- 2019-1-21
- テクノロジー
MRという言葉をご存知でしょうか。
「Mixed Reality」の略で、「複合現実」と訳されます。
これまでARやVRといった技術がメディア等で数多く取り上げられてきましたが、MRはその進化版と言える技術です。
今後様々な分野での活用が見込まれており、市場規模は拡大傾向が続くと考えられます。
今回はMRに関係性の深い企業を「MR」関連銘柄として、株価動向やその背景について分かり易くご紹介したいと思います。
目次
1.「MR」関連銘柄に期待
「MR」関連銘柄とは、MR技術・活用に関連する企業を指します。
1-1.「MR」関連銘柄とは?
先程もご説明した通り、MRとは「Mixed Reality」の略で、「複合現実」と訳されます。
これまでAR(拡張現実)、VR(仮想現実)といったキーワードが有名であったのに対し、MRはまだ新しい用語と言えるでしょう。
MRの特長は、現実世界に仮想世界を融合させた上で、実際の手や体の動きと連動して操作を行うことが出来るという点です。
SF映画に出てくるホログラム映像みたいな技術です。
映画「マイノリティ・リポート」をご覧になった方にはわかりやすいのですが、あのような未来的な技術のことです。
また、少し分かりにくいので、ARとVRとの違いをご説明したいと思います。
VR
VRとは、「Virtial Reality」の略語で「仮想現実」と訳されます。
専用のゴーグルなどを装着し、映し出された仮想世界を楽しみます。
VRは仮想世界の中でのみ展開される点で、現実世界と融合するMRとは違いがあると言えるでしょう
AR
一方ARとは、「Augmented Reality」の略語で、「拡張現実」と訳されます。
この技術を用いた代表的なサービスが、「Pokemon Go」です。
実際の日常的な風景の中に、ポケモンの姿が重ね合わさることで、ゲームの世界にいたポケモン達が現実世界にいるかのような錯覚を覚えるのです。
現実世界と仮想世界を融合させる点でMRとARは似ていますが、利用者の動きに応じて仮想世界内の物体や人物・キャラクターが変化したり、位置関係が変わることがMRの特長です。
MRはARやVRの進化版と捉えることができ、今後様々な分野での活用が期待されていることから、株式市場からは注目されている分野と言えるでしょう。
▼VR/AR関連銘柄についてはこちらを参照
【投資対象に好都合なVR/AR関連銘柄!話題絶えず材料豊富の逸品テーマ】
1-2.なぜ「MR」関連銘柄は株価が上昇するのか?
「MR」関連銘柄が株式市場で注目されている理由は、中長期的な市場成長性です。
その背景にあるのが、MRの活用範囲の広さです。
例えば、工場内の設備入替時にMRが用いられる場合があります。
工場内で使用される設備ですから、大型の機械を動かすことになります。
その際工場内の柱や他の設備にぶつかることなく移動出来るのか、配置スペースには十分な余裕があるのか、といった事項を確認しなければなりません。
その際活躍するのがMRです。
実際の移動場所に実物大の3Dモデルを配置することで、上記の確認事項を事前にチェックすることが出来るのです。
また、MRの活躍が期待されているのは企業研修やトレーニング分野です。
例えば、工場の生産ライン上で行う作業を仮想空間に映し出し、実際の手の動きで精度を高めていくことが出来るでしょう。
これまで多くの時間と人手を要していた作業が、MRを用いることで簡単かつ正確に行うことが出来る点は大きな魅力です。
今後MRを用いた様々な商品・サービスが提供されていくことが予想されます。
そういった意味では、中長期的な市場の成長性が高いと言える分野です。
株式市場では、こうした期待から「MR」関連銘柄に注目が集まっていると考えます。
- 「MR」関連銘柄とは、MRの技術・活用に関連する企業を指す
- 様々な分野で活用が期待されており、市場成長性が高い領域と言える
2.「MR」関連銘柄の推移
過去に上昇した関連銘柄と、その上昇理由を見ていきましょう。
2-1.JAXAとの提携発表から株価が上昇
【3741】セックはMR関連の銘柄の1つです。
同社は、スマートフォンやタブレット、車載情報端末など多様なモバイル機器の組込みソフトウェアと、それらを使ったモバイルサービスを利用するための技術アプリケーションを開発している企業です。
現在は、IoT・AI・ロボット分野に注力しており、関連のソフトウェアの提供を行っています。
そして2017年8月22日に公表したのがJAXAとの共同研究のリリースです。
JAXAでは、航空技術、宇宙開発等の研究を行うためのスーパーコンピュータシステム(JSS2)が運用されています。
スパコンでは、計算・ストレージ資源を利用者に提供するだけでなく、プログラム製作支援や数値シミュレーション結果の可視化支援といったサポートも行っています。
こうした数値シミュレーション結果や研究知見など様々な研究成果を、MR技術を用いて装着デバイスに連鎖的に投影することを目指した共同研究となりそうです。
このリリースが発表される前日の2017年8月21日終値に対し、3日間で約17%と短期間に大幅に上昇しました。
