- 2020-11-9
- 自動車関連
世界規模のビッグビジネスへと変貌した電気自動車市場。
2030年には自動車販売の半数を電気自動車が占めると言われていますが、その理由のひとつに環境規制が進んでいることが挙げられます。
今後、自動車とガソリンを切り離していく流れはほぼ決まっていることから、その恩恵を受けるであろう期待の電気自動車関連銘柄を取り上げていきます!
目次
1.世界各国でEV(電気自動車)シフトの動きが加速
電気モーターを原動力とする電気自動車は、一般的にリチウムイオン電池を搭載した電気自動車のことを指しています。
近年、環境対策の強化などを背景に各国の政府主導で、ガソリン車から電気自動車へのシフトを促す動きが強まってきました。
すでにイギリスやフランスでは2040年までに国内でのガソリン・ディーゼル車販売を禁止する方針と明らかにしており、環境問題にいち早く乗り出している。
これに続き、最大の自動車市場である中国も大気汚染問題に対応するため将来的なガソリン車の販売停止に言及しました。
ハイブリッド車で世界一の実績を持つトヨタは電気自動車への移行が出遅れたものの、いよいよ日本勢も本格的に動き出しています。
2017年8月にトヨタとマツダは電気自動車の共同開発を加速させる意向を示しており、2020年までに量産EVを中国に投入する計画も。
今、世界の自動車メーカーは電気自動車への移行を迫られている状況です。
10年も経たない新興メーカーのテスラが電気自動車分野で成功を収めているように、今後電気自動車へのシフトは世界的に止められない流れとなっています。
1-1.ついにトヨタが動き出す
2020年はEV関連銘柄がマーケットで注目される1年になるかもしれません。
アメリカの大手EVメーカーであるテスラモーターズの株価が急騰しており、時価総額でドイツのフォルクスワーゲンを抜き、トヨタ自動車に次ぐ世界第二位の自動車メーカーとなりました。
テスラ株はバブルが懸念されていますが、世界中の投資家がEVに対して大きな期待を持っている証左と見てよいでしょう。
日本企業のEVへの動向に目を向けてみると、トヨタ自動車は2020年冬に超小型EVを日本で発売すると発表しており、ついにトヨタのEVが動き出すことが期待されます。
2020年1月にラスベガスで開催された「CES 2020」では、ソニーが自動運転機能を持つEV「VISION-S」の試作車を一般公開したことが大きな話題となりました。
ただ、新型コロナウイルスの影響で、世界最大のEV市場である中国市場が大きく冷え込む可能性が高いと報じられており、EVにおいても新型コロナウイルスに対する懸念が高まっています。
1-2.コロナ禍での状況について
2020年は、新型コロナ下でアメリカのEV大手テスラモーターズの時価総額がトヨタ自動車を超えるという衝撃的な出来事がありましたが、年後半にもEV化を後押しするニュースが続いています。
アメリカ・カリフォルニア州は2020年9月、2035年までに州内で販売する全ての新車でガソリン車を禁止する方針を打ち出しました。
世界最大のEV大国である中国では2020年10月、2035年をメドに全ての新車販売を環境対応車にする方針を掲げたかっこうです。
また米中2大国がEV化を推し進める中で、EV化が遅れる日本でも動きが出てきています。
菅総理が10月26日に行った所信表明演説では、2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすると宣言。
この宣言を受けて再生エネルギーや太陽光発電といったテーマ株が急騰しましたが、長期的にはEV関連銘柄に資金が流れてきてもおかしくなさそうです。
