT)を活用して、省力化・精密化や高品質生産を実現する新たな農業のこと。
今まで農業とは無縁だった企業が、様々な形で農業のスマート化に貢献し始めているのです。
今回は、そうした農業関連銘柄についてご紹介したいと思います。
目次
1.農業関連銘柄に期待
農業関連銘柄とは、農業のスマート化に貢献している企業のことを指します。
1-1.農業関連銘柄とは?
農業は日本社会を様々な形で支えてきた大事な産業です。
一方で、担い手の高齢化や不足などを背景に、将来に大きな不安を抱えてきました。
そうした状況に対し、ここ数年農林水産省を中心として新たな農業の確立を進めています。
その一例が「スマート農業」といわれ、GPSシステム等の導入による農業機械の自動走行や、過去のビッグデータを活用した栽培効率の向上を行うのです。
これまで人手に作業量や技術面で大きく依存してきましたが、これらが実現すれば大きく農作業が効率化されることが期待されます。
農業のスマート化実現に向けて、積極的に取り組んでいる企業が農業関連銘柄です。
例えば【3694】オプティム。
同社は、IoTプラットフォームサービスを主力として様々な業界に対してITソリューションを提供しています。
特に農業分野に対しては、IoTを用いた生産管理システムやドローンを活用した経費削減手法などを提案しており、農業のスマート化を推進しています。
ここでは、こうした企業を商社関連銘柄としてご紹介していきたいと思います。
1-2.なぜ農業関連銘柄は株価が上昇するのか?
農業関連銘柄の株価が上昇する理由は、市場拡大による恩恵享受です。
JETROの資料によると、スマート農業の国内市場規模は、2015年度時点では97億円程度でしたが、今後2022年度には330億円超と3倍程度まで拡大することが予測されています。
農業の就労人口が減少することは今後長期的に続くであろう構造的な問題のため、2022年度以降も市場拡大が続く見通し。
自動走行の農業機械や、データ分析に基づく生産管理システムを提供する企業は、市場拡大の恩恵を享受することが期待されます。
更に将来に目を向ければ、日本同様の課題で苦しむ海外国においても、「スマート農業」が活躍することも見込まれるでしょう。
未だ取り組み面で本格化してはいないものの、将来を織り込む株式市場としては、注目度の高い分野です。
1-2.コロナ禍では苦しい農業関連
新型コロナウィルスによる外出自粛によって、外食や観光が壊滅的な被害を受けていますが、農業も大きな打撃を受けているようです。
JA全中が2020年2月21日から26日にかけて全国のJA、連合会、中央会などに対して実施した調査によると、外国人観光客の減少や外食需要の低下などで農畜産物の消費量が大きく減っているとのことです。
この調査から2ヶ月以上経っている現在は、休校要請によって給食がなくなったことなどからも、さらに深刻な影響が出ていることはほぼ間違いありません。
自民党の一部議員が和牛に使える「和牛券」を提唱したと報じられたことは大きな反発を招きましたが、それほどまでに農業は苦しい状況にあるものと見られます。
マーケットでは、農業関連では「スマート農業」や「農業ICT」といったテーマが注目されることもありますが、新型コロナウィルス相場の中では農業関連は厳しいと言わざるを得ません。
ただ、新型コロナウィルスが収束に向かってからは、人々の溜まりに溜まった観光や外食を求める消費欲が爆発することも考えられ、「和牛券」のような政府による消費喚起策も期待されます。
農業関連銘柄は、新型コロナウィルスが一段落してから注目するようにしましょう。
- 農業関連銘柄とは、「農業のスマート化」に貢献する企業のことを指します。
- 「スマート農業」の市場規模は今後拡大が見込まれる
2.農業関連銘柄の推移
過去に上昇した関連銘柄と、その上昇理由を見ていきましょう。
2-1.AI・IoT・ロボット分野での成長期待が高まっている
まずご紹介したいのが、先程も出た【3694】オプティム。
同社は、IoTプラットフォームサービスを主力として様々な業界に対してITソリューションを提供しています。
農業分野のみならず、AI・IoT・ロボットを切り口に様々な分野で事業を展開。
「スマート農業」の文脈で言えば、IoTを用いた生産管理システムやドローンを活用した経費削減手法などを提案しており、農業のスマート化を推進しています。
同社はこれまで、戦略的に研究開発に注力している関係で単年度の利益では減益になっている時期もありました。
しかしながら、今後研究の成果が発現することには大きな利益を稼ぎ出すことが期待できるかもしれません。
過去6か月の同社の株価は、52%と大幅上昇!