MR分野への関与という情報に加え、JAXAとの共同研究が今後の活用ニーズの明確さを示しており、株式市場から好感されたと考えられます。
2-2.家電見本市でMRが注目され株価上昇
2つ目にご紹介したいのが、【3673】ブロードリーフです。
同社は、自動車整備工場など自動車のアフターサービス市場の事業者を顧客として、業務アプリケーションを開発・提供している企業です。
2016年12月19日に米国のDoubleMe,Inc.と業務提携を結んだことを公表しました。
提携の目的は、VR技術を活用した自動車分野向けサービス開発です。
DoubleMe社はVRなどの3Dコンテンツ市場に対しサービスを提供している企業で、
日本では【3815】メディア工房とも資本提携を行っており、MRやVR関連市場では著名な企業と言えるでしょう。
DoubleMe社に注目が集まったイベントの1つが、2017年2月初旬の米国の家電見本市です。
ここでMRへの関心が一気に高まったのです。
MR分野でノウハウを有する企業と業務提携を行うことは、結果としてMR分野で優位性の高いサービスを提供出来る可能性が高いことを意味しています。
株式市場では、米国の家電見本市でMRが注目されたのを契機として、関連銘柄に触手を伸ばしたのです。
2017年2月初旬の同社の株価は、1週間ほどで約6%上昇しました。
その後の決算発表がネガティブ視され株価は下落に転じたものの、中長期的な視野に立てば引き続き注目出来る銘柄と言えるでしょう。
- 活用先がイメージしやすい相手との提携リリースは大きく反応しやすい
- 提携先が注目されることで、連想によって注目されやすい
3.「MR」関連銘柄
銘柄 | 備考 |
【8186】大塚家具 | 新宿・有明などに大型店舗を有する家具小売業を展開。業務提携した中国企業を協業し、MRを活用した中国販売拡大を模索。 |
【3903】gumi | モバイルオンラインゲームの開発・運営を手掛ける。新規事業としてVR/AR事業にてMR向けコンテンツ開発に取り組む。 |
【3815】メディア工房 | モバイル端末・PC向けに占いコンテンツを制作・配信する。その他事業にてMRを使用したコミュニケーションツールを開発。 |
【1951】協和エクシオ | NTT向けの通信工事を全国的に手掛ける通信工事会社。Microsoft Mixed Reality パートナー」認定を取得。 |
【3756】豆蔵ホールディングス | システム構築・開発支援やITコンサルを手掛ける。Microsoft Mixed Reality パートナー」認定を取得。 |
【9404】日本テレビホールディングス | テレビ放送において東京キー局を有する持株会社。MR技術を使用した新コンテンツの開発などに注力。 |
【6670】MCJ | パソコンの製造販売を中心に展開。ソフトバンクコマース&サービス、ホロラボとMR分野で業務提携。 |
【6502】東芝 | 発電システム、昇降機などを展開。直近の技術戦略説明会にて業務プロセス変革の文脈でMRへの注力を示している。 |
【9433】KDDI | 移動通信(au)と固定通信をともに運営する総合通信事業者。様々な企業と協業しMR分野での新サービス創出に注力。 |
【3668】コロプラ | スマホ向けネイティブゲームアプリが中心。Windows Mixed Reality向けにコンテンツを配信している。 |
4.おすすめ「MR」関連銘柄
では、最後に注目すべき「MR」関連銘柄を紹介します。
4-1.【3770】ザッパラス
市場 | 東証一部 |
業種 | 情報・通信業 |
単位 | 100株 |
比較される銘柄 | オルトP、イマジニア、アドウェイズ |
企業概要 | モバイルコンテンツの制作・配信を行っている会社です。 |
MR技術を活用したエンターテインメント施設を運営するTYFFONに出資しており、注目度が高まる可能性。
4-2.【1861】熊谷組
市場 | 東証一部 |
業種 | 建設業 |
単位 | 100株 |
比較される銘柄 | 西松建設、安藤ハザマ、鹿島 |
企業概要 | ダムやトンネルなどの土木たマンションなどの建築分野でも多くの実績を残す準大手ゼネコンです。 |
研究開発としてMRを対象に掲げており、今後注目される可能性がある。
- MR分野の先進企業と提携することで注目される可能性がある
- MR活用によって効率性が向上する可能性に注目が集まる可能性
5.まとめ
これから様々な分野で活用が見込まれている「MR」。
現実世界では出来ない経験・体験を味わうことが出来ますし、トレーニング分野でも貢献する素晴らしい技術です。
一方で、今現在もMRに関する技術研究が行われています。
また、企業間の業務提携も活発な分野です。
結果として、今後更なる革新がもたらされる可能性があり、伸びしろのある技術分野といえるでしょう。
株式市場では「MR」をテーマとして短期間に大きく反応してしまう傾向がありますが、中長期的な市場拡大を見据えれば、長期的なテーマと言えます。
今の内に「MR」関連銘柄に投資をすれば、将来大きなリターンを獲得出来るかも知れませんね。
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