- 2018-7-9
- 電池
2020年代半ばの実用化が見込まれる「全固体電池」
ポストリチウムイオン電池とされる全固体電池は優れた特性から、世界中でその開発が加速しています。
特に、日本企業は全固体電池開発で一歩リードしていることからも、関連企業の動向はチェックすべきです。
そんな全固体電池に関して、基本情報から注目銘柄まで取り上げてみましたので是非チェックしておきましょう。
目次
1.全固体電池とは
現在主流のリチウムイオン電池と全固体電池は何が違うのでしょうか?
1-1.全てが固体化した全固体電池
現在主力となっているリチウムイオン電池などには、液体の電解質が入っています。
その電解質の中をイオンが動く事で電流が発生しますが、その全てを固体化した電池が全固体電池です。
- 無機系固体電解質
- 液漏れの心配がない
- 発火、爆発の可能性がない
- 安全性が大幅に向上
無機系固体電解質なので液漏れの心配がなく、発火、爆発の可能性もないので安全性が向上します。
- 高い出力特性を持つ
- 高エネルギー
- 充電が早い
- コンパクト化も実現可能
- マイナス30℃の低温や100℃の高温にも耐える
全固体電池は高い出力特性を持ち、高エネルギー、更に充電が速い特徴があります。
また、マイナス30℃の低温や100℃の高温でも安定して充放電が可能で、コンパクト化もできます。
1-2.リチウムイオン電池と全固体電池の違い
スマホやEV(電気自動車)などの需要拡大で、現在主流になっているのはリチウムイオン二次電池ですが、全固体電池の開発によりその主流が変わるかもしれません。
基本的に電池は正極と負極があり、その間にはイオンが流れる電解質で構成されています。
リチウムイオン電池に利用されている電解質は、可燃性の有機溶媒液が使われているため、液漏れ、発火など安全面での課題があります。
それに比べ、全固体電池は電解質が固体であることで液漏れを起こさず発火しにくい利点があります。
また、低温や高温での特性でも違いがあり、リチウムイオン電池は70度が上限とされていますが、全固体電池なら100度の高温でも充放電が可能。
低温化でも違いがあり、マイナス30度では十分に性能が発揮しないリチウムイオン電池に比べて、全固体電池はマイナス30度でも性能を発揮。
安全面や過酷な環境化でも優れた特性を持つ全固体電池ですが、リチウムイオン電池より多くの電気を貯める事や、長寿命といった期待もあります。
スマホやEVといった需要に対して、全固体電池はリチウムイオン電池と比べても安全性が高く高性能の蓄電池となるので、その実用化が期待されています。
▼リチウムイオン電池に関して詳しくはこちら
【ノーベル賞候補のリチウムイオン電池はやはり凄い!関連銘柄を抑える】
- 全てを固体化した全固体電池は安全性が高く高性能の蓄電池
- 全固体電池はリチウムイオン電池と比べると優れた点が多い
2.世界でEV(電気自動車)シフトの流れ
現在世界では、自動車がEVへと流れが大きく変わってきました。世界規模の変化から全固体電池の需要が見込めます。
2-1.世界的にEVが拡大し全固体電池への期待が高まる
今、世界ではディーゼル、ガソリン自動車からEV(電気自動車)へシフトの流れが広がっています。
その理由として、地球温暖化対策として「パリ協定」が発効するなど、世界各国の地球温暖化対策意識にあります。
世界各国の自動車燃費規制も厳しさを増し、欧州では2021年に最も厳しい燃費規制が導入されます。
また、フランスやイギリスがは2040年までにガソリン車とディーゼル車の販売を禁止すると発表。
自動車大国のドイツも、ガソリン車とディーゼル車の新規販売禁止に踏み切る意向を示唆しています。
米国ではZEV規制の内容を強化。
中国でもNEV規制を2018年から実施。
世界的にこのような自動車の燃費規制や、ZEV規制といった規制が敷かれたことで、自動車市場がEV(電気自動車)へシフトしています。
※ZEV規制=一定量の排ガスゼロ車導入を義務化
今後世界的にEV(電気自動車)が急増するとなれば、現在主流のリチウムイオン電池より優れるとされた全固体電池は、大きな魅力を秘めています。
▼EV(電気自動車)に関してはこちらをご覧下さい
【EV(電気自動車)関連銘柄の本命は?合わせて急速充電器関連も注目!】
- 世界的にEVへシフトしている流れから、優れた特性の全固体電池へ期待
3.全銘柄値上がり中の全固体電池関連銘柄とリードする研究開発
全固体電池の研究開発をする日本企業と、関連銘柄の動向を見ていきます。
3-1.他国をリードする全固体電池
全固体電池の研究では日本が他国をリードしています。
その理由として、全固体電池の特許件数約60%を日本が占め、上位を日本企業が独占していることにあります。
出願件数ではトヨタ自動車が1位となっています。
その他の企業に、【5802】住友電気工業、【6752】パナソニックなどが上位にいます。
そんな【7203】トヨタ自動車は
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2008年