株式市場は、短期的な業績よりも将来の可能性に既に目を向け始めているのかも知れません。
今後の同社の業績動向には注目が集まりそうです。
2-2.自動車・半導体関連需要増加が業績拡大の契機に
【4996】クミアイ化学工業もご紹介したい銘柄の1つ。
同社は、水稲用除草剤が主力製品の農薬専業メーカーです。
これまでも農業とは深く関与してきたわけですが、今後の更なる成長に向けて、ドローンによる自動農薬散布に取り組んでいます。
農業関連のドローン技術で優位性を持つナイルワークス社と業務提携を結び、研究開発を強化している最中です。
同社の株価は、過去半年間で40%弱上昇!
今期は既に上期決算時点で通期の会社計画を超過している点が評価に繋がっている可能性が高いですが、今後の農業分野での拡大も期待値として入っているでしょう。
同社への注目度は、今後も高い状態が続くかも知れません。
- ドローン技術やIoTなどのノウハウを有する企業に注目
3.スマート農業関連銘柄
銘柄 | 備考 |
【3694】オプティム | IoTプラットフォームサービスが主力、ネット端末の一括管理サービスをクラウドで提供する。 |
【6079】エナリス | 電源開発から電力卸取引、PPS向け業務代行、導入後のエネルギーマネジメント等、電力流通プロセス全ての領域で事業を展開。 |
【8056】日本ユニシス | システムインテグレーター。経営戦略などのコンサルティングからITソリューションの提供、運用管理・保守のサポートまでの一貫したサービスを提供。 |
【4726】ソフトバンク・テクノロジー | ソフトバンクグループにおいてICTサービスの中核を担う。ECサイト運営代行サービスやデータ解析、IT基盤構築と運用保守、情報システムのクラウド化など幅広く手がける。 |
【9600】アイネット | 情報処理サービス、システム開発サービスなどを展開。石油販売、小売流通、金融などが主な顧客業界。 |
【9433】KDDI | グローバルではミャンマーなど新興国でのビジネスに積極的。スマート農業分野に関心。 |
【9957】バイテックホールディングス | 半導体や電子部品等を中心に販売するエレクトロニクス商社。 |
【4996】クミアイ化学工業 | 農薬専業メーカー。水稲用除草剤が主力製品。新規剤の早期上市は拡販に向けた事業基盤の構築、海外販売拠点との連携強化などに注力。ドローン開発に注力。 |
- 選別基準は、IoTやロボット関連で技術的に優位性がある銘柄
4.おすすめ農業関連銘柄
これから注目すべき農業関連銘柄についてご紹介します。
4-1.【6326】クボタ
市場 | 東証一部 |
業種 | 機械業 |
単位 | 100株 |
比較される銘柄 | コマツ、日立建機、井関農機 |
注目ポイント | 農機分野で従来からのブランド力。今後スマート農業分野でも積極的な活躍が期待出来る |
農業機械、エンジン、建設機械、電装機器等を製造販売。農業機械ではトラクタ、コンバイン、田植機等が主力です。
小形産業用ディーゼル、ミニバックホー(6t以下)では世界トップシェア。
海外売上高比率は6割超でスマート農業への関与を強めています。
4-2.【6702】富士通
市場 | 東証一部 |
業種 | 電気機器 |
単位 | 100株 |
比較される銘柄 | NEC 、日立 、パナソニック |
注目ポイント | 公共機関、企業向けにICTを活用したサービスを展開 |
サーバ、ストレージ等の製品などを、コンシューマー向けにパソコン、オーディオ・ナビゲーション機器等を提供。
SIやクラウドサービス等を手掛けるテクノロジーソリューション事業が主力でありスマート農業にも関心を示しています。
- スマート農業分野に既存技術力を活用出来る銘柄に期待
5.まとめ
これまでも、これからも日本社会を支える農業分野。
今後は世界に日本産農産物の輸出量が拡大する可能性も十分あるでしょう。
一方で、供給側は人手不足や高齢化といった状況に苦しんでいます。
そうした状況を打破する上でも、スマート農業は重要な取り組みです。
いずれスマート農業分野の市場規模は大きく拡大し、関連企業にとってその恩恵は大きいことが想定されます。
現段階ですぐに業績面への貢献は無くても、中長期的な視野で農業関連企業に投資してみては如何でしょうか。
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