ただ温室効果ガスの排出量ゼロを、発電コストが高い再生可能エネルギーでまかなうことになると電気代の上昇が懸念されるため、EVにはマイナスとなるかもしれません。
温室効果ガスを削減し、さらに電気代を安くするには、原発に頼るしかないというのが実情です。
今後原発の再稼働や新規増設について、福島第一原発事故から10年となる2021年を目処に浮上してくる可能性は十分に考えられます。
日本では原発の再稼働や新規増設はタブーになっている状況ですが、EVの普及においては追い風となることは間違いありません。
- 環境対策を背景に電気自動車へのシフトが加速している
- 世界各国で将来的なガソリン車の販売を禁止する動きがある
2.EV(電気自動車)周辺事業の株価推移をチェック
今後の成長期待が高まる電気自動車の周辺事業についてもチェックしていきましょう。
2-1.急速充電器関連銘柄
電気自動車市場は今後インフラ整備にも力を入れることが予想されますので、既存の充電器に変わり急速充電器の導入がより加速していくと期待できます。
代表的な急速充電器関連銘柄として以下4銘柄はチェックしておきましょう。
銘柄 | 備考 |
【6504】富士電機 | IoT事業への参入によって、工場エネルギー利用の効率化や生産設備の稼働率向上が期待できる |
【6507】シンフォニアテクノロジー | 電気自動車用の急速充電器など幅広く展開する創業100年(旧:神鋼電機)の老舗電機メーカー |
【6844】新電元工業 | 短時間の充電向けに急速充電器、低コスト向けの施設には小型軽量化した充電器などの開発・販売を行う。 |
【6996】ニチコン | 電気自動車用の急速充電器を製造・販売するだけでなく、日産リーフや三菱アイミーブ向けに車載充電器の供給も行う。 |
2-2.リチウムイオン電池関連銘柄
多くの電気自動車に採用されているリチウムイオン電池は、スマホやPCなどの幅広い分野で使用される今や主流の二次電池です。
代表的なリチウムイオン電池関連銘柄として以下4銘柄はチェックしておきましょう。
銘柄 | 備考 |
【4080】田中化研 | リチウムイオン電池の正極材料を水力とする二次電池大手。 |
【5713】住友金属鉱山 | 日本で初めてリチウムイオン電池の再資源化を実現している |
【7271】安永 | リチウムイオン電池の寿命を12倍に伸ばすことに成功しており、今後もさらなる長寿命化の実現が期待される |
【4109】ステラ ケミファ | 高純度リチウムイオン二次電池用のフッ素化合物大手 |
▼リチウムイオン電池に関する最新動向はこちらをご確認下さい。
【リチウムイオン電池関連銘柄を抑える!ノーベル賞候補はやはり凄い!】
2-3.マグネシウム電池関連銘柄
リチウムイオン電池の性能を上回る次世代電池として注目のマグネシウム電池は、コスト面や安全性、航続距離において大きな飛躍が期待されています。
代表的なマグネシウム電池関連銘柄として以下4銘柄はチェックしておきましょう。
銘柄 | 備考 |
【7267】ホンダ | マグネシウム二次電池を2018年にも製品化する見込み |
【5121】藤倉ゴム工業 | フィルム状のマグネシウム電池を開発しており、非常用としてマグネシウム空気電池の「WattSatt」の販売を行う |
【6937】古河電池 | 水で発電できる非常用のマグネシウム電池「MgBOX」の販売を行う |
【4026】神島化学工業 | 海水から直接マグネシウムを取り出す技術で、高純度の酸化マグネシウムの提供を行う |
▼マグネシウム電池に関する最新動向はこちらをご確認下さい。
【次世代蓄電池のマグネシウム電池関連銘柄を要チェック!】
2-4.バッテリー関連銘柄
バッテリーにはリチウムイオン電池が使われておりますが、搭載されるバッテリー側にも注目!