「電池研究部」を立ち上げ
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2016年7月
全固体セラミックス電池を開発
東京工業大学物質理工学院の菅野了次教授、トヨタ自動車の加藤祐樹博士らの研究グループによって開発された
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2016年12月
「EV事業企画室」を設置
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2017年7月
2022年に国内販売
全固体電池を搭載したEV(電気自動車)を日本国内で販売する方針を固める
このようにトヨタ自動車を筆頭に、日本は全固体電池の開発に力を入れ研究開発を続けています
トヨタの株価推移
銘柄 | 安値 | 高値 | 倍率 |
【7203】トヨタ自動車 |
2017年4月 5,670円 | 2017年9月 6,832円 | 1.2倍 |
トヨタ自動車の株価は4月に付けた安値から、EV展開期待や円安などの流れを受け回復基調で推移。
3-2.全固体電池関連銘柄の動向
では全固体電池関連銘柄は今までにどのような動きを見せているのか、その動向を確認していきましょう。
全固体電池関連銘柄代表各の11銘柄を厳選し、倍率を調べました。
2017年1月10日~2018年1月9日までの期間内で、安値と高値を算出した倍率
平均倍率2.3倍
値上がり銘柄数10銘柄
値下がり銘柄数1銘柄
このような結果が出ており、全固体電池関連銘柄はほぼ全ての銘柄が上昇中となります。
この中でも倍率が高く、大きな動きを見せた銘柄として
銘柄 | 期間 | 倍率 |
【5218】オハラ | 2017年1月10日~2018年1月9日までの期間内で、安値と高値を算出 | 4.6倍 |
マイナス30度の低温下で駆動する全固体リチウムイオン電池の試作に成功との発表を材料視され、ストップ高。
その後も業績がV字回復していることなどもあり物色され右肩上がりで株価は上昇しています。
- トヨタ自動車を始め、日本企業が全固体電池の研究開発をリードする
- 全固体電池関連銘柄は、ほぼ全ての銘柄が上昇中
4.全固体電池 関連銘柄
注目の全固体電池関連銘柄を厳選
4-1.【7203】トヨタ自動車
市場 | 東証一部 |
業種 | 輸送用機器 |
単位 | 100株 |
比較される銘柄 | ホンダ、日産自動車、デンソー |
注目ポイント | 2020年代前半までに全固体電池の実用化を掲げるリーディングカンパニー |
世界のトヨタの動向は、全固体電池関連銘柄として必ずチェックしておきましょう。
全固体電池の特許数では、トヨタは2位以下を圧倒しており、全固体電池の未来を握っていると言っても過言ではありません。
トヨタは2020年代前半までに全固体電池の実用化を目標に掲げており、トヨタの動向は全固体電池関連銘柄全体にも大きな影響を与えることから、トヨタと全固体電池に関係するニュースは必ずチェックしておきましょう。
4-2.【6955】FDK
市場 | 東証2部 |
業種 | 電気機器 |
単位 | 1000株 |
比較される銘柄 | TDK、GSユアサ、古河電池 |
注目ポイント | 富士通系の電池メーカー、全固体電池の開発を進める |
富士通系の電池メーカーである同社は、全固体電池関連銘柄の低位株として期待されます。
同社は、2018年2月末に開催された「国際二次電池展」で、富士通研究所と共同開発した新型の正極材料を使った全固体電池を公開しました。
ただ、株価は奮っておらず、100円台後半の低位株に甘んじていますが、いつ大きな資金流入が起こって数倍に暴騰してもおかしくありません。
全固体電池関連銘柄の中でも数少ない低位株として、今後の動向に注目しておきましょう。
4-3.【5218】オハラ
市場 | 東証1部 |
業種 | ガラス・土石 |
単位 | 100株 |
比較される銘柄 | テクノクオーツ、ガイシ、日本カーボン |
注目ポイント | リチウムイオン電池の性能向上が見込まれる添加剤を開発 |
デジカメ用光学レンズなどの光学ガラス生産のトップメーカーとして知られている同社は、全固体電池関連銘柄として、この1年で最も大きな反応を見せた銘柄の一つです。
同社は、従来の電解液を使うリチウムイオン電池の性能向上に効果が見込める、ガラスセラミック素材を使った添加剤を開発したことから、全固体電池関連銘柄として注目されています。
ただ、2017年に大きく買われたことから、ややリスクのある動きとなっているため、物色する際はリスク管理に気を付けておきましょう。
5.まとめ
世界でEV(電気自動車)の拡大から優れた性能の全固体電池が求められています。
日本企業がリードしている全固体電池は、2022年には実用化される可能性も高いです。
そのことからも、関連企業と株価の動きには今後も注目です。
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