代表的なバッテリー関連銘柄として以下4銘柄はチェックしておきましょう
銘柄 | 備考 |
【6752】 パナソニック | 顧客対応と開発機能を強化するために、横浜に関東初の電池開発拠点も設立、米ネバダ州にテスラ・モーターズ共同で電池工場を建設中、年内稼動を目指す |
【6955】 FDK | 富士通系の電池メーカー、富士通研究所と共同して、高電圧で大容量の電池開発を進捗させている。 |
【6502】 東芝 | 産業用LiBで定評のある東芝は、超急速充電が可能になる次世代二次電池SCiBを開発しており、2019年度に向けて製品化を進めている。 |
【6937 】古河池 | 国内やアジアで自動車バッテリー用鉛蓄電池の実績が高く、世界初の紙製容器でできたマグネシウム電池を販売、次世代二次電池の関連銘柄の中でも注目度が高い。 |
- EVにはマグネシウム関連やリチウムイオン関連も絡んでいる
- EV関連銘柄は軒並み上昇中であり注目度の高さが伺える
3.最近上がったEV関連銘柄の上昇した銘柄とその理由
2019年から2020年に掛けて大きく上がったEV関連銘柄を見ていきましょう。
3-1.テスラとEV向け電池で協業!【6 752】パナソニック
アメリカのEV大手テスラモーターズが快進撃を続けていますが、日本株でその影響を受けて上昇しているのが【6752】パナソニックです。
パナソニックはテスラモーターズとEV向け電池で協業していることで知られており、2020年2月3日には、テスラ向け電池事業が2019年10~12月期に黒字化したことを発表しました。
この1年間のパナソニックの株価を見ていきましょう。
同社の株価は、2019年2月には1,025円を付けていました。
その後はジワジワと下落を続け、2019年8月には787.7円まで下落…。
しかし、10月にテスラモーターズが黒字決算を発表したことで大反発。
2020年2月には1,264円まで上昇しています。
この1年間の上昇率は+23%です。
3-2.全固体電池で注目を集める!【6584】三櫻工業
トヨタ自動車が開発を進める全固体電池は、EV関連でも注目のテーマとなっています。
2019年に全固体電池を手掛けている銘柄の中で最も大きく上昇した銘柄は、
車輌配管やブレーキ用チューブといった自動車向け製品を手掛ける【6584】三櫻工業です。
同社は全固体電池の開発を手掛ける、アメリカのソリッドパワー社に出資していることからEV関連銘柄にも位置付けられています。
同社の株価は、2019月初めには542円を付けていました。
年初から売られ続け、6月には377円まで下落…。
しかし9月に発表した決算で最終利益を6倍に上方修正したことが、買いが買いを呼ぶ展開となり10月には2,050円にまで暴騰しました。
この1年間での最大上昇率は+278%となっており、
EVや全固体電池に関連する銘柄としては最も大きく上昇した銘柄です。
ただ、2019年10月に高値を付けてからは暴落しており、2020年2月現在は900円前後で推移しています。
4.期待のEV(電気自動車)関連銘柄の本命3選!
電気自動車の関連企業は自動車メーカーのほか部材や製造装置、使われるバッテリーやインフラ整備などと幅広いですが、そのなかで特に注目の本命4銘柄をご紹介します。
4-1.【6752】パナソニック
市場 | 東証一部 |
注目ポイント | 総合家電大手。電池や車載、住宅に注力。 |
パナソニックは、テスラモーターズと共同で電池工場「ギガファクトリー」を運営しており、日本を代表するEV関連銘柄、テスラモーターズ関連銘柄として注目されます。
2020年10月末には、テスラからの要望で新電池の開発に着手したことを発表しています。
新型コロナ相場では苦戦していますが、EV電池を手掛ける最右翼銘柄として抑えておきましょう。
4-2.【6996】ニチコン
市場 | 東証一部 |
注目ポイント | 世界的コンデンサーメーカー。アルミ電解コンデンサに強み。 |
ニチコンは、EV向け急速充電器を手掛けているEV関連銘柄です。
EVを家庭用蓄電池へ変えるV2H機器の大手メーカーとしても知られており、高品質V2Hシステム「EVパワー・ステーション」を手掛けていることでも知られています。
急速充電器メーカーとしては、パワー半導体大手の【6844】新電元工業とともに抑えておきましょう。
4-3.【7211】三菱自動車工業
市場 | 東証一部 |
注目ポイント | 軽自動車やEVに力を入れる自動車メーカー。日産傘下。 |
日本の自動車メーカーはEVでは遅れていますが、三菱自動車はEVに力を入れており、2030年までに世界販売に占めるEV割合を5割に高める計画を打ち出しています。
ただ、同社は新型コロナ下で3,600億円の巨額赤字を発表。
株価は新型コロナ相場で下がり続けており、2020年10月末にはついに100円台のボロ株になってしまいました。
EV関連銘柄で一攫千金目的のボロ株投資をしたい場合にはおすすめの銘柄ですが、本格的な長期投資をするにはリスクが大きい銘柄です。
4.まとめ
環境対策に電気自動車への移行は必然で、早急に解決しなければならない深刻な問題となっています。
そして、今後より密接に絡んでいくこととなる電気自動車と自動運転技術。
この2つが融合した巨大マーケットが見込めることから、電気自動車は息の長いテーマとして注目していく必要がありそうです。
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